みなさんは「ふろ自動ボタンを押して、そろそろお湯張りが完了するかと思ったらお湯がたまっていなかった」なんて経験ありませんか?実はこの症状には様々な原因が考えられるのですが、中には「非常にシンプルな方法で改善するパターン」があるんです。
それを水位リセットと呼ぶのですがユーザー自身で簡単に行うことができる上に、私の経験上「水位リセットを試していたら修理業者を手配する必要がなかった」というケースが非常に多いんです。これを試してから修理依頼をするのでも遅くないと思いますよ。
というわけで今回は「風呂自動でお湯がたまらない原因・対処法」についてご紹介したいと思います。
風呂自動でお湯がたまらない→水位リセット(湯量リセット)
水位リセットとは?
「風呂自動ボタンを押してもお湯が貯まらない/お湯張りが完了したのにお湯の量が極端に少ない」という場合は、まずは水位リセット(湯量リセット)を試してみることをおすすめします。
給湯器の内部には「現在、浴槽内にはどれだけお湯(または水)が入っているか」を測定しているセンサーがあるのですが、これはふとしたことが原因で狂ってしまうことがあるんです。水位リセットとはこのセンサーを一旦リセットして再度ゼロからお湯張りをするというシステムを指します。
お湯張り機能を持つ給湯器には「常にお風呂内の湯量を計算しているフルオート」と「常にゼロからお湯張りをする前提で設計されているセミオート」という、大きく分けて2種類の給湯器が存在します。前者であれば湯量を計算している水位センサーと呼ばれる部品が搭載されているので、それをリセットするという行為には価値があります(セミオートの場合は残念ながら水位リセットで改善することはありません)。
水位リセット(湯量リセット)のやり方
ちなみに水位リセットのやり方なんですが、リモコンの種類によってやり方が異なるのであなた自身が使用している給湯器やリモコンの取扱説明書を確認してもらうのが手っ取り早いです。取扱説明書が無ければ各メーカーのホームページから取扱説明書をダウンロードすることもできるので確認してください。
ちなみにこれはゼロ状態からお風呂にお湯を張ることになるので、お風呂の栓をすることはもちろん、お湯張りされても良い状態にしてからスタートすることをおすすめします。以下にノーリツ製給湯器の水位リセットのやり方の一例を掲載しておきますが、何度も言うようにやり方はリモコンの種類によって変わるのでご了承ください。
セミオートの機種で水位リセットをしたらどうなる?
上の方で軽く触れましたが、給湯器は種類によって機能が異なります。水位リセットが有効なのはフルオート以上のグレードの給湯器です。
- フルオート:浴槽内のお湯を測定していて、どのタイミングでもふろ自動ボタンが押せる
- セミオート:浴槽内のお湯を測定しておらず、ふろ自動は原則として浴槽が空の状態で使用する
給湯器の多くはフルオートもセミオートも同じ取扱説明書であることが多いので、人によっては「自分の家で使用している給湯器がどちらか分からない」という人も出てくるでしょう。その場合も「一応、水位リセットを試してみる」というのは極めて有効です。
セミオートの機種で水位リセットをした場合、特に何も改善されることなくただお湯張り動作に入るだけなので、これが原因で壊れたりということはありません。
水位リセットで直らない場合に考えられる故障内容
注湯電磁弁不具合
お湯張りをするための水メカを注湯電磁弁、または湯張り電磁弁などと呼びます。注湯電磁弁はふろ自動ボタンを押したときに開き、お湯張りが完了すると閉じるというシンプルな部品です。
これが故障している場合はふろ自動ボタンを押しても一切お湯が貯まらないこともありますし、本来の量よりもだいぶ少ない状態でお湯張りが停止してしまうことも考えられます。
この場合の多くはエラー562を出すことが多いのですが、基本的に「お湯がまったく貯まらない」「お湯張り以外の給湯や追い炊きは問題なく使用できる」という症状になることが多いです。ちなみに注湯電磁弁だけの問題で済めば、交換に掛かる費用は20000円前後くらいです。
リレーなど電源系統の不具合
リレーというのは基板のことで、人間の体でいえば脳に当たる部分と言っていいでしょう。ここから正常な命令が下されていないせいで、正常にお湯張りが行えないというケースが考えられます。
リレーが悪ければ通常はエラー710を表示することが多いのですが、ごく稀に「リレー自体がおかしいことをエラー表示できない」というケースがあるので、このような場合はリレー交換が必要になるでしょう。しかしこの場合はお湯張りの時だけ調子が悪いというケースは考えにくく、長時間使用しているとリモコンの電源が勝手に落ちるなどの症状と併発していることが多いです。
ちなみにお湯張り中にリモコンの電源が落ちるなどの症状があれば、電源が落ちた瞬間にお湯張りは止まってしまいますので、この場合はリモコンの不具合やリモコン線の不具合も怪しいですね。リレー交換の場合は機種によって金額が大きく変わってきますが、相場は30000円程度になることが多いです。
循環金具接続部分などから水漏れ
循環金具というのは、お風呂の中についてる上記画像のような物です。これは浴槽の内側はフィルターとなっていますが、内側と外側でネジ締めによって圧迫されています。
ここに咬んでいるゴムパッキンが劣化していたり、あるいはネジが緩んでいる、内側の配管に亀裂が入っているなどがあると、お湯張りしたはずのお湯が少しずつ浴槽外に逃げてしまうということがあります。これはお風呂の栓が完全に閉まってないという場合と一緒ですね。
ゴム栓なら劣化によって隙間ができているとか、レリース(システムバスのお風呂の栓)なら少し浮いていて隙間から水が逃げているということが結構あります。これらの場合は時間経過で徐々に湯量が減っていくということが非常に多いので、翌日の朝に浴槽を見たら空っぽだったというケースも少なくありません。
循環金具の下で止まっているなら、金具か追い炊き配管か給湯器本体からの水漏れ、空っぽになるなら風呂栓からの水漏れの可能性大です。
循環不良(ふろ水の循環判定ができない)
給湯器には浴槽の中に水が入っているかどうかを確認する機能があります。これが確認できない場合、一定量のお湯張りをした後に「ふろ水の循環が確認できない→お風呂の栓がされていないのでは?」という判断になり、途中でお湯張りをストップすることがあります。ちなみにこの場合の多くはE632を表示することがほとんどです。
循環不良の場合もいくつか原因が考えられますが、給湯器の故障以外にも簡単な調整で直る場合があるのでご紹介します。
- 循環フィルター詰まり
- 循環フィルターが正常に取り付けられていない
- ふろ配管の詰まり
- 循環ポンプの能力低下
- ふろ水流スイッチの故障、不具合
給湯器部品の故障や不具合はプロによる修理が必要になりますが、循環フィルターに関する不具合であればユーザー側での対処が可能です。循環フィルターも各家庭によって種類が違いますが、掃除方法の一例を以下に掲載しておくので参考にしてください。
循環フィルター(循環アダプター)は給湯器と非常に関わりの強い要素ですが、厳密に言うと給湯器側ではなく浴室側の設備・部品になるので、給湯器メーカーのアダプターを使用しているとは限りません。ユニットバスメーカーの物が採用されていることがほとんどです。
まとめ
お使いの給湯器がフルオートなら、兎にも角にも水位リセット
水位リセットのやり方は取扱説明書に記載されている
まずは修理依頼をする前に水位リセット(湯量リセット)をやってみてください。もし「使用している給湯器がフルオートなのかセミオートなのか分からない」という場合でも、水位リセットをやって壊れてしまうということはないので、とりあえずやってみる価値はあると思います。
説明書を無くした、あるいは説明書を引っ張り出すのが面倒だという場合は、各メーカーの公式ホームページからオンラインで説明書が見れますのでそちらを参考にしてください。
コメント