給湯器の修理は即日完了できるものばかりではありません。どちらかと言えば初回訪問時は原因の特定と修理見積もりの提示となり、そこでOKをもらえたら部品を注文して後日再訪問というカタチになることが多いです。
そんなときに割とよく聞かれるのが「代わりの給湯器(代替機、レンタル給湯器)は貸してもらえないの?」という質問です。車が故障した時や車検の時なんかだと、代わりの車を貸してもらえたりしますよね?
スマホなんかでも、今は「修理中に代わりのスマホを貸出しする」なんてサービスもあるようなので、消費者の立場からすると「修理中に代わりの機械を貸してもらえるのは当たり前」という認識なのかもしれません。
では給湯器も同じなのでしょうか。というわけで今回は「給湯器が故障した時って代わりの給湯器(代替機、レンタル給湯器)は貸してもらえないの?」という質問に答えていきたいと思います。
基本的に代わりの給湯器は貸し出ししない
給湯器が故障してしまってお湯が全く使えていないという時、壊れてしまった部品(交換する部品)が届くまでに数日間かかるなんてことはザラにあります。お客さんの中には「じゃあその間は温泉通いか…」という人もいれば「代わりの給湯器を付けろ」という人も。
温泉や銭湯が近くにあればまだいいですが、そういう人たちばかりではありません。代替機(代わりの給湯器)を貸して欲しいという人の気持ちも分かります。しかし某メーカーの修理業務を承っている弊社では、基本的には代替機の貸し出しはしていません。
一応、弊社には貸し出し用の給湯器が数台ストックされていますが、正直言うと使用できる場面は限定的です。普通の修理でこれを貸し出すということは基本的にはありません。「弊社から給湯器を購入してくれたお客さんで、修理に1週間以上の時間が掛かってしまう場合」に使用したり、あるいは「弊社から給湯器を購入してくれるお客さんにサービスで貸し出し」したりしています。
あるいは「現場で修理をするのが難しく、事務所に引き上げて修理をしてから持ってきたい」という自社都合の場合に、給湯器を引き上げることを納得してもらうためにレンタルするというケースですね。
代わりの給湯器を貸し出さない理由
全てのお客さんに平等に貸し出すというのが難しい
世の中は意外と狭くて、もし隣近所で「私は貸してもらえた、私は貸してもらえなかった」があると、貸してもらえなかったお客さんは不満に思うはずです。それを考えたら、サインをせがまれた芸能人のような「0か100かの対応」になるのが自然だと思います。
なぜ全てのお客さんに貸し出すのが難しいかと言うと、弊社では1日に平均30件~50件の給湯器修理をこなしているのですが、そこで全てのお客さんに代わりの給湯器を貸し出すとなると、1日に回れる修理件数が少なくなってしまうというのが1つ目の理由です。
それから屋内タイプの給湯器だと、設置する際に煙突を繋ぐ必要が出てきます。煙突にもサイズがあるので全部が全部合うというわけではなく、そのお客さんが使用しているのと同等のガス給湯器をストックとして用意していなければならないというのが、代わりの給湯器の貸し出しが難しい2つ目の理由です。
車やスマホなら最悪動けばいいという条件で貸し出せますが、給湯器は代わりの機械を渡すだけではなく、その給湯器が安全に使用できるような状況にしなくてはならないため、これらのサービスと比べると代替機を用意するのはややハードルが高いと言えるでしょう。
代わりの給湯器を貸し出す時の別途料金に納得してもらえない
そもそも代わりの給湯器を取り付けるという作業が、どれほどのものかという話です。お客さんの所有する壊れてしまった給湯器を取り外し、ここに変わりの給湯器を取り付けるとしましょう。これはいわば、給湯器の交換作業とほぼ同じ手順を踏むことになります。
古い給湯器を取り外して新しい給湯器を使用できるように取り付けるわけですから、その作業は交換作業とほぼ同じ作業量です。給湯器の交換作業料は業者によっても違いますが、基本的には【給湯器の本体価格+3万円~5万円】の所が多いです。代替機を貸し出すという場合は本体価格がかからないにしても、作業料としては3万円~5万円の作業料をいただくのが妥当ということになります。
ただでさえ今まで使用できていたものが使用できなくなってしまい、さらにはその修理に日数がかかるのでしばらくお湯が使えませんということで、悲しみと怒りが滲み出ているお客さんに対し「5万円で代わりの給湯器をレンタルしますよ!」なんて言えますか?私は言えません。
重度のクレーマーやメーカーのお得意様(ハウスメーカーの社員さんなど)、弊社から給湯器を購入してくれた人、レンタル料を払ってくれるというお客さんには貸し出すことがあります。
お湯が使えない時の乗り越え方
お風呂を沸かせる電気ヒーターを利用する
実は「給湯器がなくてもお風呂に入れるようなアイテム」が売られているのを知っていますか?
簡単に言えば「浴槽で使用できる電気ヒーター」なんですが、今では様々な場面で使用されています。プロパンガスのユーザーがガスの消費量を抑えたいという目的でも使用されていますし、学生さんの一人暮らしでも光熱費の節約として人気の高いアイテムです。
電気を水の中で使用すると考えると漏電などが怖いと感じる人がいるかもしれませんが、こちらも給湯器と同じように安全装置がしっかりと付いているので、使用法をしっかり守れば安心してお使いいただけます。
さすがに真水をお風呂として快適な温度まで沸かすのには時間がかかるので、メインの使用法としては保温などの用途になるのですが、給湯器が一切使えないというような状況であれば真水からお風呂を沸かすということも可能です。
給湯器の故障に悩まされる時期なんてそんなに無いとは思いますが、リスクヘッジとしては非常に便利で、追い炊きの回数を減らすことで給湯器の負担をカバーするという使い方もできるので、持っておくと使えるアイテムだと思います。
給湯器の貸し出しサービスがある施工業者に給湯器交換を依頼する
「修理が完了するまで代わりの給湯器を取り付けてほしい」という要望に応えてくれる業者はあまりいません(というか、ほぼゼロじゃないかと思います)。しかしこれが新しい給湯器に買い替えるという場合、話は別です。
給湯器は修理よりも買い替えの方が利益率が高く、施工業者の中には「買い替えてくれるのであれば、新しい給湯器が届くまでレンタル給湯器を貸し出します」という業者が存在します。近所にある設備屋さん、水道屋さんがここまでのサービスをしてくれるかどうかは不明ですが、全国範囲で活動している施工業者なら2つの施工店が有名です。
この上記の2社は、給湯器交換を依頼した際に納期に時間が掛かるようであれば、レンタル給湯器を貸し出してくれるサービスを実施しています。そして給湯器販売価格も非常に安いことで有名です。
給湯器修理の際のレンタル給湯器事情 まとめ
- 給湯器修理の場合は、基本的にはレンタル給湯器を貸し出すことはない
- 給湯器交換・買い替えの場合は、納期が掛かってしまう場合に貸し出してくれる業者も存在する
色んなサービスで代わりの機械を貸し出してくれるというサービスが多いので、それが当たり前のように思ってしまいがちですが、給湯器の代替機は色んな面で結構難しいことが多いです。
もし仮に貸し出すとしても、作業料で3万円~5万円、レンタル料で1日あたり3000円~5000円くらいの出費は妥当なんじゃないかと思います。そんな案内をしたら多くのお客さんは逆に不満に思ってしまうことが容易に想像できるため、最初から案内しないことが多いです。
こちらもお湯が使えない状況になってしまうというのは気の毒に思っていますし、できるだけ早く修理を完了させるつもりでいます。給湯器が故障してしまった場合の対処法については、お客さん自身で考えてもらえると幸いです。
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