入浴剤が給湯器に与える影響|風呂釜を傷めるイオウは入っておりませんという表記は勘違いしやすい

入浴剤が給湯器に与える影響 「風呂釜を傷めるイオウは入っておりません」 この表記は勘違いしやすいから注意!

 

普段から入浴剤を使用しているというご家庭も少なくないと思いますが、中には「入浴剤って給湯器に悪い影響があるんじゃないだろうか」と心配しながら使用しているという人もいるのではないでしょうか。

そんな人の多くは入浴剤のパッケージに書かれている一文「浴槽・風呂釜を傷めるイオウは入っておりません」という文章を読んで、背中を押されているという人も少なくないと思います。

 

ただ個人的には、これは語弊を招く表現なのではないかと考えているんですよね。イオウが入っていないってだけで、どこにも「風呂釜に影響はありません」とは書いていないんです。

そこで今回は『「浴槽・風呂釜を傷めるイオウは入っておりません」という表記は勘違いしやすい』というタイトルで、イオウが入ってなくても入浴剤が給湯器に対して影響を与える場合があるということを説明したいと思います。

目次

なぜイオウは風呂釜を傷めるのか

なぜイオウは風呂釜を傷めるのか 給湯器の内部構造に注目!

 

イオウ成分と聞けばそれを含んだ温泉が多いことは周知の事実で、効能としてはリウマチや抗アレルギー効果が期待できると言われています。

そして今現在、市販されている入浴剤のほとんどが「浴槽・風呂釜を傷めるイオウは入っておりません」という表記をしているんです。私の見てきた限りだと全ての入浴剤に表記されていました。温泉の成分にもなっていて人間の身体にも良い効果をもたらすとされているイオウが、なぜ給湯器や風呂釜に対して悪影響をもたらすのでしょうか。

 

簡単に言うと銅を腐食させてしまうんです。中学校の理科の授業で銅と硫黄を化学反応させたことがあるという人も多いのではないかと思いますが、ピカピカの銅がくすんだ青色というか暗い色になってボロボロ崩れるようになってしまいます。

給湯器の内部に使用されている多くの部品が樹脂、あるいは銅やステンなどの金属から構成されています。このうち水通路部に使用されている部品の多くが銅であり、銅がイオウと化学反応を起こして腐食してしまうんです。

イオウ成分を含む入浴剤を使うと、ふろ回路の動画腐食して水漏れをしてしまうので、イオウ成分が入っている入浴剤は言うまでもなくNGという扱いになっています。

 

「イオウが入ってない=安心」というわけではない

「イオウが入ってない=安心」ではない 多くの人が勘違いしてしまう事実

 

これを受けて各入浴剤のメーカーは「イオウは入っていません」という注意書きを書いているわけですが、ここだけを素直に受け取ってしまうと「イオウが入っていなければ安心だ」という考えに繋がってしまうのではないかと思います。これは大きな間違いです。

ちょっと屁理屈のようになってしまうかもしれませんが、入浴剤メーカーはイオウが入っていないと言っているだけであって、入浴剤に影響がないとは言っていません。

 

実際に入浴剤を全く使わない家と入浴剤を頻繁に使用する家とで故障率は変わってきます(ただし入浴剤の種類を正しく選ぶことと、日々のメンテナンスで入浴剤の影響を遥かに小さいものにすることは可能です)。

ではイオウが入っていないことの他に、入浴剤を選ぶ際はどのような点について注意すればいいのでしょうか。以下で詳しく解説していきたいと思います。

にごりタイプの入浴剤は危険

にごりタイプの入浴剤は危険! 使用するなら透明タイプが望ましい

入浴剤には大きく分けて2種類「透明タイプ」「にごりタイプ」があります。多くの入浴剤には、このどちらに該当するかという表記がされているので確認してみてください。そしてにごりタイプは少し危険です。

もちろん浴槽に入れても追い炊きをしないという使用法であれば問題ありませんが、追い炊きをしてにごりタイプの入浴剤が溶け込んだお湯が給湯器の内部に入ってしまうのは、給湯器に対して良いことではありません。

 

にごりタイプのお風呂に入った後は、お湯を捨てると浴槽の中がぬめぬめした状態になりますよね?そのままの状態で裸足で浴槽に入ろうものなら滑ってしまいそうなくらいです。

そうなってしまった場合はシャワーをかけながらブラシでゴシゴシやって浴槽を綺麗にしてから新しいお湯を入れるという人がほとんどだと思いますが、その浴槽と同じ状態が給湯器の中でも起こっています

 

放置した時間が長ければ、入浴剤成分が沈殿して各部品に詰まってしまう可能性も考えられるでしょう。1番多いのはサーミスタと呼ばれる温度を計っている部品ににごり成分が付着し、温度測定の感度を下げてしまうという不具合です。こうなるとお風呂の温度調整が上手くできずに、設定温度よりも熱い・冷たいという症状が出てしまうことがあります。

給湯器の内部は浴槽と違ってブラシでゴシゴシ洗うことはできないため、入浴剤の沈殿成分が給湯器内部の部品に悪さをしてしまうと手の施しようが無くなってしまうというわけです。

 

入浴剤のトラブルを無くすには?

透明タイプのものを選ぶ

にごりタイプのものは追い炊きしない

定期的に配管洗浄をする

 

透明タイプの入浴剤を選ぶ

入浴剤の中でも透明タイプと呼ばれるものは比較的機器への影響が少ないとされています。

バブなどの炭酸湯と呼ばれる入浴剤の多くはこの透明タイプに該当するように思いますが、見分け方としては「透明なコップにすくった時に光を通すかどうか」や「浴槽の中に鍵を落としたと仮定して、それがどこに落としたかがすぐに分かるかどうか」で判断可能です。

このタイプの入浴剤であれば使用直後に給湯器がすぐに故障してしまうというケースはほとんどありませんし、しっかりと使用後のメンテナンスをしてあげればそこまで大きな問題はありません。

 

にごりタイプの入浴剤は追い炊きしない

「透明タイプの物ならOK」と言われてしまうと「じゃあ何でにごりタイプなんか売ってるんだよ…」と思ってしまう人もいることでしょう。実際に入浴剤市場を見渡してみると、にごりタイプのものの方が「すべすべ肌になれる、保湿効果が高い」などの女性に嬉しい効果が多いです。

どうしてもにごりタイプの入浴剤が使いたいのであれば、追い炊きしないという方法をおすすめします。追い炊きしないのであれば給湯器への影響は考えなくてもいいので、入浴剤を入れる直前に沸かして、あとは入浴剤を入れてお風呂を楽しみ、入浴が終わったらお湯を捨ててしまうという方法で問題ありません。

 

ただし風呂自動ボタンでお風呂を沸かしてしまうと保温動作によって、追い炊きボタンを押していないのに勝手に追い炊き動作に入ってしまうということがあるので注意しましょう。

それから寒冷地に住んでいる方の場合は、真冬日になると凍結予防が作動する恐れがあります。この場合も追い炊きボタンを押していないのに、お風呂のポンプが動いてしまうことがあるので注意してください。

参考「風呂釜に影響のある入浴剤でも追い炊きしなければ大丈夫?」に答える

 

定期的に配管洗浄をする

入浴剤を定期的に使用しているというご家庭の場合は、市販の配管洗浄剤を使ってメンテナンスしてあげるのも有効だと思います。頻度としては月に1回でも2~3ヶ月に1回でも結構です。やるのとやらないのとでは、大きな差が出てくることでしょう。

1番良くないのは「入浴剤を使ったお湯を一晩放置し、入浴剤成分が沈殿したり固着したりすること」なので、にごり系のお湯を何日間か連続で使用するなんてことは給湯器にとって高リスク以外の何物でもありません。

配管洗浄はお湯を捨てた直後なら配管クリーン機能(搭載されているかどうかは機種による)による配管洗浄も効果的ですが、やはり定期的に市販の洗浄剤を使用して掃除してあげた方が効果的です。

 

 

ただし市販の洗浄剤では除菌がメインで、こびりついた汚れを落とすことは難しいです。もし今までお風呂配管に気を遣ってこなかったという場合は、一度プロに依頼して徹底的に配管洗浄してもらうことをおすすめします。

関連記事年末の大掃除、浴室や追い炊き配管のクリーニングは「おそうじ本舗」がおすすめ

 

まとめ

イオウが入っていないからと言って、全く影響がないというわけではない

透明タイプはさておき、にごりタイプは割と影響が強い部類である

にごりタイプを使用したとしても、追い炊きしなければ機器に影響はない

 

「浴槽・風呂釜を傷めるイオウは入っておりません」と言われると、なんだか安心してしまうような気もしますが、数ある悪影響の中の1つがありませんと言っているだけなんです。

良い例えが思い浮かばないんですけど、例えば「このタバコにはニコチンが含まれていません」って書いてたとして、じゃあそれで健康被害がないかって言ったら微妙じゃないですか。タールやら一酸化炭素やら、色々と影響がありそうな成分はありますし。

見方を変えれば「イオウは入ってないって言ったけど影響がないとは書いてない」という意味も見えてくるので、その辺のタチが悪いというか少しズルいなぁと感じる今日この頃です。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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