寒い時期になって暖房ボイラーを使用するようになると、気になるのが「不凍液」です。
不凍液は量が減るとエラーを出してしまったり、最悪のケースだと全く動かなくなってしまいます。これを防ぐためにも日々の点検が重要です。
しかし、不凍液量が減ってから「しまった!」と慌ててしまうケースが多く、修理業者を手配してもすぐには来れない様子…。そんな時に自分で不凍液を補充できるのであればやってみたいという人も多いのでは?
今回は「給湯暖房機、暖房ボイラーの不凍液って自分で補充可能?」というテーマで進めていきたいと思います。
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Contents
不凍液を自分で補充する前に注意事項
密閉式か半密閉式か
これまでに何度か不凍液の補充をしたことがあって、「久々だからやり方を忘れてしまった」という場合はスルーしてもらって構いません。
もし「今回初めて不凍液の補充をやってみようと思い、自分でも出来るかどうか調べている」という人は、ご自身の暖房配管が「密閉式か、半密閉式か」を調べてください。
もし半密閉式なら、おそらくユーザー自身で不凍液を補充することができるでしょう。しかし、密閉式の場合はポンプ等の器具が必要になるので、初心者がやるのにはハードルが高すぎると思います。
密閉式か半密閉式かの判別法法は「不凍液が空気に触れているかどうか」です。詳しくは別記事に書いてあるので、そちらを参考にしてください。
関連記事給湯暖房機、暖房ボイラーにおける「密閉式、半密閉式の違い」とは?
何の不凍液を使用しているかの確認が必要
不凍液には幾つか種類があり、それぞれ対応温度や性質が異なります。そして、原則として「混ぜるな危険」です。
例えばお使いの暖房ボイラーがノーリツ製のボイラーだったとしても、ノーリツ製の不凍液が使われているとは限りません。こればかりは施工した業者、あるいは不凍液交換をしてくれた業者に確認が必要です。
異なる不凍液を混ぜて使用してしまうと、循環ポンプなどが故障してしまう可能性があります。自分で補充をする前に、まずは何の不凍液が使用されているのかを調べ、それと同じ物を使用するようにしましょう。
不凍液の補充方法
不凍液残量の確認
暖房ボイラー本体のフロントカバーには、内部のリザーブタンクが覗ける位置に「水位確認窓」があると思います(位置は暖房ボイラーの種類によって異なります)。
結構見にくいので、必要に応じてライトで照らしたりするのも有効です。場合によってはフロントカバーを開けてみてもいいです。正面が2本のビスで止まっているので、それを外せばOK。外したビスは無くさないようにしてください。
ここでLOWよりも低い位置に水位がある場合は、LOWとFULLの間くらいまで足してあげるといいでしょう。
ちなみにE-043は不凍液不足のエラーになりますが、エアがらみ等でも表示される可能性があるので、ちゃんと残量を確認してから補充することをおすすめします。
密閉式の場合は給湯器本体のリザーブタンクを使用しないため、空っぽになっていることがほとんどです。リザーブタンクによる残量確認はあくまで半密閉式でのみ有効だと思ってください。
リザーブタンクに対して注ぎ入れる
一応、ノーリツで案内している不凍液補充の方法は上記のようなものですが、膨張逃し弁を開ける方法はリスクが伴うので、知識のある人以外にはおすすめしません。
膨張逃し弁の横には小さな穴が開いていて、これはリザーブタンクと繋がっているのですが、通常であれば「リザーブタンクに補充→本体内で不凍液が不足したらリザーブタンクから補充する」という流れになっているので、膨張逃し弁の横にある小さな穴に注げばOKです。
あとはリザーブタンクの目盛りを見ながら、LOWとFULLの中間くらいまで補充してあげましょう。
ちなみにFULLの目盛りもタンクの下の方にありますが、暖房水は熱されることで膨張するので、FULLを超える量の不凍液を入れても排水されて無駄になってしまうだけです。
ガス給湯暖房機の場合
ちなみにガス給湯暖房機の場合、多くのケースでは「自動給水機能」というものがあり、ユーザーの方で不凍液を補充しなくても、自動的に水を足してくれるという機能を持った物が主流となっています。
そのためガス給湯暖房機の場合は、ユーザーの方で不凍液を補充する必要がないケースが多いため、給湯器の外側の分かりやすいうちに補給口がなく、補充する場合はフロントカバーを開ける必要が出てきます。
開けても中がごちゃごちゃしていて見にくかったり、補給口を見つけたとしても給湯器内に不凍液をこぼしてしまうと大変なことになるため、ユーザー自身での補給はおすすめしません。
応急処置として水を混ぜるのは?
前項で「ガス給湯暖房機は水を足している」と書きましたが、少し暖房に詳しい人は「応急処置として水を混ぜるのって問題ないの?」と思うかもしれません。
実際にガス給湯暖房機では水を足しているわけですし、「不凍液は混ぜられない→現在使用している不凍液が分からないなら水を混ぜればいいのでは?」とか、あるいは「ちょっと足せばいいだけなのに不凍液を買うのは気が引ける」など、色んなシチュエーションがあるでしょう。
結論としては「応急処置なら問題ない」です。ただ、不凍液の劣化が早まりますし、それによって暖房配管が腐食すると被害が大きくなってしまうので注意が必要です。
あくまで応急処置に留め、騙し騙し補充しながら7~8年…とはならないようにしてください。
関連記事暖房ボイラーのエラー043で水を足すことのリスクを説明する
不凍液は3年~5年に一度総入れ替えをすること
不凍液は劣化するので、補充補充で乗り切るばかりでなく、3年~5年に一度総入れ替えをしてください。
ちなみにメーカーの取り扱い説明書では3年に一度という記載がありますが、個人的に「3年に一度だと金銭的な負担が大きすぎる」と考えているので、給湯暖房機の機器寿命が10年だとして折り返し時点の5年で総入れ替えというカタチでも十分だと思っています。
総入れ替えが必要な理由は「配管の劣化、腐食を防ぐため」です。不凍液が悪くなって暖房機が故障するくらいならまだいいのですが、床下配管からの水漏れなどを引き起こしてしまうと、不凍液交換の倍以上の修理費用が発生することも珍しくありません。
不凍液が劣化すると熱効率も悪くなってしまうので、お家を守るという意味でも燃料費の節約という意味でも、不凍液は定期的に交換するようにしましょう。
関連記事不凍液の交換時期の話|暖房ボイラーの不凍液は5年に1回全交換がおすすめ
まとめ
半密閉式なら自分での不凍液補充も可能
不凍液は混ぜてはいけない、応急処置なら水でもOK(要注意)
補充はひと時しのぎ、不凍液は定期的に総入れ替えしよう
シチュエーションにもよりますが、半密閉式の暖房ボイラーであれば比較的簡単に不凍液の補充が可能です。
プロを手配しても2L以内の補充なら1万円以下でやってくれるのではないかと思いますが、自分で出来るなら自分でやりたいという人も少なくないでしょう。
ただし膨張逃し弁(ラジエータキャップ)を取り外すのは危険なので、出来るだけ触らないことをおすすめします。火傷のリスクもありますし、ボイラー内の圧力が高ければ不凍液が噴水のようになってしまい、ボイラー周辺が不凍液だらけになってしまいます。
取扱説明書にも簡単な説明が掲載されていると思うので、そちらも参考にしてみてください。ご自身で挑戦してみる場合は、くれぐれも注意しましょう(自己責任でお願いします)。