たまたまYahoo知恵袋を見ていたら給湯器の故障で頭を悩ませている方がおり、似たような質問が結構ある事に気が付きました。多くの質問が「エラー〇〇〇で修理料金が△△円と言われたのですが、こんなにかかるものなのでしょうか?」というものです。
意外と親切な回答者さんが多くて「大体▲▲円くらいですよ」と応えてあげている人がいましたが、実際に修理業務に携わっている私から言わせていただくと「エラー番号だけで修理料金なんか答えられるかバカヤロー」です(※バカヤローは言い過ぎました、ごめんなさい)。
というわけで今回は、エラー番号だけで修理料金は分からないし判断できないということをご説明したいと思います。
実際のYahoo知恵袋の質問例
実際の質問は上記のような感じです。この手の質問は非常に多いのですが、この質問を整理すると以下のようになります。
- GTH-2417AWX3Hのエラー140
- 修理業者から10万円ほどかかると言われた
当ブログにも読者様から質問を頂くことがありますが、製品名が書かれているのとそうでないのとでは答えやすさに大きな違いが出てきます。この質問にはメーカー名、製品名が書かれているので、まず大まかな状況は伝わってきました。
エラーコードは140ということで詳しくは後述していますが、E140は安全装置のエラーです。部品代自体は非常に安いのですが、これだけを交換してもE140が再発してしまうことが多く、総じて高額修理になりやすい修理の一つです。
この質問者さんは、修理業者の方に修理するなら10万円かかると言われて不信感を持ってしまったようですね。それでは1つずつ掘り下げていきましょう。
ノーリツ製の給湯器のE-140とは?
過熱防止装置作動
- 温度ヒューズが作動:何かしらの不具合が原因で温度ヒューズが断線したケース
- 温度ヒューズが故障:温度ヒューズ自体が故障したケース
ここで質問者様が言っているE140というのは、温度ヒューズと呼ばれる安全装置の不具合です。安全装置がエラーを出している場合というのは、大きく分けて「安全装置が作動した場合」と「安全装置そのものに不具合がある場合」の2パターンあります。
もし後者であれば部品そのものを変えてやればいいので、部品代+出張料+作業料になり、どんなに高く見繕っても10万円を超えるような修理になるとは考えにくいです。
ちなみにノーリツ製のGTHという機械は、熱交換器が2つあるので最低でも温度ヒューズは2つ取り付けられています。もし温度ヒューズが1つ当たり3,000円とすると、高く見積もって3万円くらいになるのではないかと思います。
熱交換器やバーナーに原因がある場合
温度ヒューズは熱に反応して異常がある場合に切れることで機械を動かせなくするという安全装置です。例えば給湯器から火が噴いても動作が止まらないなんてことになれば被害が拡大してしまうので、給湯器本体が異常に熱を持った場合などに強制的に止める役割を持っています。
もし熱交換器やバーナーなどに原因があってE140を出している場合は、温度ヒューズだけでなく「温度ヒューズがエラーE140を出すことになった根本的な原因」を取り除いてやらなくてはなりません。熱交換器の詰まりが原因で温度ヒューズが断線していたとすれば、温度ヒューズだけ交換してもまたすぐに断線してエラーを出してしまうのが明らかだからです。
このような場合だと温度ヒューズが断線する原因となっている熱交換器の詰まりを解消しつつ、温度ヒューズを交換しなければなりません。上記の場合は温度ヒューズの修理料金に加え、熱交換器の詰まりなどの修理費用も上乗せになります。
場合によっては熱交換も掃除では間に合わず、部品交換が必要になってくるケースもあり、こうなると修理費用のトータルが10万円を超えるケースも珍しくないでしょう。ただしこのケースは診断してみないとハッキリと断言できないので、見てもいないのに10万円ほどかかるという判断を下すのは難しいです。
耐用年数に差し掛かっている給湯器の場合、燃焼不具合を伴っているケースが多く、再発するとクレーム事案になることから温度ヒューズだけを交換するというケースは少ないです。
状況を見ないで10万円以上かかると判断できる場合
給湯器の使用年数による判断
給湯器の耐用年数は7年~10年なので、もしこの質問者様の給湯器が10年を超える使用期間だったとすれば、10万円を超えるようなしゅうりになってしまうケースも十分に考えられます。
例え今は温度ヒューズのみの不具合だとしても、10年近く経過しているのであれば今後バーナーなどに不具合が出てまた温度ヒューズが断線してしまう可能性が高く、その時にお客さんは「この前修理したところがまた壊れた」としか思ってくれません。
であれば今後E140に関わりそうな部品は、ここで交換しておいた方が後々のクレームに繋がりにくいと考えるのも事実で、その場合はあれもこれもという修理になり、高額になってしまうケースが考えられます。ただしこれも見てみないと断言はできませんし、普通であれば状況確認後にその旨の説明があるはずです。
しかしながら給湯器は、10年を超えても使用し続けることは例外という考えに変わりつつあります。2009年以降に生産された給湯器は「10年を超えてまだ使用する場合は専門家による点検を受けること」というルールに変わっているため、使用年数によっては買い替えた方がいいというくらいの修理費用が発生しても不思議ではないと言えるでしょう。
業者が新しい給湯器を売りたいと考えている場合
業者が修理よりも新しい給湯器を売りたいと考えているケースは多く、この場合は修理見積もりを高くすることで「修理でこんなにお金がかかるなら買い替えた方がいい」と思わせることも少なくありません(特にメーカーサービス以外の業者の場合)。
質問者様は「ノーリツ経由で修理の見積もりをお願いした」と書いていますが、それが本当にノーリツのサービスショップだったのかは疑問です。基本的に給湯器の修理は専門の業者にしかできないので(交換作業は多くの業者が可能)、それ以外の業者は「修理になると自社売上にならない→何とかして買い替えさせたい」となる業者も多く存在します。
サービスショップが修理見積依頼の時点で修理をお断りすることはほとんどありません。あるとすれば型式から部品が既に入手不可になっているケースか、以前に修理した際の料金が未払いの場合等だと思います。
エラー番号だけで給湯器の修理料金は判断できない まとめ
- 現場も見ないで金額を決めることは無理
- 給湯器の高額修理には10万円を超えるケースもある
もし今までに修理したこともなく、現場を全く知らないというメーカーサービスが「そのエラーなら10万円はかかりますよ」なんて適当なことを言っているのであれば、消費者センターに喋って大ごとにしてやりましょう。
ただ、何度も修理訪問していて「もういい加減、修理はしないで交換した方がいい」と再三に渡って説明してきた場合であれば、診断せずに高額修理になる旨を説明することがあるかもしれません。
いずれにしてもこの質問者様もおっしゃっている通り、それだけ高額修理になるくらいなら新しい給湯器に交換した方が絶対にいいので、年数が経過した給湯器でE140が発生し、温度ヒューズだけの問題じゃ済まないという場合は買い替えの方向で検討することをおすすめします。
コメント