ランニングコスト(燃費)だけに飛びついてエコ給湯器を買うと痛い目に遭う

 

最近はボイラーが載っているチラシを見ると、どれもこれもエコタイプばかりになってきたような気がします。環境にやさしいってことで、政府がメーカーにそうするように仕向けているのかもしれませんね。

さて、私も職業柄「エコタイプの給湯器ってどうなの?」と聞かれることが多々あるのですが、ハッキリ言って良し悪しだと思っています。

 

トータル的には金額が安くなることは多い傾向にありますが、エコだからと言って飛びつくのではなく、しっかりとメリット・デメリットを理解したうえで購入を決めるべきです。

今回は「ランニングコスト(燃費)だけに飛びついてエコ給湯器を買うと痛い目に遭う」というテーマで進めていきたいと思います。

目次

営業マンはエコタイプをおすすめする人が多い

 

実際に私は客を装って色んなメーカーの展示場とかに話を聞きに行ったりもするんですが、やっぱりどこでもエコタイプをおすすめしてきます。売り文句としては「これまでの給湯機に比べて燃費が格段にいいんです」というようなアピールです。

これに対して私自身の考えでは、各メーカーは「環境保全に取り組んでいます」「省エネ大賞受賞」とか、そういうアピールがしたいんじゃないかと思っています。そのための実績を上げるために、各営業マンにはっぱをかけて必死にアピールしているんじゃないかと。

で、その営業マンに「実際にあなたはエコタイプの給湯器を使ってるんですか?」と聞いてみると、なんか変な間があった後で「もちろんです」って言うんですよ。これ、おかしくないですか(笑)

 

【2020年追記分】

随分エコ給湯器の利用者も増え、エコジョーズに関しては従来型よりも販売数が増えて主流になっています。お得になっているケースも多そうですが、まずはエコ給湯器のデメリットもしっかり押さえておくことをおすすめします。

 

1台売ると〇〇〇〇円もらえる!?

 

実際に弊社では、エコタイプの給湯器を1台売るごとに5000円の手当てが貰える時期がありました。ケチで有名な弊社の社長がそんな手当てを出すってことは、会社には10000円以上入っていたと思われます。

今はもうやっていないのですが、もしメーカーが「エコタイプの売り上げを伸ばそう!」と今も考えているのであれば、その営業成績によって何かしらの恩恵を与えている可能性はありますよね。

そういう背景があるのであれば、必死になってエコタイプの給湯器を売ってくる気持ちもわかります。

 

エコタイプ給湯器のメリットはランニングコスト(燃費)

エコフィール:年間6450円の節約

エコジョーズ:年間23000円の節約

 

多くの人が1番惹かれる部分が燃費効率の良さ、ランニングコストだと思います。

地球にやさしいなんてのは二の次で、多くのユーザーは「燃料費がかからない」「灯油、ガスの節約になる」という部分に魅力を感じて高効率ボイラーの購入を検討するのでしょう。

 

一応ノーリツが公表しているデータによると、石油の高効率ボイラーで年間約6500円、ガスの高効率ボイラーで年間23000円の節約になるそうです。これが本当なら石油はともかく、ガスは月々2000円ほど安くなるわけですから立派な数字だと思います。

ちなみに私もこの数字を普通にお客さんに喋っていますが、実際に自分で使用して比較検討したわけではなく、研修などで教わったことをそのまま説明しているだけです。

 

そして思うんですけど、車のリッター当たりの走行距離なんかもそうですが、結局は理想条件による理論値であることが多く、結構誤差があることもありますよね。

とりあえずここでは、この燃費が本物だと仮定しても「これをひっくり返すくらいの罠が潜んでいる」ということを解説していきたいと思います。

参考「給湯器のエコタイプ(高効率タイプ)は得か損か」という話

営業マンが教えてくれないエコタイプのデメリット

給湯器本体、施工料が高い

 

ここは正直微々たるものですが、一応ご説明しておきますね。給湯器本体の価格が従来型と比べると高いですし、それに伴う取付工賃も高くなることが多いです。

エコフィールは本体価格はそんなに変わらないですが、屋内設置の給湯器の場合だと専用の給排気筒が15000円ほど高く、エコジョーズは本体価格に30000円~40000円程度の差があります。

 

更に屋内タイプだと、ドレン配管の施工において多くの現場で床下作業が必要になり、床に穴をあけて配管を施工して排水に繋げるという作業が必要になります。弊社では現場の状況にもよりますが、従来タイプの場合と比較して取付作業料を20000円ほど多くいただいていました。

そのため、ホームセンターや設備屋のチラシなどで「給湯器本体が○○円!作業料込み!」などと謳っている業者の場合だと、現場を見てから「いやー、これだと追加料金が必要ですね」と言い出すことがあるので、目先の金額にとらわれずにしっかりと正式な見積もりをもらうことをおすすめします。

 

従来型と比べて壊れやすい

 

これは明確な数字でデータが出ているというわけではなく、至極当たり前のことです。機械は複雑になればなるほど壊れやすくなります。これは「壊れる箇所が増えるから」という単純なことです。

エコタイプの給湯器は、本来であれば捨てていた排気をもう一度機械の中に取り込んで、その熱でもう一度お湯を作るという仕組みになっています。そのために従来型には必要なかった部品が多く取り付けられているんです。

点数を数えたことはありませんが、細かい部分も入れたら従来のボイラーと比べて5~10点くらいの部品が増えてるんじゃないかと思います。そして構造が複雑になっているのは間違いありません。

 

消耗部品がある

果たして購入を検討しているお客さんにしっかりとこれを説明している営業マンがどれだけいるのか…。エコタイプの給湯器には、従来の給湯器にはなかった「年数が経ったら必ず交換しなきゃいけない部品」が存在します。

それは中和器と呼ばれる部品で、給湯器の稼働時間に応じて交換が必要になる部品です。これは給湯器が故障するとかそういう内容ではなく、一定時間使用すると必ずエラーを出すように作られているので、エラーが出たら必ず交換しなくてはなりません。

 

その時の交換費用は部品代、作業料、出張料を含めて15000円程度ですが、消耗部品とは言っても多くのご家庭で5年以上経ってから交換するようなものなので、給湯器が寿命を迎えるまでに2回交換するかどうかというところだと思います。

関連記事ノーリツ製ボイラー(給湯器)のエラー920、930について

故障せずに何年もつかが鍵

 

新しい機械というのはデータが揃っていないので何とも言い難い部分がありますが、多くの場合は少しずつ改良されることで完成形として出来上がっていきます。従来型の給湯器も最初は故障が多発している部品が幾つかありましたが、その度に改良して少しずつ壊れにくいようになってきたという背景があるんですね。

個人的には従来型の故障率だってそんなに低いとは思ってないわけで、この高効率ボイラーが果たして壊れずに長く使える可能性がどれだけあるのかが疑問です。

ハッキリ言うと私はそれを信用していないんですけど、個々の部品の価格も高くなっているので修理となったら従来型より高くなるのは明白です。果たしてランニングコスト分のお金が得できるかどうかは、あなた次第です(あなたの給湯器次第です)。

 

まとめ

ちゃんとデメリットを理解して買うなら良い買い物と言える

 

私は自分のお客さんに石油のエコタイプ(エコフィール)はおすすめしていません。理由としては、そこまで大きく燃料費が抑えられるというわけではない上に、内部が複雑だからです(内部の複雑さはお客さんには関係ありませんが)。

一方でガス給湯器に関してはエコタイプが主流となっており、こちらはエコジョーズの方がいいのではないかと思っています。

個人的にはガス給湯器の方が石油給湯器よりも耐用年数が長いように感じているので、長期間の恩恵が期待できるという意味でもエコジョーズはおすすめです。

ただし中には、年数経過で交換が必要な中和器の存在を知らず、修理の時になって声を荒げるお客さんもいるので、目先の利益(燃費・ランニングコスト)だけに飛びつくのではなく、デメリットも理解したうえで購入することが重要だと言えるでしょう。

 

関連記事修理のプロがエコフィールのデメリットについて正直に暴露する

関連記事給湯器修理のプロが「エコジョーズのメリット・デメリット」について分かりやすく説明する

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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