給湯器が故障してしまう原因には様々な要因があります。
給湯器などの機械には耐用年数・寿命という概念があるので、ずっと使えて然るべきというものではありませんが、中には「使用者の心持ち次第でもう少し長持ちした」というケースも少なくありません。
今回は修理のプロである私が「給湯器が故障してしまう原因で多いもの」「給湯器を長持ちさせるためのコツ」のようなものをご紹介したいと思います。
給湯器が故障してしまう原因
経年劣化・機器寿命
カタチのある物ですから仕方のない部分ですが、1番多い故障の原因は機器寿命です。
ちなみに給湯器の寿命については、20年という人もいれば10年という人もいますが、普段から修理業務に携わっている私は「7年~10年」と説明しています。
詳しく知りたい方は以下の記事を読んでください。
参考給湯器の寿命は10年ではなく、7年~10年というのが修理のプロの見解です
さて、では「寿命を迎えるとどのような不具合が多いのか」について解説します。
特に多いのは、E-140などの安全装置に関するエラーなどですね。
安全装置は命を守るという役割があるため、非常に繊細に作られており、故障率が高いです。
万が一にも「安全装置が故障して作動しなかった!」という事態は避けないといけないため、安全装置が故障する=給湯器が使えなくなります。
例外はありません。
あとは「燃焼音が高くなってきた」「給湯器の排気口周辺が変色してきた」「ファンモーターの音がうるさくなってきた」なども給湯器の経年劣化でよく見られる症状です。
間違った入浴剤の使用法
美容意識の高い方、特に女性に多いのが「間違った入浴剤の使い方」によって故障させてしまうというケースです。
入浴剤にはほぼ例外なく「この入浴剤には風呂釜を傷めるイオウは使われておりません」というような文言が書かれています。
それを見たら多くのユーザーは「これは使っても大丈夫なんだ!」と安心してしまうことでしょう。
では、イオウが使われていなければ風呂釜にダメージはないのか。答えはNOです。
入浴剤には「透明タイプ」と呼ばれるものと「にごりタイプ」と呼ばれるものの2種類が存在します。
透明タイプはそうでもないのですが、にごりタイプの入浴剤を使用したお湯を追い炊きしてしまうと故障してしまう可能性があるので注意してください。
大体はパッケージを細かく見ていると記載されているものが多いですが、特に女性向けで「保湿」や「すべすべ肌になる」という謳い文句で販売されている入浴剤には「にごりタイプ」のものが多いです。
参考「浴槽・風呂釜を傷めるイオウは入っておりません」という表記は勘違いしやすい
参考「風呂釜に影響のある入浴剤でも追い炊きしなければ大丈夫?」に答える
頻繁にお湯を出したり止めたりを繰り返す
例えばお湯を使う時、出し過ぎにすると水道代もガス代も掛かってしまいますし、給湯器そのものの燃焼時間も増えてしまうことは簡単に想像できますよね?
実は給湯器の寿命を決定する大きな要因の1つには「着火回数」というものが存在します。これは「火が付いた回数」です。
例えば10分間出しっぱなしにした場合、燃焼時間は10分ですが着火回数は1回です。
一方で、5分間に20回くらい出したり止めたりをしたという場合は、燃焼時間は5分以内になりますが、着火回数は20回にもなります。
最近はアイドリングストップ機能のある車なんかも普通に登場しているのでイメージが湧きにくいかもしれませんが、この着火回数の考えは車のエンジンに似ています。
エンジンが動いている時間を減らすために、何度もエンジンを切ったりすることは、車にとって良い行為なのかどうかという話ですね。
私は車に関しては専門外ですが、たぶん長持ちさせるという意味ではあまり良くないんじゃないかなぁと思っています。
ちなみに給湯器の場合は、最初の点火に結構なエネルギーを使うので、あんまり頻繁に付けたり消したりするのは負担増です。
落雷などの自然災害
落雷に関しては近くに落ちたという場合を含め、なにがあってもおかしくないです。
それこそ「自分の家だけが壊れてしまう」ということも考えられますし、逆に「自分の家だけ助かった」ということもあります。
新品の機械が壊れてしまうこともあれば、機器寿命を迎えた機械にとどめを刺すようなパターンもあるので、ハッキリ言って「神のみぞ知る」という部分が否定できません。
ちなみに雪国で外置きの給湯器の場合だと、雪が積もって給湯器が雪に埋もれてしまったりということも考えられるので注意が必要です。
循環液の劣化(暖房機能付きの場合)
給湯器に暖房機能が付いている機種の場合、循環している不凍液の劣化によって水漏れなどの故障に繋がってしまうケースも多いです。
取扱説明書にはしっかり「3年前後で入れ替えてください」との表記があるのですが、施工時に説明しない業者も多いですし、決して安いものでもないので簡単に3年で入れ替えられるようなものではないと思います。
ちなみに当社では、給湯器を10年使用すると仮定して、折り返し時点の5年の段階で不凍液・循環液の入れ替えをおすすめしています。
料金は暖房の規模にもよりますが、メーカー純正の不凍液は20Lで10000円~15000円くらいで、ここに入れ替え作業料が加算されるので、決して安く済むようなものではないです。
この循環液が劣化してしまうと、熱効率が悪くなって燃費が落ちるほか、循環液通路部からの水漏れ、ポンプの故障などに繋がるケースが考えられます。
長持ちさせるためのアドバイス
普段からやれることは「循環フィルターの掃除」くらい
もしかすると説明書の中には「入水フィルターの掃除」などが挙げられているかもしれませんが、これについては普段から行う必要はないでしょう。
近くで水道工事などがあって、砂利や砂などが流れてきた時に必要になるくらいです。
その代わりしっかりと行ってほしいのが「ふろ循環フィルターの掃除」ですね(もちろん風呂機能なしの給湯器であれば不要です)。
循環フィルターが詰まってしまうとポンプ系のエラーを出したり、循環不良などにつながり「お風呂の温度がぬるい/設定温度まで上がらない」という症状が起きます。
この手の不具合は非常に多く、現場に行ってフィルターが汚れている状態であれば、それを掃除して試運転で修理は完了です。
お客さんには実際に掃除したフィルターを見ていただきますが、多くのお客さんは恥ずかしい思いをして5000円~10000円程度の修理料金を負担するカタチになるので、ここは避けたいですよね。
ちなみに循環フィルターについては、給湯器ではなくシステムバスの方の管轄になるため、給湯器メーカーに問い合わせても明確な答えが得られない可能性がありますので、ご注意ください。
入浴剤を使用したら追い炊きしない
私も入浴剤が好きで頻繁に使用していますが、基本的に追い炊きはしないようにしています。
ただ、一人暮らしならまだしも、家族がいて追い炊きしないっていうのも難しいですよね。
もしそんな場合で「どうしても入浴剤が使いたい!」という場合は、透明タイプのものであれば直ちに影響が出るということはないはずです。
ただし追い炊きをした以上は、給湯器内に入浴剤成分が入っていってしまうことになるので、定期的なメンテナンスをするべきだと思います。
入浴剤の使用頻度に合わせてケアしてもらえればと思いますが、月に1回でも「ジャバ」などの配管洗浄剤を使ってもらうだけで十分変わってくるはずですよ。
まとめ
給湯器の故障する主な原因は「機器寿命/使用法/災害などの外部的な要因」である
機械のため、どうしても「故障原因がハッキリしないケース」もある
給湯器が壊れてしまう原因は様々ですが、基本的には寿命か、使い方か、落雷などの外部的な要因かで説明がつきます。
これで説明のつかないものに対して、メーカーから保証期間が設けられているという感じですね。
大体5年も経過していれば「他の家と比べて使用頻度が高い」など、経年劣化と言える根拠が見つかることが多いです。
しかし当然、説明がつかないケースもあります。
お客さんに面と向かっては絶対に言えない言葉ですが、正直言って「当たり外れ」もありますので、もし納得がいかない場合は徹底的にごねてみてはいかがでしょうか。
意外と正論でごねると部品代だけタダになったりしますよ。
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