「給湯器の電源は入れっぱなしだと長く持たない」は間違い

給湯器の電源は入れっぱなしだと長く持たない

いきなり質問ですが、給湯器の電源は切っておいた方が機器は長持ちすると思いますか?

普段修理でお客さんのお家を回っていると、給湯器の使用方法について色々聞かれることがあるのですが、結構な頻度で質問されるのが「お湯を使わない時は、給湯器の電源を切っておいた方がいいの?」という質問です。

普通の電化製品であれば「使用しない時は電源を切っておくのが望ましい」と言えそうですが、果たして給湯器では一体どうなのでしょうか。結論を言うと「一部の例外を除くとほぼ関係ない」というのが答えです。以下ではその根拠について答えていきます。

目次

使わない時は電源を切るのが基本だが…

テレビにしろパソコンにしろ使わない時は電源を切るのが基本ですし、テレビやパソコンは精密機械です。使わなければ壊れないという物でもありませんが、電源が入っている時間に比例して故障する可能性が高くなるような気がしますよね。

しかし給湯器は「電源を入れる=作動」というわけではありません。電源が入った状態で蛇口を開けたりしない限りは給湯器としての動作に入らないのです。理想は「蛇口を開けたら常にお湯が出てくること」なので、電源を切るのが面倒という人は少なくありません。

基本的には給湯器の電源は入れっぱなしでOK

電源入れっぱなしだから壊れやすいというデータは無い

基本的にガス給湯器を始めとする多くの給湯器において「電源を入れっぱなしだったから早く壊れてしまった」ということは考えにくいです。仮にあったとしてもその差は微々たるもので、例えるなら「AさんはBさんよりもカップ麺を食べる頻度が高かったから早くに死んでしまった」というくらい不確定なものだと思います。

故障には様々な原因が考えられるので、使用頻度や使用環境などによって故障する方が遥かに要素として大きく、それらに比べたら普段から給湯器のリモコンの電源を入れていたとか切っていたなんてことは微々たるものと言えるでしょう。

給湯器の寿命に起因する三大要素

給湯器の寿命に起因する三大要素

給湯器の寿命には多くの要因が関係していますが、特に大きなものが上記の3つです。

  • 通電時間:コンセントが差さっているトータルの時間
  • 燃焼時間:火が付いた時間
  • 着火回数:火が付いた回数

一見すると「リモコンの電源は通電時間に関係あるのでは?」と思う人がいるかもしれませんが、これは通電時間であり、コンセントが差さっている時間を意味しているので、リモコンの電源とは関係ありません。

何度もお湯の蛇口を開けたり閉めたりするという使い方をしている場合、リモコンの電源が入っていると着火回数が著しく増えてしまうことになり、給湯器の寿命に大きく関わってくる可能性はあります。しかしそうでもなければ、特にリモコンの電源について気にする必要はありません。

過去にはリモコンの表示時間が長いと液晶部分が壊れてしまうケースがありましたが、最近はそういうのがなくなりましたし、なにより「リモコンを付けっぱなしにしていても一定時間操作がなければ省エネモードに切り替わる」という機能があるので、10年前に比べるとリモコンの液晶部分の故障はかなり減っています

こたろー

単純に製品としての性能も向上していて、最近のリモコンで液晶部分の焼き付きなどはほとんど無くなりました。

「電源を入れておかないと凍る」は半分間違い

雪国や寒い地域にお住まいの方だと、よく「夏場は電源を切ることが多いけど、冬場は凍結が怖いから電源を入れておく」という人がいます。ハッキリ言って給湯器のリモコン電源を切っていたからと言って給湯器内で凍結するとは考えにくいです。

給湯器内には凍結予防ヒーターが取り付けられており、これはコンセントからの通電があれば作動する状況になっているので、リモコンの電源が入っていようがいまいが関係なしに動作するものです。つまり給湯器のコンセントを抜いたり、ブレーカーを落としたりされるとまずいですが、リモコンの電源の入り切りは凍結とほとんど関係ありません

一部例外(給湯器リモコンの電源を切った方が良いケース)について

石油給湯器の貯湯タイプの場合は注意が必要

もし使用している給湯器が石油給湯器の貯湯タイプだとすれば「電源を入れる=燃焼動作に入る」のでリモコン電源を入れている時間に比例して燃焼時間が増え、給湯器本体の寿命に直結してしまうので注意が必要です。

今使っている給湯器が直圧タイプか貯湯タイプかわからないという方は以下の記事をご覧ください。

こたろー

貯湯タイプは石油のみなので、ガス給湯器を使用している人は問題ありません。

石油給湯器で気化式バーナーを使っている機種

一方で「気化式バーナーを採用している石油給湯器」もお湯を使わない時はリモコンの電源を切っておくのが望ましいです。石油はそのまま燃焼させるよりもガス状にした方が燃焼音が小さくなるため、そういう機能を持ったバーナーを気化式バーナーと呼びます。

基本的には石油給湯器の壁掛け型に多く、リモコン電源を入れてからお湯が使えるようになるまでに少し待たなければならないタイプのものです。この場合はリモコンだけじゃなくてバーナーにも負担があるので、お湯を使用しない場合はリモコンの電源を切っておくことをおすすめします。

こたろー

リモコン電源を入れることでバーナーも燃焼準備に入るため、単純に待機電力も多く発生してしまい、普通の給湯器に比べて電気代も高くなりがちです。

あまりに高頻度で入れたり切ったりしなければOK

あれこれ書いてきましたが、基本的には「例外以外であれば入れっぱなしで問題ない」です。ただし、切りたければ切っても問題ないですし、それが原因で凍結することも基本的にはありません。

むしろ就寝時や外出時は切った方がいいでしょう(家に誰もいないときにお湯配管に穴が開いたとしたら、リモコンに電源が入っていると燃焼動作に入ってしまうため)。ゲームのコントローラみたいに連打したり、あとは1分毎に入れたり切ったりなどの使い方でなければ特に問題ないです。

10年以上前くらいの機械では「液晶部分の劣化が激しく、電源を入れっぱなしにしている度合いが高いほど表示部分が故障しやすい」と思われるリモコン機種もありましたが、今では随分と改善されたと言っていいでしょう。

こたろー

何回も付けたり消したりっていうことを繰り返す方が逆に負担になってしまうケースが多そうです。そうなるくらいなら付けっぱなしの方が壊れにくいケースが多いと思います。

まとめ

給湯器のリモコンの電源は入れっぱなしでも機器寿命が短くなるということは無い(例外あり)
外出などにより長時間使用しない場合は電源を切ることを推奨

基本的には電源の入り切りよりも「どれだけの使用頻度で合計何時間使用しているか」などの方が遥かに大きい要素なので、リモコンの電源は入れっぱなしでも問題ありません。

ただし外出時などは切っておいた方が安心できるという人も多いでしょう。この辺りはそれぞれの使いやすさで使い分けていただいてOKです。いずれにしても電源をこまめに切っているからと言って、給湯器が長持ちするというデータはありません。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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