私の地元では最近はガス屋さんも不景気なのか、やたらと「ガス機器の交換作業を安く承ります」というような広告が投函されるようになりました。
定期的なガスの点検と称して訪問しては、ガス給湯器に関して不安な言葉を投げかけていくというケースも少ないくないようですね。
そういう背景もあってか、多くの業者がガスコンロと石油給湯器を使用しているお客さんには「給湯器もガスにしませんか?」という交渉をしているようで、石油給湯器の修理に行くと「ガス給湯器と石油給湯器ってどっちが得なの?」と聞かれることも多いです。
今回は、石油給湯器とガス給湯器でどちらの方がランニングコストが安いかについて、ずばり答えていきたいと思います。
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Contents
ランニングコストとは…
そもそもランニングコストの意味についても受け取り方が色々とあると思うので、先に統一したいと思います。
私の体感上、ランニングコストという言葉を使うお客さんの多くは「燃費の良し悪し」について聞きたがっていることがほとんどなので、ここでは「ランニングコスト=燃費の良し悪し」として話を進めていきます。
※実際には給湯器を設置するまでの金額がイニシャルコストで、その後の維持運営費がランニングコストという考え方が正しいんじゃないかと私は思っていますが、それだと少しややこしいので。
ランニングコスト(燃費)は石油の方が安い
同じお湯を作るのに必要とする燃料費は、まだまだ石油の方が安いです。
あの痛たたましい東日本大震災が発生し、ガソリンスタンドで灯油やガソリンが高騰した時の価格でイーブンくらいでした。
ただ、ガス料金や石油料金は地域によっても若干変動しますし、状況によって大きく変わったりもしますから、10年後・20年後に同じようにして石油給湯器の方がランニングコストが安い状況にあるかどうかは不明です。
トータル安く使えるのは?
機器本体料金はガス給湯器の方が安く手に入る
まず機器の本体なんですが、同じ燃焼能力の給湯器であれば、ガス給湯器の方が安く手に入りやすいです。
これは全国的にガス給湯器の方が出荷されている数が多い(ガス給湯器の方が売れている)からなのですが、業者によって値引きできる金額が大きくなることが多いと思います。
そのため、本体価格で考えるのであれば石油給湯器よりもガス給湯器の方が安くなることが多いでしょう。
修理費用はガス給湯器の方が安い
上記はノーリツという給湯器メーカーの安心プランSと呼ばれる保険内容になります。
青で囲ったものが一般的なガス給湯器、赤で囲ったものが一般的な石油給湯器となっているのですが、同じ年数でも金額が1.5倍くらいになっているのがお分かりでしょうか?
保険と言うのは何でもそうですが相場があって、ここで言う相場とは「壊れやすさ」を意味しています。壊れやすいものの保険金が高くなるのは当然のことですよね。
メーカーは「どちらの機器も7年~10年使えます」と謳っていますが、修理業務に携わっている私としては石油給湯器の方が壊れやすいと感じていますし、実際にメーカーも影ではそういう考えを持っているんです。
高効率(エコ)ボイラーのお得率はガス給湯器に軍配
エコフィール(石油):年間6450円の節約
エコジョーズ(ガス):年間23000円の節約
メーカーが発表している情報によると、エコ給湯器にすることで上記の金額がお得になるという指標があります。これを鵜呑みにすると「ガス給湯器の方が断然安くなるじゃん!」と思う人も多いでしょう。
ただ実際には、ガス給湯器で考えた時に年間23000円の節約というのは月々約2000円の節約になるというわけで、そもそも月に結構なガス量を使用していないと実現できない金額であるという罠が潜んでいます。
ただし、それでも3倍~4倍近い燃焼効率の恩恵を受けられるということを考えるのであれば、ガス給湯器に傾く気持ちも理解できますね。
石油からガスに交換する前に知っておくべきこと
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ガス管の施工費用が発生する
ガスコンロを使用している、あるいは以前にガス機器を使っていたからガス管は通っているという場合はまだいいのですが、そうでもなければガス管を施工するのに費用が発生します。
個人的には「ガスコンロを使用していて石油給湯器を使用している」という人の中で、ガス給湯器への買い替えを悩んでいる人がいるのであれば、それは実行する価値が十分にあると思います。
これが「ストーブで石油を使っているから給湯器も石油だけど、コンロはガスじゃなくてIH」となると少しややこしいのですが、そのような場合で特にIHに不満を感じていない(ガスコンロに変更する予定がない)のであれば、そのままの体制でもいいのではないかと思いますね。
貯湯タイプを使用している場合は注意
使用している石油給湯器が直圧タイプであればいいのですが、貯湯タイプの場合だと「何が理由で貯湯タイプを選定しているのか」が重要になってきます。
貯湯タイプは水圧が弱く、給湯の温度も大まかにしか決められないという不便な一面を持つ一方で、水質の悪さに耐えられるというメリットも持っています。
もし「水質があまり良くないから貯湯タイプを使っている」という場合だと、それ以外の機械に替えた時に「定期的に水漏れしてしまう」などの不具合が起きる場合があるので注意が必要です。
また石油給湯器の貯湯タイプには地下水対応の給湯器もありますが、直圧タイプにそれはありませんし、ましてガス給湯器には貯湯タイプすら存在しないので注意してください。
関連記事石油給湯器は大きく分けて2種類!直圧式と貯湯式の違いについて説明する
まとめ
燃費で考えたら石油の方が安くなることが多いが、ある条件化ではガス給湯器の方がトータル的に得をするケースも少なくない
例えば、大人数の家族で毎月お湯を使うことによる燃料費が高いという場合は、エコジョーズに替えることで恩恵が期待できるうえに、全体的に見た故障率もガス給湯器の方が優秀です。
それでも「なぜみんなガスにしないのか?」というと、雪国であればストーブで石油を使用している場合はガス管の施工が億劫だという人もいるでしょうし、オール電化を検討しているという人も少なくありません。
目先の燃費だけでなく、トータル的な金額のことを考えたら石油給湯器よりもガス給湯器の方が安くなるケースは意外と多いので、検討中の方は前向きに検討してみてください。