プロが「エコジョーズのメリット・デメリット」を分かりやすく解説

プロが分かりやすく解説 エコジョーズのメリット・デメリット

最近、世の中が「エコ」に傾きつつあります。「限りある資源を大切に」という考えは昔からありましたが、車やエアコンなど私たちの生活に密着しているものに関するエコ思考は、急速的に強まっていると言っていいでしょう。

そんな中、私たちの生活とは切っても切れない関係ある給湯器・家庭用ボイラーにもエコの勢いが浸透し、今や新築現場のガス給湯器はほとんどエコジョーズが採用されています。時代はエコですが、良い部分しか聞かないと不安になってしまいますよね?

そこで今回はエコジョーズのデメリットも大暴露するつもりです。給湯器修理のプロである私が「エコジョーズのメリット・デメリット」を分かりやすく説明します。各給湯器メーカーの営業担当者が絶対に言わない裏側をお伝えするので、本記事を読んでエコジョーズを採用するかどうかを考えてもらえると嬉しいです。

目次

エコジョーズとは?

エコジョーズの概要

エコジョーズとは、少ないガスの消費量で効率良くお湯を作ることを目的として作られた高効率の給湯器のことです。簡単に言うと家庭用給湯器には従来型と燃費の良いエコ型の2種類があって、エコ型のガス給湯器をエコジョーズと言います。

ここで言うエコというのは排出されるCO2が少ないおかげで地球にも優しいという要素もありますが、燃費が良いという家計に直結するような特徴も持っており、多くのユーザーから「月々のガス代が安くなった」という喜びの声が寄せられている給湯器のシリーズでもあります。

エコジョーズの仕組み

エコジョーズって何!?
エコジョーズって何!?

こちらはパロマの公式ページからお借りしてきた資料です。ノーリツ、リンナイ、パロマのページを見比べて、この図が1番分かりやすいと思ったので拝借しました。さて、なぜ燃費効率が良くなったかを簡単に説明すると「これまではそのまま捨てていた排気を捨てる前にもう一度熱交換することによって、ガスの消費量が抑えられている」という仕組みです。

従来型ガス給湯器の煙突や排気口から出ている排気を触ったことがありますか?これは約200℃もの非常に熱いガスなのですが、ある時から「そのまま捨てるの勿体無いんじゃね?」という考えに変わりました。

例えば「200℃の空気で満たされたサウナのような空間にコップ1杯の冷水を置いている」と考えてみてください。コップの水は、たちまちぬるくなることが予想されますよね?このような原理で、これまでは捨てていた排気も再度熱交換に利用することで、燃費効率が良くなったというのがエコジョーズの簡単な仕組みです。

そのため従来型の給湯器の煙突や排気は火傷するほど熱くなっていますが、エコジョーズの煙突や排気は温かいと感じる程度の温度であることが多いです。

エコジョーズを使用して得られるメリット

燃費効率がよく、ガス代の節約に効果的

ノーリツが算出しているエコジョーズの年間ランニングコスト

こちらはノーリツの公式ページにて算出されている年間ランニングコストの比較グラフです。右上に小さく「LPガスの場合」と書いていたり新エコスイッチONという付加条件があるものの、年間トータル約31,300円お得になるという結果が算出されています。

ちなみに新エコスイッチというのは出湯量を絞る機能を指していて、節水効果が見込める新機能のことです(給湯器が自動的に出湯量を少なくしているので、お湯の無駄遣いが減って最終的に水道代とガス代がお得になるという機能ですが、シャワーの水圧などは犠牲になります)。

そしてLPガスだと都市ガスよりも料金が高い傾向が強いので、実際にエコスイッチを使わずに都市ガス利用者だとここまで大幅にお得になることはないでしょうが、仮に年間約15,000円くらいの節約だったとしても10年で150,000円ですから、十分すぎるメリットと言えるのではないでしょうか。

リンナイが算出しているエコジョーズの年間ランニングコスト

一方こちらはリンナイの公式ページにて算出されている年間ランニングコストの比較グラフです。年間トータル約15,150円お得になると書かれています。ノーリツの算出結果よりも節約量が物足りない気もしますが、エコスイッチ機能などのややこしい事情がないので分かりやすいと言えるでしょう。

後述していますが、エコジョーズのデメリットの1つに本体価格の高さがあります。リンナイのエコジョーズでは「およそ1年7ヶ月で従来品との価格差をクリアする」そうです。給湯器の機器寿命・耐用年数は7年~10年なので、1年7ヶ月で本体価格の差分をペイアウトできるのであれば5年以上に渡って高効率の恩恵が受けられるということになります。

パロマが算出しているエコジョーズの年間ランニングコスト

そしてこちらはパロマのガス給湯器カタログにて算出されている年間ランニングコストの比較グラフです。年間トータル約12,200円お得になると書かれています。

ちなみにそれぞれのページにはしっかりと「どのようにしてこの金額が導き出されたか」の算出方法詳細が書かれていますが、基準とされているガスの料金設定などに違いがあるため、この金額の上下で高効率レベルの優劣が決まるものではありません。

車の走行距離と一緒で条件によって数値はいくらでも変動しますから、ここでは「エコジョーズに替えると、一般的な4人家族で月々あたりのガス代が1,000円~2,000円くらい安くなる」と思うくらいがちょうどいいでしょう。

エコジョーズは従来型ガス給湯器よりも地球にやさしい

エコジョーズは地球にやさしい 年間CO2削減量が優秀な給湯器

まぁここについては詭弁のような部分もありますが、エコジョーズはCO2の排出量が減っているので地球温暖化の防止に役立つと言われています。その量は年間にして従来比11%~16%減です。

正直言って、もし「環境に優しいけどランニングコストが悪いもの」と「環境に悪いけどランニングコストが良いもの」が同じ金額だったら恐らく後者の方が売れるような気もするので、これをユーザー目線でメリットと言っていいのかどうかは悩みましたが一応挙げておきます。

もちろん今後、エコじゃないものにはガンガン課税されていく可能性も無くはないですからね。車とかエアコン、給湯器あたりは狙われてもおかしくないと思いませんか?ちなみにCO2の削減量にかこつけて「環境にもお財布にも優しい」とアピールする営業担当者もいますが、必ずしもお財布に優しいとは限らないことはこの段階で釘を刺しておきます。

電気温水器やエコキュートに比べて設置コストが低い

エコジョーズは運用開始までのハードルが低い エコキュートと比べて設置コストが安くて済む

ランニングコストの話になると、必ずと言っていいほど「電気温水器/エコキュート/エネファームと比べるとどっちが得なの?」という話になると思いますが、これらの機械とエコジョーズは基本的に全くの別物として考えてください。

平たく言うと、電気温水器は「電気で動くヒーターを使ってお湯を作る機械」で、エコキュートは「電気温水器の機能にプラスして外気の熱を利用する機能を持った機械」です。エネファームに至っては「発電ユニットまで持っていて生活に必要な電気も作る機械」なので構造が根本から違います。

オール電化の新築などではエコキュートが人気のようですが、エコキュートに関しては初期費用が馬鹿みたいに高いので、ここさえ我慢できるのであれば問題ないです。オール電化にすることでガス料金もかかりませんからね。

しかし少しでも設置費用とランニングコストを両立させたいと考えるのであれば、多くの一般家庭にとって望ましい選択はエコジョーズになるのではないかと思います。

エコジョーズを採用する上で無視できないデメリット

本体価格が従来型よりも少し高い

給湯器を購入する際の初期費用を「1万円でも5000円でも削りたい」とか「1年後の金額とかじゃなくて今生きることが最優先」というくらい切羽詰まっているような状況であれば、設置コストの時点で従来型になびくかもしれません。

しかし、多くの場合で従来型とエコジョーズの金額差は微々たるものであることが多く、特に7年~10年に渡って使用していくことを考えたら確実に本体価格は無視して良い要素と言えるでしょう。私の中では大したことがないと考えている要素ですが、初期費用が若干高いということもデメリットの一つなので一応紹介しておきます。

メリットの燃費部分でも軽く触れましたが、リンナイの発表によると「エコジョーズと従来型の価格差は約1年7ヶ月でペイできる程度の差」でしかありません。

もしこれが7年~10年でやっと元が取れるというレベルの話なのであれば、機器寿命の観点からも決してお得になるとは言いにくいのですが、2年未満でペイできるのであれば、初期費用が多少高くたって問題ないと考える人が大多数のような気がします。

ちなみにこちらはパロマが発表しているデータです。こちらは2年未満でのペイとはいきませんが、それでも約4年5ヶ月でペイできるというデータを公表しています。

ノーリツはこのようなデータこそ公表していませんが、燃費の項目で年間数万円のお得になるという指標を掲げていましたから、これについても2年以内で十分ペイできるという考えで問題ないでしょう。

こたろー

個人的には本体価格はそこまで大きなデメリットとは思っていませんが、初期費用の大小が気になる場合は実際に施工店に問い合わせて、従来型とエコジョーズ両方の工事見積もりを貰って比較するのが有効です。

「ドレン排水」のための配管が1本増える

ドレン排水の位置

従来型からエコジョーズに交換するにあたって、ドレン配管と呼ばれる「給湯器内の結露を排出するための配管」を新たに施工しなくてはなりません。もし屋内設置の給湯器で洗面所に設置されているのであれば、洗面所の床に穴を開けて床下で排水管とドレン配管を繋げるという作業が必要になります。

屋外の場合だと雪国の場合は凍結する可能性が出てくるので、ドレン配管も凍らないような処置をしてやる必要が出てくるでしょう。多くは凍結予防ヒーターを巻くことになると思いますが、既に屋外コンセントを使用しているような状況だと新たにコンセントを増設しなくてはならない可能性が出てしまうことも。

これらの工事はすべて工事業者がやってくれるので、ユーザーとしては特に困ることも無いでしょうが、本体価格に差は無くても取付業者の作業料には差が出るはずです。そして中には「床に穴を開けたりっていう大規模な工事になるくらいだったら別に従来型でも良かった」という人もいるので、この辺りは注意が必要です。

浴槽三方弁ユニット

そしてマンション設置の場合、ドレン排水の処理にユニットバスの排水を使用するケースがあります。この時は「浴槽三方弁ユニット」という部材が必要になり、これがメーカー希望小売価格にして約16,000円です。従来型からエコジョーズに変更する場合、このような出費が出てくる可能性もあるので注意してください。

浴槽三方弁ユニットはメーカーによって物が異なるため、この先「給湯器メーカーを変更したい」という時にも無駄な出費につながってしまう恐れがあります。

修理費用と故障率はやや高め

エコジョーズには、従来型のガス給湯器には搭載されていなかった部品が幾つか搭載されています。それは「高効率を実現するための部品」なのですが、これが増えた分「給湯器として壊れる箇所が増えた」という見方もできるんですよね。

給湯器に限らず機械はなんでもシンプルな方が長持ちするので燃費が良くなって複雑化した分、どう考えても故障率は上がったと言えます。ここについては従来型と同じくらいの件数のデータを取って検証しないといけないため、確定事項ではありませんし、それに準ずるデータも無いので現時点では「私の予想」にしか過ぎません。

しかしエコジョーズには「時期が来たら必ず交換しなければならない部品」も存在し、それは給湯器が故障する・しない関係なしに交換が必要な消耗部品のようなものなので、10年間部品交換をしなくても済む可能性はほぼゼロになったと言えるでしょう。

ちなみにその部品は「中和器」と呼ばれる部品です。給湯器の汗は酸性なのですが、それをそのまま排出してしまうと酸の影響で配管が腐食してしまう可能性があるため、機械の中で中和してから排水させるという役割を持っています。ノーリツ製のエコジョーズであれば中和器の交換に15,000円前後の費用が発生するので、これを知らずにエコジョーズを選んでしまうと後悔してしまう時が来るかもしれません。

光熱費が抑えられるかどうかはユーザー次第

これまでは「2年もあれば従来型との金額差をペイできますよー」と書いてきましたが、それはあくまで「メーカーが定めている条件による使用量の場合」という条件になります。分かりやすく極端に言うと、月に1000円しかガス代を使わない人は月に2000円のガス代の節約はできないってことです。

そもそものお湯を使う量が多ければ十分にペイできる可能性は高くなるのですが、切り詰めて切り詰めて最低限でやりくりしているような節約家族の場合だと、そこまで高い効果が見込めないというケースが少なくありません。

例えば年頃のお子さん2人を抱えている4人家族とかなら、メーカーで試算しているような基準を十分に満たせる可能性はありますが、おじいちゃんとおばあちゃんの2人暮らしとかだと元々のお湯の消費量も少ないことが予想されます。そうなってくるとエコジョーズの恩恵が受けられず、大して従来型と変わらないという結果にもなりかねないでしょう。

さすがに損をするということはないでしょうが「損得勘定から節約効果を大きくするためにガスを使う→結果、ガス料金が高くなる」という、節約になってるのかなってないのかが分からない事態にならないように注意が必要です。

結局、エコジョーズって良いの?悪いの?

私が考える結論としては、ガス給湯器を使うなら従来型よりもエコジョーズの方がいいです。石油給湯器(エコフィール)の場合だと正直微妙だと思う部分がありますが、ガスならエコタイプの給湯器を選んで間違いないと思います。

細かく計算したわけではありませんが、修理費用などを加味してもエコジョーズの方がトータル的にお得になることが多く、迷うくらいならエコジョーズで問題ないでしょう。あまり得しなかったというパターンはあっても、損をするということは無いと思います。

ただし、あまりにも普段のガス使用量が少ない場合はそこまでお得になるわけではないという部分はしっかりと抑えておかなくてはなりませんし、年数経過によって必ず交換が必要な部品(中和器)があるというデメリットはしっかりと理解しておきましょう。

あとは「ドレン配管の施工に手間や費用がかかる」という場合も、少しおすすめしにくいです。このあたりは施工業者からしっかりと説明を受け、お客さんご自身で考えるのがベストだと思います。

こたろー

修理費用や故障率についてはエコジョーズを購入した後で「保証延長」に加入すると良いです。これに加入すると別途費用は掛かりますが、加入期間中の通常呼称はすべて無料になるので、故障率を考える必要はなくなります(ただし中和器の交換は有料です)。

エコジョーズを安く購入するには?

給湯器駆けつけ隊

これは「給湯器駆けつけ隊【PR】」という給湯器交換業者の販売価格です。私が知る限りの最安値で給湯器を提供している給湯器交換業者になります。その値引き率は最大91%OFFです。

対応地域が限られていて東北・北海道に住んでいる方は確認が必要ですが、それ以外の地域であれば全国的に対応しています。もし東北・北海道以外にお住まいの方で給湯器の交換を検討している方は、ぜひ問い合わせてみることをおすすめします。

エコジョーズのメリット・デメリット まとめ

エコジョーズは従来型と比べてお得になるケースがほとんどであり、普段からのガスの使用量が多ければ多いほどお得になる
デメリットとしては価格の高さが挙げられるが、本体価格よりも必要部材費や取付作業料に注意
エコジョーズは年数経過で必ず中和器の交換が必要になる

エコジョーズでトラブルになるケースとして「購入する際に良いことしか聞かされず、中和器の交換が必要になるとは聞かされていなかった」というトラブルがあります。確かに販売する方は良いことしか言わない傾向も強いので、メリット・デメリットをしっかり調べたうえで購入に踏み切るのがいいでしょう。

中和器の交換、初期費用の高さ…。それらを考えても差額はせいぜい5万円以下ですし、5年も使えば十分に元が取れると思います。悩んでいる方には、ぜひエコジョーズをおすすめします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

コメント

コメントする

目次