給湯器や水道工事の詐欺に関する話|プロが内部事情を語る

給湯器や水道工事の詐欺に関する話 プロが内部事情を語る

給湯器の修理・交換の仕事をしていると一昔前と比べて詐欺が横行しているせいか、たまーにではあるんですがお客さんから「これは詐欺なのではないか?」という思わぬ疑惑を持たれてしまうことが多々あります。

この業界に身を置いている私自身からしても、他業者の行動をお客さんから聞いて「それはちょっと詐欺と言われても仕方ないのでは?」と感じる部分があることも珍しくありません。逆に弊社の行動で「これはお客さんに怪しいと思われても仕方ないのでは?」と感じることも多々あります(もちろん弊社としては騙すつもりは一切ないです)。

そこで今回は「給湯器の修理、買い替えに関する詐欺について」の内部事情を書いていきたいと思います。実際に給湯器の修理・交換業務に携わっている私自身の体験や、実際に聞いた話などを元にご紹介していきますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

目次

給湯器の交換に関する詐欺

給湯器の交換費用、販売価格、作業料に関する詐欺

給湯器の交換工事完了後に金額面でクレーム

給湯器の交換工事完了後 金額面でクレームを言われるケース

弊社では給湯器の修理業務を請け負っていますが、修理の流れでどうしても「これはもう修理じゃなくて新品に交換した方がいい」という状態の給湯器を点検することがあります。そうなると話の流れでどうしても「修理じゃなくて交換だったらいくらになるの?」と聞かれるのですが、結論から言うと弊社の交換見積もりは他業者に比べて高いです。

これは騙そうとしているのではなく、仕入れ値が高いせいで安くできないというのが大きな理由で、お客さん側が他業者と比較していれば簡単に回避できた問題でもあるのですが…。弊社は見積書を提示するものの、お客さんは「どこに頼んでも似たようなものだろう」と感じたのか、特に他業者と比較することなく弊社に依頼をしてくるということが結構あります。

結果、工事が終わった後でご近所にお住まいの方との世間話などから「お隣よりも数万円高かったんだけど詐欺じゃないの?」と言われてしまうという感じです。

給湯器交換の際には相見積もりが絶対的に重要な理由

給湯器交換の際には相見積もりが必須! 必ず比較・検討して欲しい理由

給湯器の金額はメーカーの希望小売価格があって、この金額は非常に高く設定されています。ここから値引きをし、そこに取り付け作業料などが乗っかる形になるので、基本的には「給湯器のメーカー希望小売価格は全くアテにならない」と思ってください。

60%OFF~80%OFFが普通にある世界なので「カタログに40万円で掲載されているものが20万円で購入できる」というのが決して珍しくありません。これを防ぐためにも、給湯器の交換をする際は複数業者を比較検討するということを強くおすすめします。

もちろん業者側にも「給湯器が使えないなら一刻も早くお湯が使いたいはずだ」という思惑があり、お客さんの弱みに付け込むような感情が一切無いとは言いませんが、私が知る限り多くの業者は「自社なりのそこそこの金額提示はしているものの、仕入れ値の違いで業者ごとに大きな価格差が生まれている」というのが現状だという印象です。

こたろー

複数の業者から見積もりをもらって比較することを「相見積もり」と言いますが、給湯器交換で損をしたくないなら絶対にするべきです。

技術的に未熟な業者による施工に関する詐欺

技術的に未熟な業者による施工 技術面も事前にある程度は見抜ける!

部材の再利用で見積もり金額を抑えていた悪徳業者

給湯器の交換業者と一口に言っても技術力はピンキリです。中には「これでよくお客さんからお金を取って施工したな」と思うような、とんでもない現場も多々あります。そしてよほどのことがなければ、取り付け方の良し悪しはお客さん自身が見ても分からないことが多いです。

給湯器周りの配管は優良業者でもすべてを新品に交換するということは無く「変えるべき部分は交換し、再利用可能な部分は無駄に交換しない」というのがベストと言えるでしょう。ここを「必要以上に部材を新しくして必要経費を上乗せする」とか、あるいは「本来なら交換が必要な部材をケチって交換費用を抑える」ということをする業者もいます。

こうなってしまうと「金額的に安くても、それは交換が必要な部材を交換しなかっただけ」ということになり、安いからと言って良い業者とは言えないわけです。これは実際に施工してもらわないと気付きにくい部分ですし、一般的なユーザーからすれば施工後もなかなか分からない部分とも言えます。

こたろー

大半は使用して1年~2年くらい経ってから給湯器が故障し、修理訪問した私のような人間に「施工が悪いせいで故障した」と言われ、そこで初めて気付くという感じでしょうか。

技術的に未熟な業者を見抜く方法

実際に施工してもらう前に完璧に技術不足の業者を見抜く方法はありませんが、割と有効な判断基準をお教えします。これも結局は金銭面でのトラブルを回避するのと一緒なのですが、複数業者から見積もりをもらって比較することです。

見積書の多くは「本体価格/取付作業料/部材費」などで構成されているはずですから、どこで金額的に差が生まれているかを見ていくといいでしょう。本体価格や取付作業で金額差が生まれている分については問題ないことが多いですが、部材費で大きく金額差がある場合は要注意です。

誤った施工方法によって給湯器が故障してしまった事例

給湯器が普通の買い物と大きく異なる点は「商品購入だけでは終わらず、それを取り付けてお湯が使えるようになって初めて取引が完了する」という点です。そして取り付け方が悪いと、新品の給湯器でも一日で壊れてしまうことがあります。

施工業者のミスや技術不足によってもたらされた故障のため、本来なら施工業者によって新品の給湯器を正しく施工し直すべきなのですが、それをやらないから悪徳業者なわけで…。さすがにとんずらされるケースはあまり見ませんが、新品なのに修理になってしまったり、支払いで揉めたりなど踏んだり蹴ったりになってしまった現場もありました。

これは工事保証がある業者に依頼することである程度は防ぐことが可能です。そもそも施工ミスで故障してるわけですから、保証も何も責任を取るのが当たり前だとは思うんですが、そのような当たり前のことができない業者がいるのも事実なので注意してください。

給湯器の修理に関する詐欺

修理できない業者が診断している可能性あり

給湯器を修理できるのはメーカーのみ メーカー以外は修理できない

意外と知られていないのですが、給湯器の修理は各メーカーのサービス会社(メーカーサービス)にしかできません

給湯器の交換作業(新しい給湯器と古い給湯器の入れ替え作業)を仕事にしている業者は非常に多いです。しかし給湯器の修理業務となると限られた業者しかできません。つまり「給湯器の買い替えの場合は複数の業者を比較検討できるけど、修理に関しては複数の業者の比較検討が難しい」ということが言えます。

車なんかだとディーラー以外にも修理業者がたくさんいるような印象がありますが、給湯器のメンテナンスができる業者は非常に少ないです。弊社のある都道府県では一つのメーカーにつき一社しかメンテナンス業者がありません。

そのため弊社が修理訪問して修理金額に納得してもらえず、お客さんから「他の業者にあたってみる」と言われた場合、巡り巡ってまた弊社が伺うことになるという感じです。

一部の業者は修理させないように必死になる

給湯器交換業者の中には「修理をできないと言ってしまうことがカッコ悪い」とか「修理できないのではお客さんからの信頼を失ってしまう」ということで、修理が出来るテイで接客をするという業者が非常に多いです。

こういう業者はお客さんから修理依頼を受けても「とりあえず新品の給湯器への交換・買い替えを進める」というスタンスになります。お客さんに対する説明自体は最もなことを言っているかと思いますが、結局やっていることは「修理だとメンテナンス会社に美味しい所を持って行かれるため、そうなる前に自分の所で交換・買い替えさせたい」というのが本音です。

なので、まずは交換希望なのか修理希望なのかをハッキリさせましょう。少しでも修理したいという気持ちがあるなら、迷わずメーカーサービスに依頼することをおすすめします。給湯器に関しては修理と買い替えは全く別物として考えてください。

修理は修理でメーカーにしっかりと見てもらい、交換は交換で色んな業者を比較検討するといいです(ちなみにメーカーで買い替える場合は金額的に高いことが多いです)。

こたろー

最初から交換を検討している場合でもメーカーサービスに見てもらうメリットはあります。よほど点検診断料が惜しいという場合を除き、交換前提の給湯器でも点検してもらう方がいいこともあるので注意してください。

必要以上の修理を提案されるケース

必要以上の修理を提案されるケース 劣化した給湯器の修理は難しい

修理金額は修理をする人間に聞いてほしい

弊社でもこの手のトラブルが結構多いのですが「修理するのにそんなにお金が掛かるのか?」という感じのトラブルです。前項でも軽く触れましたが修理ができる業者は限られているにも関わらず、あたかも修理できるかのように適当なことを言う業者が少なくありません。

全部が知ったかぶりとは言いませんが、自分では修理しないくせに「たぶん3万円くらいで直ると思いますよ」みたいなことをお客さんに説明する業者がいて、その後で弊社が訪問して10万円ほどの修理見積りを出してトラブルになるという感じです。

こういう場合、なぜか「安く言った方が正しく、高く言った方が悪者」と考えるお客さんがほとんどです。個人的には「じゃあその人に3万円で修理してもらってください」と言いたくなります(しかしその人は修理できないので、いつもトラブルになります)。

あちこち劣化している給湯器をどこまで直すか

劣化している給湯器をどこまで修理するかという判断は非常に難しい部分があり、正直言うと弊社の中のサービスマン同士でも修理見積もりの金額は変わります。「今壊れている部分を直すのは当然として、今後すぐに壊れそうな可能性がある場合、どこまで面倒を見るのか」という部分は、メンテナンス業者にとっては永遠のテーマと言っても過言ではありません。

特に使用期間が10年近くになった給湯器は「いつ壊れてもおかしくない状況」であることが非常に多いので、次から次へと故障が立て続けに発生してしまうということが結構あります。こんな状況の給湯器を修理する場合、最低限の修理だけをしていると次に別の箇所が壊れてしまった時に「あの時になんでこっちも一緒に修理してくれなかったのか」というクレームを受けることが非常に多いです。

これを防止する意味でも、ある程度の予防修理はやむを得ないと考えている部分があるので、最低限の修理でいいと考えているお客さんからすると詐欺のように感じてしまう側面があるのかもしれません。しかし年数の経った給湯器を修理する場合、完璧に直すということはまず無理なので、どこまで修理するかに関しては各サービスマンの判断に委ねられています。

人によっては「それはやり過ぎじゃない?」という判断をしているサービスマンもいると思うので、そういう場合はお客さんの方から「本当に今壊れている部分だけを修理してもらいたい」と希望を言うのがおすすめです。

こたろー

修理の場合、基本的には「自分の所で修理してもらうか、他社で新品に交換されるか」になることが多く、高い修理見積りを提示したところで他業者で買い替えられてしまったらメンテナンス業者は儲からないため、不必要に修理金額を吹っ掛けるということは基本的には無いはずです。少なくとも弊社の場合はありません。

悪徳水道業者による詐欺が問題化

2020年以降、新型コロナウイルスの影響なのか「悪徳水道業者による詐欺」がニュースで報道される機会が多くなってきたように感じます。マグネットを配布していることで有名な某水道業者も業務停止命令を受けました。

トラブルの内容には大なり小なりあるのですが、ニュースになるようなとんでもないものだと「トイレの詰まりを直しに来た業者が、最初は見積もり点検無料と言っていたのに調査の為に取り外した便器を直すのに70万円かかる」等、信じられない詐欺があったようです。

ガス点検を装った犯罪なども増えているようなので、業者の選定についてはくれぐれもご注意ください。

まとめ

給湯器に関する詐欺の回避には比較検討が重要
修理の比較検討は難しいが、修理金額があまりにも高い時は「新しい給湯器に交換した方がいい」というメッセージと捉えるのが無難

情報弱者という言葉がありますが、給湯器に関してもまさに情報弱者が騙されてしまうという印象です。ちょっと調べればすぐ分かることが多く、それを調べないのは怠慢じゃないかと思うこともあります。

騙す意図がある場合はさて置き、騙す意図が無い場合もありますし、この場合はお客さん側でいくらでも回避可能です。給湯器が壊れてしまうと「一刻も早くお湯が使いたい」という気持ちが先行して、面倒なことから目を背けてしまうということは業者側も良く知っています。

詐欺の基本は弱みに付け込むことだと思うので、そういう弱みを見せずに色んな選択肢を検討してみてください。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 新型の詐欺と思われる事例がありましたので報告します。購入後約1年たったボイラーが石油供給できないエラーが発生し、購入業者に連絡したら、別な機械を設置し故障したボイラーを持ち帰ってしまい、その後請求書をもって現れました。メーカーさんや消費者相談センターの尽力があり、判明したところパイプとフィルター結合部分に故意に充填剤を詰めていたことが判明しました。この部分は本体の外にあり、ねじ1本を外すだけで5~6分もあれば作業は可能です。つまり、故意に故障させ、修理不能ということで新しいボイラーを買わせるという手口です。

    • コメントありがとうございます。
      たまにこのような「本当に!?」と目や耳を疑いたくなる詐欺の話も聞こえてきますね。

      購入後1年程度なら怪しむ気持ちも出てきますが、これを使用後7年以降にやられてしまうと…。
      ユーザー側でそれを見抜くのは難しいような気もします。

      メーカーとしては消費者相談センターに駆け込まれるのを嫌がる傾向があるので、
      もし違和感を感じたり、納得できないようなことがあれば、そのような所に相談するのも1つです。

      参考になる事例のご紹介、ありがとうございました。

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