
よくある給湯器の修理内容の中に「お湯張りが途中で止まる」というものがあります。
この言葉だけを聞くと「お湯張り自体が途中で止まってしまうせいで湯量が足りない」のか。あるいは「お湯張りで湯量は問題ないけど、明らかにぬるい状態で仕上がる」のか。色んな事が考えられるんですよね。
- ふろ自動ボタンを押したのにいつまで経ってもお湯張りが完了しない
- お湯張りが完了していないのにメロディーが鳴る(お湯張りが完了していないはずなのに完了したことになっている)
- お湯張りが完了したのにお湯がぬるくて入れない
今回は上記のような「ふろ自動が最後まで完了しない」という給湯器の不具合の内容、漠然と「お湯張りが途中で止まる」という内容にスポットを当てて、どのような不具合が考えられるのかについて説明していきたいと思います。
お風呂の湯量が少ない、思い通りの湯量にならない
まずはリモコンに表示されるエラー番号の確認
多くの人は「お湯張りが途中で止まる」という症状の他にエラーが出ているのであれば、そのエラー番号を伝えてくれることが多いのですが、全員が全員そういうわけではないのでまずはエラー番号の有無を確認してください。
お湯張りをしている際中にエラーが出てしまうと、その場でエラー表示を出しながらお湯張りは停止します。リモコンの電源を切らない限りはその表示が消えるということはないはずです。この時に出るエラーで考えられるものは非常に多いので、基本的にはエラー番号ごとの対策が必要になります。

お湯張りがおかしいと言うよりは「お湯張り途中でエラーが出てしまって、その時点でお湯張りもストップしてしまっている」というパターンです。この時はお湯張りがうまくいかないということよりも、何のエラーが出ているかが重要です。
お湯張り系のエラーで多いのはE632
最も多いのはリモコン液晶部にE632と表示されるエラーです。
- E632(ふろ水流スイッチ異常)


これは簡単に言うと浴槽の栓をし忘れてしまった時に出るエラーです。言い方を変えると、浴槽に水が入っていることを認識できなかった場合のエラーになります。



浴槽の栓をし忘れて張ったお湯をそのまま捨ててしまっている場合、このエラーがなければ200リットルほどのお湯を捨ててしまうことになるため、その被害を最小限に食い止めるためのエラーです。仮にちゃんとお風呂の栓がされていても、このエラーが出ることがあります。
給湯器本体が「浴槽の栓をし忘れているんじゃないか?」と判断をすると、リモコンにE632を表示して給湯器は停止するので、「湯量が明らかに少ない/湯量はいいんだけどお湯がぬるい/追い炊きができない」というような症状が起こる可能性が高いです。
では、エラーがでない場合はどのようなことが考えられるのでしょうか。以下で詳しく書いていきたいと思います。
湯量設定のミス
普段はあまり触らない部分なので件数としては少ないですが、小さい子供が面白がっていじった結果、湯張りの量が低く設定し直されていたということが稀にあります。
普段は200リットルほど張っているところが設定をいじって140リットルくらいになれば、普段の2/3くらいの量になるわけですから、まずはその手の人為的なものがないかどうかチェックしてください。
フルオート使用、停電等がなかったか


使用している給湯器がフルオートの場合、浴槽にお湯が入っている状態で停電やブレーカーが落ちてしまうと、お湯張りする湯量が狂ってしまうことがあります(給湯器にはお湯張り機能の有無などによって、セミオートタイプやフルオートタイプなどの種類があります)。
フルオートの給湯器には、浴槽内にどれだけのお湯が入っているかどうかを記憶している部品があるのですが、浴槽にお湯が入っている状態で給湯器本体の電源が落ちてしまうと、給湯器の脳内はリセットされてしまうのに、実際には浴槽にお湯が入っているという誤差が生じてしまうわけです。
もしこれが原因なのであれば湯量リセットという作業をすることで改善する可能性があります。
湯量リセットのやり方は一例を以下に記載しますが、メーカーや給湯器の機種、使用しているリモコンの機種によってやり方が異なるので、詳しくは取扱説明書をご覧ください。恐らく「故障かな?と思ったら」という欄に記載があるのではないかと思うので、修理依頼をする前に確認することをおすすめします。


湯張り部品の故障
あとは単純にお湯張りに関する部品の故障が考えられます。多くの場合は部品が悪ければエラーを出す可能性が高いですが、エラーを出さずに故障してしまうパターンもあるので注意が必要です。
ただ、お湯張りをした際に湯量が少ないという症状でエラーを出さない場合は、前項でご紹介した湯量リセットで直ることも非常に多いので、そこは確実にチェックするようにしてください。
湯量は問題ないがぬるい状態で止まる
循環フィルターの確認


お風呂の中に取り付けられている上記画像のようなフィルターがあります。これがしっかりと嵌まっているか、ゴミ詰まりしていないかを確認してください。
斜めに嵌まっていたり、ゴミ詰まりしていたりすると、給湯器で温められたお湯が浴槽に入る前にフィルターによって邪魔されてしまい、給湯器で温めたお湯がそのまま給湯器に戻ってしまう現象が起こります。
すると給湯器側では「設定温度に温めたお湯がそのまま戻ってきた=お風呂が沸いた」という勘違いをするので、お風呂が設定温度になっていないにも関わらず「お風呂が沸きました」とアナウンスを流すというわけです。


サーミスタの不具合
給湯器にはサーミスタと呼ばれる水温計のような部品が搭載されています。お風呂を41℃に設定して41℃で止まるのは、このサーミスタが41℃を検知した時に止まるのですが、これが狂っているせいで低い温度なのに設定温度になったと勘違いしている場合です。
サーミスタ自体はそんなに壊れやすい部品ではありません。最も多いのは乳白色系、にごり系の入浴剤を使用したことによって、その成分がサーミスタにまとわりついて温度測定の邪魔をしているケースです。
この場合は風呂釜洗浄剤を使って改善される場合もありますが、改善されない場合はプロによる分解清掃が必要になるでしょう。日常的に入浴剤を使用していて、そのお湯を何度も追い炊きしているという場合は注意が必要です。



風呂釜の洗浄は市販されている薬剤で構いませんが、症状によっては追い炊き機能が動かない場合があり、ここまでいってしまうと市販の洗浄剤は使用できないので注意してください。


まとめ
まずはエラー番号を確認
エラーがなければ取扱説明書をチェック
意外とこの手の不具合では、お客さんが説明書を読んでいたら解決していたというパターンも少なくありません。
エラー番号については、お客さん自身で解決できそうな可能性のあるエラー番号については取扱説明書に記載されていますし、ノーリツ製の給湯器のエラー番号であれば当ブログにエラー別の記事を用意していますので、そちらを参照してください。
コメント
コメント一覧 (2件)
私の家で使っている13年~14年前に購入したナショナルの『OW-4T A1Z』という給湯器なのですが、『ふろ自動ボタン』を押してお湯を張っている時に途中で止まるという不具合が最近1ヶ月~2ヶ月くらい頻繁に起きています。
途中で止まる時もあれば、問題なく設定量までお湯が溜まる時もあります。
途中で止まる場合について考えてみたのですが、浴室の近くには洗面所やトイレがあり、『ふろ自動ボタン』を押してお湯を張っている時に洗面所やトイレの水を使うと浴槽のお湯張りが停止してしまうようです。
また、お湯張りが止まる場合は必ず『H25』というエラーコードが表示されます。
説明書を読むと、ふろフロースイッチの異常と記載されていました。
数年前にもお湯張りが途中で止まるという不具合が出て修理をしました。
それで、Panasonicに問い合わせたのですが、「Panasonicでは現在は給湯器の取り扱いを止めたので修理できません。故障の場合は他のメーカーの給湯機に買い替えてください」と言われ、給湯器のどこに不具合があるのか点検に来てもらう事も不可能なようです。
私は金銭的に余裕が無いので給湯器を買い替える予算がありません。
それで、そのような異常の場合は絶対に修理や部品の交換が必要なのでしょうか?それとも、修理をしなくても直る可能性があるのでしょうか?
もし、部品の交換をする必要がある場合、その部品だけ他のメーカーの部品では適合しないのでしょうか?
部品だけ他のメーカーでも可能な場合は別なメーカーに修理をお願いできないか聞いてみようと思っています。
千葉さん、ご質問ありがとうございます。
もしお湯張りしている際中に、別の場所で水を使用した場合だけエラーが出るということでしたら、お湯張りに必要な水量を確保できずに停止してしまうという仕様上の問題であることが考えられます。
その場合は故障ではないので、お湯張りをしている際中は他の場所で水やお湯を使わないように注意するか、もしエラーが出てしまったらその続きは蛇口でお湯を落とし込んで追い炊きをするという方法で対策可能です。
ただし、これまでも同様の使い方をしていたにも関わらず、最近になってエラーが頻発しているんだとすれば、お湯張りに関わっている部品が経年劣化している可能性がありますね。
ナショナルの給湯器部門は既に市場から撤退しているので、もし修理が必要だということになれば必然的に本体そのものを他メーカーの現行機種に交換してもらう他ありません。
他メーカーの部品との互換性はなく、部品が完全に故障してしまっている場合は修理自体が不可能ということになります。
ただしお湯張りができないだけでお湯が使用できるという場合であったり、騙し騙し使用できるような状況であれば、修理をせずに使用する分には問題ないです。
ナショナルの給湯器を熟知している修理のプロはもういませんが、他メーカーの修理スタッフが見れば「ここが悪いんだろうな」という判断はできると思うので、そういう人に何が原因なのかを点検してもらうことは有効だと思いますよ。
恐らく点検料・出張料が掛かりますが、もし機械外に原因があるならその場で判明するでしょうし、機械に原因があるなら「この部品の不具合だと思われます(この部品を交換すれば治りますが、もう生産されていない部品なので修理できません)」という回答になるでしょう。
ちなみに文章を読んで私が思ったことなので事実と相違がある可能性がありますが、H25のフロースイッチ異常なら調整で直る可能性もあります。
ただしフロースイッチを分解調整するにも、パッキンなども入手できないという部分で、あまり触りたくないと考える業者が大半かもしれません。