部品が無くなったら修理に来てもらえない理由と修理業者の本音

部品が無くなったら修理に来てもらえない理由と修理業者の本音

 

給湯器の修理業者をしていると、様々なクレームと直面します。その中でも多いのが「部品が既に生産されていない古い給湯器を巡るゴタゴタ」です。

よく聞こえてくる不満が「部品が取れないという理由で、どこが悪いのかを見に来ることすらしてもらえない」という不満なのですが、それと同じくらい「見にきただけで修理をしていないのにお金を請求された」というトラブルも多いんですよね。

今回は「部品が無くなったら修理に来てもらえない理由と修理業者の本音」について書いていきたいと思います。

目次

給湯器の部品はいずれ生産されなくなる

 

これは給湯器に限らず、車などを含めた機械類のほとんどは、いずれ部品が取れなくなるものばかりです。

部品の保有期間には一応ルールがあって、給湯器の場合は「その給湯器本体の生産が終わってから10年間は、主要部品を保有しなければならない」という決まりがあるのですが、給湯器の機種によってはトータル12年~13年くらいで部品が無くなってしまう機種も存在します。

 

基本的に給湯器の機器寿命は7年~10年とされているので、使用してから10年も経過しているのであれば本体の交換が妥当です。

しかしユーザーの立場からすれば「悪い部分だけを修理することで、あと少しでも使用できるなら修理という選択肢を取りたい」と考える人も多いですし、メーカーとしては「古い機械の部品をいつまでも作りたくない」という考えがあります。その両者の主張を考慮しての妥協案が「給湯器の生産が終了してから10年」という基準ではないでしょうか。

 

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部品が取れない給湯器の点検もOK

 

私は毎日のように給湯器を修理して回っていますが、自分に割り当てられた現場の中に「もう部品が取れないほど古い機械を使っているお客さん」がいたらラッキーだと考えます。

もし部品交換が必要な修理であれば、もう部品が生産されていないので買い替え案内になるわけで、その場合はもしかすると自分から新しい給湯器を購入してもらえるかもしれないからです。

ただ、その場合でも事前に電話連絡の段階で「修理できない場合でも、出張点検料は掛かります」という案内だけは、弊社の事務員にもメーカーのコンタクトセンターでも徹底しておいて欲しいというのが本音です。

 

弊社では女性事務員がお客様と修理日程の連絡を取り、予定日時に私のような男性作業員が現場にお邪魔するシステムなのですが、電話の段階でお金の話をすると「おたくのメーカーの給湯器が壊れて困ってる人間に対してまずお金の話をするなんて失礼だな/迷惑かけてるんだからまずは見に来るのが筋だろ」というお客様が少なくないそうです。

一応それらの事例を受けて当社で決まったルールとしては、電話の時点ではお客様に聞かれない限りは料金の話は一切せず、男性作業員がお客様のお家に上がらせてもらう前に、玄関先で「もし修理できなくても点検するだけでお金が発生しますがよろしいですか?」と聞くルールになっています。

 

これでも結局「それなら電話の時点で教えてくれたらすぐに買い替えもできたのに…」というクレームになったりもするので、正解では無いんですけどね。

つまり「ちゃんとお金を払ってくれるなら、喜んで点検させていただく」というスタンスなのですが、世の中には「修理を依頼したのに、最終的に直ってないんだからお金は払えない」というスタンスの人が非常に多いので、古い機械だということが分かったら「もう修理できないので買い替えてください」と答える会社も少なくないと思います。

「見に行っても修理できませんよ?」の80%が親切心

 

当社でも過去の修理履歴やお客様からの申告で古い機械だということが分かっている場合、もう部品の生産が終了している旨を伝えて、修理ができない可能性が高いことを説明しています。人によっては「見に来てすらもらえない」と捉えてしまうので厄介なのですが、これを事前に説明することの80%は親切心によるものです。

残りの20%は前項で軽く触れたように「面倒に巻き込まれてお金も払ってもらえない場合は最悪だなぁ」という気持ち10%と、他の修理依頼も多くて忙しいこともあり「どうせ見に行っても『もう部品が取れないから、新しい給湯器に買い替えて』しか言えないしなぁ…」という気持ちが10%でしょうか。

 

いずれにしても「お金はちゃんと払うから見に来てよ!」というお客さんに対し、それでも断るケースって言うのはまず無いと思います。私個人としては事前に料金説明をするのが筋だと思いますが、その料金説明で腹を立てるお客様が大勢いるようなので料金の説明がしにくいという背景があるのも事実です。

実際にそのせいで「なんでお金が掛かるのに事前に説明しないの?」というカタチで、お金を払ってもらえないケースが非常に多いので「どうせ見に行っても直せない可能性が非常に高いですし…」という言い回しが、お客様にとっては「見に行きたくない」というように映っているのかもしれません。

私の本音を言わせてもらえば「業者を呼んでるんだから無料なわけがない」と思っています。「なんでお金が掛かるのに事前に説明しないの?」という人に対しては「あなたは料理屋さんに行って金額が書かれていなければタダで飲み食いできると思ってるんですか?」くらいの感情はありますが、世の中に「出張料無料」という単語が浸透してしまったせいで勘違いを誘発している部分も大きいと思っています。

 

まとめ

事前に出張点検料の説明がしにくいと考えている業者は意外と多いと思う

あくまで親切心から「行っても何もできない」と答えることも

「ちゃんと出張点検料を払うから」という声があれば断る業者はいないはず

 

この業界にいると「人を呼んで来てもらっているわけだから、出張料が発生するのは当たり前なのでは?」と思うのですが、意外と「修理に呼んだわけだから、修理をしていない人にお金は払えない」と言われるケースが多いです。

なので事前に電話で説明しておけばこういうことにはならないんじゃないかと思うのですが、今まで普通に使えていたものが故障したという時点で既に不満げなお客さんから連絡がくるので、最初にお金の話をされるとイラっとするという気持ちも分からなくもないんですよね。

「お金を払ってくれるなら行きますけど…」が本音ですが、それを言うとなんか偉そうですし、それを上手くお客様の感情を逆なでしない様に伝える術が見つかっていないと言ったところでしょうか。というわけで、お客様の方から「出張点検料はちゃんと払うからどこが悪いかだけでも見てくれない?」と打診していただけると、メーカーサービスのほとんどは喜んでお伺いいたします。

 

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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