このページではノーリツ製給湯器のエラーE290について、考えられる内容と対策について解説していきます。E290は中和器異常のエラーで、中和器からドレン水が正常に排水されていないときに表示されることがあるエラーです。
また、一部の石油給湯器の場合は燃料系統の不具合の可能性があります。この場合はフロートスイッチ異常の可能性があり、主に壁掛けタイプの石油給湯器で見られるエラーです。
ここで紹介する事例はあくまで「このような内容であることが考えられる」というものであり、絶対にそうだというわけではありませんのでご了承ください。
ノーリツ製給湯器 E290のエラー内容
- E290:中和器異常(高効率型給湯器)
- E290:フロートスイッチ異常(壁掛け型石油給湯器)
中和器異常のE290の場合
まず初めに中和器が何なのかについて簡単に説明します。中和器は高効率型給湯器(エコジョーズやエコフィール)に搭載されている部品で、文字通り酸性の水を中和している部品です。
高効率型給湯器は「排気をもう一度機械の中に取り込んで熱交換に利用する」ということをしているのですが、この過程で機器内部が結露してしまい、この結露は酸性なので一旦中和してから排水しなければなりません。そのために搭載されているのが中和器です。
この中和器からの排水が上手くいっていないときに表示されるエラーがE290です。
フロート異常のE290の場合
一部の壁掛けタイプの石油給湯器には、機器内に灯油を汲み上げるためのポンプが搭載されています。このポンプが動作していないときに表示されるエラーもE290です。
壁掛けタイプの石油給湯器は機器内部に灯油タンクを有しており、この中の灯油残量をフロート(浮き)で確認しています。水位が下がれば電磁ポンプが動作して灯油を汲み上げるというシステムです。
何かしらの原因があって「灯油残量が検出できているのに実際には灯油がない(フロートが空中に浮いたまま)」みたいなことが起こるとE290が表示されます。
考えられる不具合の内容
- 中和器、水位電極、電装基板の不具合
- ドレン配管の異常、または施工不良
- 燃料不備(石油給湯器の場合)
中和器、水位電極、電装基板の不具合
給湯器内部の部品が悪いパターンです。これらの場合は基本的に経年劣化が原因になっていることが多く、特に中和器の詰まりに関しては給湯器本体の当たりはずれの要素も強いという印象があります。
中和器が詰まっていてドレンが排水されずに溢れているケースもあれば、実際にドレンは排水されているのに水位電極が誤作動して排水されていないと判断してエラーを出しているケースもあります。
ドレン配管の異常、または施工不良
新しい給湯器を取り付けて間もない場合は施工不良である可能性が高く、雪国の冬の期間に発生したのであればドレン配管が凍っている可能性があります(ドレン配管にも凍結予防処置が必要ですが、それを忘れている可能性など施工不良も疑いましょう)。
また、落ち葉などが多い場合は「ドレン配管の出口に落ち葉が溜まり、ドレンが排水されるのを邪魔している」という可能性も考えられます。
燃料不備(石油給湯器の場合)
単にフロートが浮いているだけの可能性もありますが、多くの場合で燃料不備が併発している可能性もあります。基本的に燃料不備の場合はE110やE120という燃焼系エラーを出すことが多いですが、たまにE290を表示する可能性も。
特にオイルタンクの定期的なメンテナンスを怠っている場合、ストレーナーに錆や汚れが見られる場合は注意が必要です。
E290が表示されたときの対処方法
高効率型給湯器の場合はドレン配管の確認
屋外設置のエコタイプ給湯器の場合、まずはドレン配管の確認をしてください。ドレン配管の位置は機種によって異なりますが、基本的には「水でもお湯でもふろ配管でも暖房配管でもない配管」を探せばすぐに見つかると思います(唯一、対になっていない配管)。
ここにゴミが詰まっているならそれを取り除けばOKです。配管が凍っているようならそこに40℃程度のお湯をかけて解氷してあげることでE290が解消される可能性があります。
ただしこの場合は施工業者による施工不備の可能性があるため、ご自身で解決するよりも施工店に連絡してやってもらうのがおすすめです。
壁掛け石油給湯器の場合はオイルタンクの確認
オイルタンクの中に水が溜まっているような場合は、水抜きをする必要があります。もし給湯器や石油ストーブの燃料通路部に水が入り込んでしまうと、高確率で部品交換が必要になってしまうので注意してください。
もし灯油に水が混入したことによるE290の場合、既に手遅れになっている可能性もありますが、ここを放置して部品交換または給湯器本体の買い替えを行っても根本的な問題は解決していないため、まずオイルタンクのストレーナが綺麗かどうかを含めて確認することをおすすめします。
E290の修理金額の目安
中和器異常のE290の場合
- 考えられる故障部品:中和器、電装基板
- 修理参考料金:14,000円~40,000円程度(税込)(出張費:上限3,300円+故障診断料を含む)
電装基板の交換であれば30,000円~40,000円程度(機種による)、中和器の交換であれば15,000円程度です。
そこまで大きな問題になるようなエラーではありませんが、中和器は使用年数によって寿命がある部品のため、使用から5年以上が経過している場合は仮に掃除で直るような場合でもあえて部品交換をすることが多いです(掃除で済ませたとしても、またすぐに交換が必要になることが分かりきっているため)。
ドレン配管の凍結の場合、基本的には「凍結予防処置をしなかった」ということで施工した業者の責任になるはずですが、施工業者によっては「ウチのミスを隠して上手いこと言ってお客さんからお金をもらって」という業者もいます。いずれにしても施工から1年以内の場合はすぐにメーカーに連絡をするのではなく、まずは施工店に相談してみるのがおすすめです。
フロート異常のE290の場合
- 考えられる故障部品:電装基板、汲み上げ電磁ポンプ、オイルフロートスイッチ
- 修理参考料金:15,000円~45,000円程度(税込)(出張費:上限3,300円+故障診断料を含む)
フロート異常も大したことがない修理であることが多く、単にフロートスイッチに問題があるだけなら15,000円程度で修理可能です。汲み上げ電磁ポンプが原因の場合でも同じくらいです。
一方で基板に問題がある場合はやや高額修理となり、一番最悪なケースは「オイルタンクに混ざっていた水が給湯器の燃料通路部すべてに通ってしまった」というケースで、こうなってしまうともう50,000円じゃきかない修理になってしまいます。
場合によってはオイルタンクの交換も必要になるでしょうし、使用年数が7年以上経過している場合は新しい給湯器に買い替える方向で検討することをおすすめします。
ノーリツ製給湯器のエラーE290 まとめ
- E290には中和器エラーとフロートエラーの二種類がある
- 高効率型タイプの場合は、まずはドレン配管周りに原因がないかどうかを確認
- 壁掛け石油給湯器の場合は、まずは燃料不備を確認
同じ番号で二つの異なるエラーを示唆するため、修理する側の意見としても「別の番号に出来なかったんだろうか」と思わずにはいられません。しかし、冬期間の凍結や経年劣化による中和器の詰まりを除けばあまり見られないエラーです。
これがきっかけで給湯器の交換に踏み切るというパターンもあまりありませんが、石油給湯器における「灯油に水が混じったパターン」だけは高額修理確実なため、耐用年数に差し掛かっている場合は買い替えをおすすめします。
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