給湯器には様々なエラーがありますが、その中でも他のエラーと大きく違うのが「E888、E88」というエラーです。これは給湯器メーカー共通のエラー番号で、内容が「点検時期のお知らせ」となっています。つまり給湯器の故障じゃないんです。
もちろん点検にはお金がかかるので点検を受けるかどうかはお客さん次第なのですが、給湯器界隈のルール上「リモコンでエラーを出しているように見せかけて点検時期をお客さんに知らせる」ということになっています。
というわけで今回は「給湯器のエラー888、88は点検時期のお知らせの表示で、そもそも故障じゃないし、これは簡単に消せるよ」という話をしていきたいと思います。
給湯器のエラー「E888、E88」の消し方
最初に結論を書きますが、エラー888の具体的な消し方はメーカーや機種によって変わるので、あなた自身がメーカーに電話をかけて聞いてください。
この時、給湯器を取り付けてくれた業者などに電話をかけるのではなく、あくまでメーカーに直接電話をするようにしましょう。メーカーの番号は取扱説明書に記載されています。
私は普段から各家庭の給湯器を修理して回っていますが、点検を受けてくれたお客さんについてはその場でエラー表示を消しています。一方で「点検は不要だけど888のエラー表示だけは消したい」というお客さんもたくさんいるので、そういう人には弊社ではなく、メーカーからエラーを消す手順を案内してもらうというルールです。
上記画像の②のような感じで給湯器本体にはシールが貼られており、そこには給湯器の型番や機種名が書かれています。必要に応じ、給湯器の型番や住所・氏名などを聞かれるかもしれませんので、給湯器の外観に貼られているシールの画像をスマホで撮影するなどしてから、メーカーに電話するのがおすすめです。
通話料金以外に費用は発生しませんし、2021年現時点では強制的に点検を受けさせられるということもありません。
給湯器のエラー888、88の詳しい内容
給湯器は特定保守製品で、10年目を迎える際に点検が必要になった
長期間の使用に伴い生ずる劣化(経年劣化)により、安全上支障が生じ、特に重大な危害を及ぼすおそれが高い「特定保守製品」9品目について、「消費生活用製品安全法(消安法)」が改正され、「長期使用製品安全点検制度」が2009年(平成21)年4月1日より施行された点検制度です。
経済産業省 – 長期使用製品安全点検・表示制度
一昔前の給湯器は長く使ってもエラー888が表示されるなんてことはなかったのですが、2009年4月以降に製造された特定保守製品を対象に、「耐用年数に差し掛かっている給湯器は今後の事故を防ぐためにも点検を受けましょう」という決まりができました。
主に電気、ガス、石油なんかを使う給湯器や瞬間湯沸かし器、暖房機などが対象となっています。「機器寿命が10年と言われている古い機械を使って、使用20年目にして事故が発生した」などの事例を防ぐためです。
ストーブなんかでも「何十年も使用したものが火を噴いた」という感じで、ニュースになったのを見たことってありませんか?メーカーとしては何十年も使用することを想定していないのですが、かと言って事故が起きてしまったものを知らんぷりするわけにもいかず…。
じゃあどうしようかと考えた時に「寿命が差し掛かっている機械は点検することにして、実際に点検をしてもらうかどうかはお客さん次第にすればいいのでは?」という案がでたんじゃないかと思います。
給湯器は使用年数よりも燃焼時間などによって寿命・耐用年数が変わってくるため、一概に言うのも難しいのですが、あえて年数で言うのであれば給湯器の寿命は「7年~10年」というのが各メーカーの見解です。
元々、施工業者かお客さんが「所有者登録」をすることがルール
給湯器に限らず、ガスコンロや食洗器なんかもそうですし、トイレのおしり洗浄機ですらも所有者登録がルールとなっています。
物によっては「所有者登録をしてくれれば保証期間が1年延長になる」というようなサービスを行うことで、なるべく所有者登録という制度に対して周知を心掛けているのですが、給湯器に関してはそのような計らいがありませんでした(メーカーや機種によっては恩恵がある場合もあります)。
そしてこの制度が始まった時点で「所有者登録が必要だと理解していない施工業者が多すぎた」ということもあって、所有者登録をしていないお客さんが多すぎるという事態になっています。施工業者が理解していれば、お客さんに案内も出来たんでしょうけど、それが出来ない業者が多すぎたと言われています。
しかしそれは給湯器メーカーも予測していて、先回りで「給湯器が10年くらい稼働したらリモコンにエラーが表示されるような仕組み」を組み込んでいました。これがエラー888です。
点検はあくまで有料のため、依頼するかどうかはお客さん次第
エラー888はあくまで点検時期のお知らせであって、点検を受けるかどうかはお金が発生する問題なので、その選択はお客さんに委ねられています。
恐らくメーカーの本音として「10年が寿命の目安になっている給湯器を十年以上も使われて、万が一事故に繋がってしまった時に『だからあの時に点検してってお願いしましたよね?』ということを言いたい」んじゃないかというのが私の考えです。
何にも案内しなければ、お客さんから「そんなの知らなかった」と言われてしまった時に都合が悪いんじゃないかと思います。所有者登録の有無だけだと施工店のミスの可能性も出てくるので、給湯器そのものにエラーを表示する仕組みを作っておいて、お客さん本人とコンタクトを取ろうということなんでしょう。
私が勤めているサービスショップにも、お客さんから「エラー88って表示されてるんだけど…」という依頼が来ます。点検依頼であれば対応できるのですが「点検は不要だからエラーだけ消したい」というお願いは、メーカーに回すように指示されています。
点検を受けない場合は「どこに設置されている給湯器が点検を受けないことになったのかということをメーカーで把握しておきたい=番号を消す案内はメーカーが行いたい」のだと思います。
点検をお願いすると費用はどのくらい?
メーカーが勝手にキャンペーンなんかをやっていたりするので、たまに安くなったりもしていますが、基本的には10000円程度の点検費用が掛かってしまうと考えてもらうのが無難です。ちなみに上記の料金表はノーリツのものですが、リンナイなど他メーカーも同じくらいの料金設定となっています。
しかもこれはあくまで点検と簡単な調整のみの金額であり、ここで見つかった不具合を修理する場合は別途費用が発生するという感じです。
「点検時期のお知らせが表示される給湯器=使用年数はそこそこ経っている」ということで、あちこちに経年劣化が出ている状態だと思います。もし部品交換が必要になるような不具合が見つかった場合は、修理ではなく買い替え交換も視野に入れて検討してみてください。
まとめ
給湯器のエラー888、88は点検時期お知らせの表示
点検は有料で強制ではない
故障じゃないから無視でも問題ないが、エラー表示を消したい場合は各メーカーへ
ちなみに弊社に直接連絡をもらったお客さんを見ていると、表示を消すだけよりも点検してもらうという選択をするお客さんの方が多いです。ただ、点検したからと言って劇的に長く使えるということはなく、あくまで点検時点で故障が無いかどうかを見るだけなので、最終的にはお客さん次第ですね。
アドバイスとしては「点検時点で問題なくても、点検直後に故障したりすれば点検者としても気まずい」というのがあるので、その後の故障の際に恩恵が受けられるかもしれません。
そもそも使用開始から10年に差し掛かる給湯器はいつ壊れてもおかしくないという前提がありますし、故障が発生する可能性と天秤にかけても、10000円程度の費用に見合う価値は得られるんじゃないかと思います。
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