ノーリツ製給湯器のエラーE120、E121、E122、E123|途中炎非検知

ノーリツ製給湯器のエラー E120~E123 途中炎非検知

このページではノーリツ製給湯器(または暖房ボイラー)のエラーE120、E121、E122、E123について、考えられる内容と対策について解説していきます。

ここで紹介する事例はあくまで「このような内容であることが考えられる」というものであり、絶対にそうだというわけではありませんのでご了承ください。

目次

ノーリツ製給湯器 E120~E123のエラー内容

  • E120:燃焼制御装置異常(途中炎非検知)→石油給湯器
  • E121:給湯立ち消え安全装置作動(炎非検知)
  • E122:ふろ立ち消え安全装置作動(炎非検知)
  • E123:暖房立ち消え安全装置作動(炎非検知)
  • E12:燃焼制御装置異常(途中炎非検知)→単機能の給湯器

最初の点火が出来ない場合はE110~E113」でしたが、E120~E123は最初の点火はできるけど何らかの原因でそれを持続できずに途中で火が消えてしまうというエラーです。

数あるエラーの中では診断も難しいことが多く、総じて厄介なエラーであることも少なくありません。経年劣化や燃料不備などで多く見られるエラーです。場合によってはE110~E113と併発することがあります。

E120~E123で考えられる不具合の内容

  • 燃料切れ、または燃料のエア咬み
  • 燃料系統不具合
  • 点火不具合
  • 施工不良等による酸欠

燃料切れ、または燃料のエア咬み

完全に燃料が切れてしまうとE110~E113の初期炎非検知のエラーが出るのですが、燃料が切れかかっている状態だとE121~E123が出ることがあります(石油給湯器、プロパンガス給湯器の場合)。

特に石油給湯器で灯油を完全に切らしてしまった場合、それに気付いて急いで給油したとしても配管内に空気が入ってしまったことにより、その後もしばらくエラーが出てしまうことがほとんどです。

石油給湯器の場合は石油ストーブが正常動作するか、ガス給湯器の場合はガスコンロが正常動作するかを確認するのが手っ取り早いと思います。別機器を所有している場合は、ぜひお試しください。

燃料系統不具合(主に石油機器)

燃料の質が悪い場合(灯油に水が混じっている場合)も、点火不良を出すことが考えられます。特にオイルタンクの使用年数が経っていて、これまでに一度も水抜きをしたことがないという状況であれば、灯油に水が混じっている可能性も考えられます。

この場合はオイルタンクのストレーナや給湯器のストレーナを確認すると、フィルターが錆まみれになっていたりするので分かりやすいです。あまりにも灯油としての質が低いと、一切点火できずにE110のエラーになりますが、微妙に水が混じっているというような場合だと火が付いたり消えたりするのでE120のエラーになります。

その他原因による途中炎非検知

オイル電磁弁、ガス電磁弁などの燃料通路部部品が故障している可能性が考えられます。電磁弁が動かなければバーナーに燃料を噴出できないため、点火することができません。

特に多いのは、経年劣化によるノズル詰まりです。ノズルが詰まっているせいで、本来なら100噴射されるべき燃料が50程度になっていると、火が付いたり消えたりしてE120~E123が出ることがあります。

あるいは熱交換器が詰まっているせいで燃焼不良を起こしていたり、軽く排気閉塞を起こしている場合も一旦付いた火が消えてしまうことがあります。施工後間もない場合、特に屋外設置の給湯器の場合は、給湯器本体を囲っているために酸欠になっているパターンがあるので確認してください。

酸欠状態が続くといずれは一切点火出来なくなり、給湯器内部ですす詰まりを起こして高額修理になってしまいます。給湯器本体や煙突、排気口に変形や異常がないかどうかを、日頃から点検するのがおすすめです。

E120~E123が表示されたときの対処方法

  • 石油給湯器:オイルタンク残量の確認、煙突の破損等の確認
  • ガス給湯器:ガスメーターの確認、煙突の破損等の確認

オイルタンクで灯油残量の確認

ゲージを見て判断するのではなく、実際の量を確認するのが望ましい

オイルタンクのゲージ

灯油が完全にない場合はE110のエラーになりますが、灯油が切れかかっている状態ではE120が表示されるので、石油給湯器の場合はオイルタンクの灯油残量を確認してください。

ごくまれに「オイルタンクを外から見ると残量があるように見えるが、実はゲージ(フロート)が壊れていて実際には空っぽ」というケースもあるため、できれば蓋を開けて目視するのが望ましいです。タンクの中は暗いので、懐中電灯やライトを使って照らすことをおすすめします。

もしくはストーブ等の他の石油機器が正常動作しているなら問題ありません。この場合は「送油配管内に残っている灯油で動作している」という可能性があるので、ちゃんと長時間動作できているかを確認する必要があります。

灯油の量が少ない場合、灯油の質が悪い場合は注意

オイルタンクが空っぽではないという場合でも、灯油残量が少ない場合は「給湯器の電磁ポンプでは灯油を引っ張れない」ということが起こり、このときもE120を表示することがあります。

オイルタンク側の灯油量と重力の力を借りて灯油を引っ張ってきていることが多いので、200リットルのオイルタンクを使っているなら最低でも50リットル程度の灯油は入れておいてください。

このケースだと設置状況によっては「ストーブでは灯油を引っ張れるけど、給湯器では灯油を引っ張れない」ということが起こったりするので注意が必要です。

灯油タンクのオイルストレーナー

また、灯油の質が悪い場合も注意が必要です。オイルタンクの底部には上記画像のようなストレーナーが設けられていると思いますが、このフィルターが錆びていたり劣化しているようであれば、点検してもらうことをおすすめします。

オイルタンクは結露によって内部に水が溜まってしまうことが多く、この結露が一定量を超えると石油機器側に水が入り込んでしまうことがあります。こうなってしまうと給湯器の故障の原因につながるため、くれぐれもオイルタンクのメンテナンスは怠らないようにしてください。

灯油はまず凍りませんが、水が少しでも混じっている場合は簡単に凍ってしまうので、寒冷地の場合は特に注意が必要です。

灯油を切らしてしまった場合は、灯油配管内のエア抜き作業が必須

空気抜きの方法

灯油を切らしてしまった場合は灯油配管内に空気が入ってしまい、この空気を抜かなければ給湯器に灯油が供給されません。エラーを無視しながら何度も点火動作を行えば、そのうち灯油配管内の空気が抜けて正常動作するようになると思いますが、電磁ポンプの故障につながる可能性があるのであまりおすすめしません。

このような場合は、給湯器に近い位置で空気を抜くのが望ましいです。屋内設置型の給湯器なら、給湯器付近にオイルコックが設けられているケースが多いので、ここで空気を抜くのがいいでしょう。屋外設置型の給湯器なら、ボイラー外に付いているオイルストレーナーで空気抜きを行ってください。

給湯器内部でも空気抜きは可能ですが、灯油をこぼしてしまった場合にオイルセンサーが働いてE800を表示してしまう可能性があるので、給湯器の外部でエア抜きできるポイントが見当たらない場合はメーカーに依頼するのがおすすめです。

ガスメーターでエラーを出していないかどうかを確認

ガスメーターでエラーを出すケース

  • 長時間に渡ってガスを使用した場合
  • 規定量を超えてガスが流れた場合(コンロ接続のホースが外れたり、ガス管が破損した場合など)
  • 震度5以上の揺れを検知した場合
  • ガスメーターに衝撃があった場合
  • ガスの圧力が低下した場合(ガス管の詰まりなど)

ガス給湯器の場合は、ガスメーターでガスの供給が遮断されていないかどうかを確認してください。上記のような場合に、ガスメーターはエラーを出して停止することがあります。完全にガスが遮断されている場合はE111~E113のエラーになりますが、一応確認してみることをおすすめします。

もしガスメーターでエラーを出している場合は、それを解除してあげることで給湯器が正常動作する可能性がありますが、実際にガス漏れがあってエラーを出している可能性もあるので、ガス臭いなどの異変がある場合は安易に復帰させたりせずにガス会社に連絡してください。

ガスコンロがあるなら正常に動作するかどうかを確認してみるのがおすすめです。もし「ガスコンロは正常に動くけどガス給湯器はE111」という場合であれば、給湯器の不具合である可能性がグッと高くなります。

ガス配管内に残っているガスで少しは動作できることがあるので、ガスコンロで確認する場合は1分ほど着火を維持できるかどうかを確認した方がいいでしょう。

ガスメーターの復帰方法

STEP
すべてのガス機器の動作を止める

給湯器のリモコンは電源を切り、ガスコンロでつまみが解放されている場合は閉じてください。

STEP
復帰ボタンのキャップを外す
復帰ボタンのキャップを外す

復帰ボタンはキャップの内部に隠されています。

STEP
復帰ボタンを奥まで押し込み、ゆっくり手を離す
復帰ボタンを奥まで押し込み、ゆっくり手を離す

復帰ボタンはしっかりと奥まで押し込み、2秒ほど待ってからゆっくり手を離してください。

STEP
ガスを使わないで3分待つ

ガスメーターが再検査をした後、異常がなければ点滅が止まります。これを確認したらガス給湯器の試運転へと移ってください。ガス給湯器までガスが来るまでは点火しないため、何度か動作させてみてください。

TOKYO GAS 一般型マイコンメーターの復帰方法を参照させていただきました。

排気閉塞がないかどうかを確認

給湯器が酸欠状態に陥っている場合、初期段階では火が付いたり消えたりということがあります。特に多いのが寒冷地で「落雪によって煙突が潰れて酸欠になっているケース」や「排気口周りに雪の壁が出来ていて酸欠になっているケース」です。

雪が積もって邪魔になっている、あるいは機器本体を囲っているせいで排気が籠っているなどの場合は、早期発見して問題を取り除いてやることで改善する可能性があります。

基本的にE120~E123は、騙しだまし使用して悪化してしまうケースが非常に多いので、早急な対応を心掛けてください(煙突が潰れた状態などでずっと使用すると、不完全燃焼が続いて機器内が詰まってしまいます)。

E120~E123の修理金額の目安

E120~E123の修理金額の目安 状況別に大まかな概算を紹介

石油給湯器、石油暖房機の場合

  • 考えられる故障部品:電磁ポンプ、炎検出装置(フォトトランジスタ)、バーナーセット、電装基板
  • 修理参考料金:12,000円~85,000円程度(税込)(出張費:上限3,300円+故障診断料を含む)

給湯器の使用年数が長ければ経年劣化の可能性があり、バーナーや熱交換器に詰まりがあって燃焼能力の低下が見られる場合は高額修理になりやすいです。貯湯式の場合はノズル掃除だけで改善することもありますが、直圧式の場合は深刻なケースが少なくありません。

そして石油給湯器のエラーの中で、最も高額修理につながりやすいエラーの一つです。燃焼部品を複数交換しなければならないケースが多いため、あまりにも高額修理になってしまう場合は修理ではなく買い替えをおすすめします。

ガス給湯器、ガス暖房機の場合

  • 考えられる故障部品:点火トランス、電磁弁、炎検出装置(フォトトランジスタ)、燃焼管、電装基板
  • 修理参考料金:12,000円~85,000円程度(税込)(出張費:上限3,300円+故障診断料を含む)

ガス給湯器の場合、E121~E123のどの番号かによっても大きく変わりますし、経年劣化が原因でE121が表示される場合は大体E122やE123が表示されてもおかしくない状況であることが多いです。ただしE121(給湯回路の燃焼不良)が表示されているときに、ふろ回路や暖房回路の部品交換も一緒にやるかどうかは現場判断になります。

バーナーや熱交換器にすす詰まりがある場合は、多くのケースで燃焼不具合も併発していることが予想されます。掃除するだけでは再発してしまうことが懸念されるので、基本的には部品交換になることが多いでしょう。

一度詰まってしまったバーナーや熱交換器は、すぐに詰まってしまうことが予想されるので、部品交換した方が最終的にお得になるケースが多いです。ただし、給湯器自体が使用開始から7年以上経っている場合は、新しい給湯器に取り替えるのがおすすめです。

ノーリツ製給湯器のエラーE120~E123 まとめ

給湯器のエラーE120~E123は炎が途中で消えてしまうエラー
まずは燃料の確認が重要(他の機器が正常動作するかも併せてチェック)
経年劣化による途中炎非検知は高額修理になりやすい

ピンキリですが、早期発見で助かる場合もあれば長時間放置したことによって大惨事になってしまうことも。

また、石油給湯器の場合はE110と一緒で、オイルタンクの交換が必要になることがあります。ガス給湯器ならE111と一緒で、コンプレッサーによる掃除だけで直ることも。

いずれにしても早期発見、早めの診断が重要なエラー番号です。初期症状の段階ではリモコンの入り切りで使用できるようになることがあるかもしれませんが、騙しだまし使うことで最終的な被害が大きなものになってしまうかもしれません。

E120~E123のエラーが確認できた場合は、直ちにメーカーに連絡することをおすすめします。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • ノーリツGT-2428SAWXですが、追い炊き中にメインバーナーに着火すると、一時的に
    立ち消えを検出し消火となりますが、再度点火しその後は正常となります。(お湯が一時冷たくなる)追い炊き中でなければ問題ありません。ガス2次圧が低いのが原因でしょうか?

    • 久野さん、ご質問ありがとうございます。

      追い炊きのみ、給湯のみ→問題なし
      追い炊き中に給湯→給湯側が途中失火するケースがある

      おっしゃる通りガス二次圧が原因というケースも十分に考えられます。
      実際に見てみないと何とも言えませんが、GT-2428SAWXは確か1缶2回路だったと思うので、燃焼管が詰まっている可能性も高いです。

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