給湯器の修理・交換見積もりの闇|見方や比べ方のアドバイス

給湯器の修理・交換見積もりの闇|見方や比べ方のアドバイス

私は給湯器を修理・交換する仕事をしています。この仕事をしていると色んなトラブルに見舞われますが、もし「給湯器の買い替え・交換を検討している」という人は、見積もりをちゃんとした書面でそれも複数社から貰うことをおすすめします

というのは、見積もりは業者ごとによって大きく差が出ることがほとんどだからです。更にいうと、弊社には複数名のサービスマンがいますが、AさんとBさんと私がそれぞれ同じ現場の見積もりを作成しても同じになることはまずありません。

今回は「なぜ会社や業者によって見積もりの金額に差が出るのか」という部分を踏まえて、見積もりを出す人間によって金額差が生まれる理由について詳しく解説していきます。

目次

給湯器の交換費用の内訳について

  • 給湯器の本体価格
  • 本体以外に必要な部材費
  • 給湯器の取付作業料
  • その他費用(古い本体の撤去費用など)

給湯器の交換費用には大きく分けると上記4点の項目があります。

各業者は本体価格からの値引き率をアピールしていますが、その他の要素が金額的に高ければお客さんにとってのメリットは薄れてしまうと言っていいでしょう。給湯器を交換する際は、これらの要素をトータル的に見ていくことが重要です。

給湯器の本体価格

RUF-Eシリーズ価格表

給湯器の本体価格は業者の裁量によって値引きされる

見積もり項目の中で一番高いのは給湯器の本体価格です。給湯器にはお湯だけ使えるタイプや、お風呂の機能が付いているタイプ、更に暖房機能を有するタイプなど様々な種類が存在しており、採用する給湯器の種類によって金額は大きく変わります。

カタログを見れば10万円程度のものから50万円程度のものまで、幅広く用意されているのがお分かりになるでしょう。ここから各施工業者によって値引きがあります。値引き率は業者によって大きく異なり、私の観測範囲では40%~80%の値引き率と金額差が見られるというイメージです。

こたろー

給湯器は購入して終わりではなく、設置して使えるようにしなくてはなりません。そのためカタログなどを見ているだけでは、正確な金額はまず分からないと言っていいでしょう。

なぜ値引き率に金額差が生まれるのか

  • 仕入れコストが各業者で違う
  • どのくらいの儲けを考えているか

各業者の仕入れ値は「メーカーからどれくらい優遇されているか」によって金額が変わることが多いです。例えば500mlのペットボトル飲料を3本買うよりも、1.5Lのペットボトル飲料を購入した方が安くなることがほとんどですよね?

このようにまとめて購入する数が多ければ多いほど単価は抑えることができるので、地元の業者や水道屋、ガス屋の中でも「規模が大きくてメーカーに優遇されている業者ほど安く給湯器を仕入れることができる」という仕組みです。

同じ40万円の給湯器を仕入れるにしても、10万円で仕入れることができる業者と20万円で仕入れている業者では、前者の方が安い金額で提供しやすいですよね?そんな感じです。

ちなみに私がこれまで見てきた中で、最も大きい値引き率は「給湯器駆けつけ隊」の91%値引きです。

\ 最大91%値引き /

本体以外に必要な部材費

リモコンは種類によって価格が大きく変わる

リモコンバリエーション

給湯器は本体だけでは使用できないことが多く、お客さんにとっては「これって本体に付いてくるんじゃないの?」と思ってしまうようなものが別売りであることも珍しくありません。例えるなら「車を買う時の価格は車本体の値段であって、冬用タイヤは別で買わなきゃいけない」みたいな感じでしょうか。

代表的な部分で言ったら操作リモコンが該当します。もちろん本体価格に含まれているケースもあるのですが、最近のエコ給湯器の類はリモコンにも色んな種類が用意されていているんですよね。なのでユーザーが選べるようになっており、それが原因で別売りとなっているケースが多いです。

屋内設置の場合は排気筒も要チェック

排気筒部材データベース

屋内設置タイプの給湯器の場合は、排気筒も交換が必要な部材です。排気筒の長さは現場によっても変わってくるので、最初から給湯器本体に付属してくるようなものではありません。

現場を見ずに金額提示をする業者の多くは「煙突がない現場」を想定して見積もり金額を算出し、もし煙突が必要な現場だったら必要な長さに応じて金額を加算するという場合が多いです。

同様に「給水配管や給湯配管も手直しせずにそのまま取り付けられる場合」を想定していることが多く、新しい給湯器によっては「以前と配管を繋ぐ場所の位置が変更されている」というケースがあるため、多くの場合で当初の見積もりよりも高くなってしまうことが予想されるでしょう。

給湯器の取付作業料

  • 屋外設置か屋内設置か
  • 壁掛けか床置きか
  • 給湯器の機能(給湯のみ、給湯+ふろ機能、給湯+ふろ機能+暖房機能)

作業がやりやすいかどうかで大まかな金額が決まる

続いて取付作業料の算出方法ですが、基本的には作業がやりやすいかどうかで判断されることが多いです。明らかに通常とは異なる現場(3尺の脚立を使っても届かないくらい高い位置に設置されている場合や、人が入る隙間もないほど狭い空間に取り付けされている場合など)は数万円単位で作業料が変わってきます。

しかし、基本的には「屋外なのか屋内なのか」「壁掛けなのか床置きなのか」「給湯>風呂>暖房」という決められたルールに則って算出されるので、多くの場合でそこまでの差が開くことはありません。

弊社の場合は煙突の施工が必要な場合は作業料を多くいただくので、外置きの機械の方が作業料は安くなりますし、お家の中でそれも狭い空間に設置されている場合は少し多めの作業料をいただくことが多いです。簡単に出来るような屋外壁掛けのガス給湯器(給湯+風呂)は、かなり安く計算することも珍しくありません。

現場を実際に見ないと正確な金額は出せない

ここで注意してほしいのは現場を見ていない業者(チラシなどで作業料込みの金額を提示している業者など)は、最低でも発生する作業料で値段を算出したうえで、小さい文字で「現場の状況によっては別途費用が発生する場合があります」というような文言を書いているという部分です。

前項に書いた内容のように「現場を見たら必要な部材があった」なんて場合は万単位で金額が高くなるでしょうし、実際に現場を見たら当初よりも金額が高くなったというトラブルは非常に多いので、お金のトラブルを避けたい方は絶対に現調してもらうことをおすすめします。

こたろー

インターネットで依頼を受け付けている業者の多くは「現場の写真」を添付して申し込むタイプも多く、これなら現場に足を運ばなくてもかなり正確な見積もりが出せます。

その他費用

たまに撤去費用などの項目で金額を上乗せすることがありますが、弊社の場合は基本的に帳尻合わせであることが多いです。給湯器は内部に銅が使われているので、然るべき場所に持って行けばお金にすることができます。

通常ルートで捨てようとすれば、粗大ごみ扱いになってお金を払わないと捨てられないようなものですが、廃品回収をしている業者からすると喉から手が出るほど欲しいものだったりもするので、もし撤去費用という名目で数千円~数万円を計上されている場合は価格交渉するのも面白いと思います。

「撤去費用ってタダになりませんか?」って相談してみたら、意外と折れてくれる施工業者は少なくないはずです。

なぜ会社(業者)によって見積金額が違うのか

なぜ会社(業者)によって見積金額が違うのか

業者ごとの仕入れ値の違いが大きく反映する

上の方で書いたことと重複しますが、業者によって仕入れ値が違って値引きできるレベルが違うからです。細かく見ていくと作業料の違いなんかもありますが、一番大きい部分はここです。

40万円する給湯器もその辺の設備屋さんには6割引き以上で入っています。業者によっては7割引きで仕入れているところもありますし、8割引き以上で仕入れているところも。8割引きで仕入れることができる業者なら、よほど儲けようとしない限りは7割引きで仕入れている業者に価格競争で負けることはないでしょう。

同じ会社でも人によって見積り金額は変わる

給湯器に限らず、スーパーでも似たようなことが起こっている

あなたのお家の近くに同じ名前のスーパーが複数あったりしませんか?コンビニだと同じローソンで価格差があることってあまり無いようなイメージもありますけど、スーパーだと同じ名前のスーパーなのに商品によって価格が違うってことも珍しくありません。

恐らく、買い物に来る客層によって価格を変えていたりするんじゃないかと思うのですが、その店舗の営業努力みたいな部分も反映されていると思うんですよね。給湯器の取付も一緒です。

担当者の営業努力、判断によっても金額差が生まれる

弊社の場合は会社全体の利益確保はもちろんですが、個人にも営業目標があるので「今月は給湯器があと一台売れれば目標を超えられる」という状況だと、何が何でも売りたいと考える人が多いです。もし売れるなら、普段よりも多く値引いたっていいって考える人も少なくないと思いませんか?

そういうタイミング的な要素もありますし、あとは細かな部材の「交換した方がいい、交換しなくてもいい」の判断は、基本的にはその人次第です。煙突やガス可とう管などは原則として交換必須ですが、給水配管などはそのまま使用します。

もし給水配管の一部に腐食している箇所があった場合、それを見てどこまで手直しするのか…それは取り付ける人間の判断による部分です。もちろん金額面だけを見れば前者の方が高くなることが予想されますが、ここだけを切り取ってみると安けりゃいいってもんじゃないっていうのがお分かりいただけると思います。

低レベルの業者は煙突も再利用するため注意

煙突は交換必須 ガス通路部の部材も要注意!!

原則として煙突やガス可とう管などは給湯器と一緒に交換必須です。しかし業者によっては、知っててなのか知らずにやってるのかは定かではありませんが、本当に給湯器だけを交換し、煙突などはそのまま再利用するという業者もいます。

言うまでもなく煙突を新しくする必要が無ければ安い金額で交換作業が行えますが、果たしてこれを良い仕事と言えるでしょうか。煙突は腐食に強い素材で作られているので、ちょっとやそっとのことじゃ穴が開いたりはしません。やったことがないので定かではありませんが、20年くらいは普通に使えるんじゃないかとも思います。

しかし、命に関わる問題です。万が一煙突から排気が漏れて家の中に充満し、それが原因で死亡事故に繋がったら…。そう考えたら、良識ある業者だったら迷わず排気筒を交換すると思います。そしてその業者の人も自分の親が住んでいる家の給湯器を交換するとなれば、間違いなく排気筒を交換するでしょう。

こたろー

目で見えてハッキリしている「金額的な安さ」に惹かれる理由は分かりますが、安いからと言ってそれが全部良い業者であるとは限らないという点は頭に入れておいてください。

損をしない為には見積もりを書面で貰うのが必須事項

ただし、多くの人は明らかに変な取り付け方でもされない限りは変な業者に当たったとは気付かないでしょうし、まして「これから依頼しようとしている業者がどうなのか」という部分は見当もつかないのではないでしょうか。そういう場合は複数社に現調してもらったうえで書面で正式な見積もりを貰うことをおすすめします。

業者に気を遣って「複数社に現場を見てもらう場合は時間をずらした方がいいかな?」とか不安になるかもしれませんが、施工業者は基本的にそこまで気にしません。むしろ最初から「複数社から見積もりを貰って検討します」と言われることで、下手な見積書は出せないという気持ちが強くなるでしょう。

この時「A社とB社で必要な部材に差がある」とか「取付料は変わらないけど本体からの値引きが大きく違う」などの特徴が分かればしめたものです。本体からの値引き価格は仕入れ値が大きく反映する部分なので、特に気にする必要はありません。なので「給湯器の本体価格に大きな差がある以外はどこも一緒」という結論になれば、一番安い所に頼んでも問題ないということになります。

よくある後悔のパターンとしては「一刻も早くお湯が使いたいという焦りに駆られて足元を見られてしまった」というパターンです。これを避けるためにも、しっかりと複数社から実際に現場を見てもらったうえで正式な見積書を書面で貰うことをおすすめします。

給湯器の修理・交換見積もりの見方や比べ方のアドバイス まとめ

見積もり金額は業者ごとによって大きく変わるのが当たり前
同じ業者でも担当者によって細かく変わってくる可能性も十分にある
「安い業者=良い業者」とは限らない
地雷業者を炙り出すには、実際に現場を見てもらった複数社から見積書を書面で貰おう

恥ずかしながら弊社も、給湯器を取り付けた後で「他の業者の方がずっと安いんだけど」というクレームを貰うことがあります。私は当然騙す気はありませんし、ボッタクリという認識もありません。ただ「金額的にはウチより安い所がいくらでもあるだろうな」とは思いながら見積書を提示しています。

少しでも安い業者を探しているのであれば、少しでも自分の目や耳で情報を集めることが重要です。お湯が使えない状況で焦る気持ちは分かりますが、冷静にならないと正しい判断はできないことが多いので、今一度、落ち着いて判断してみてください。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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