みなさんは給湯器を修理する時に「ちょっと勉強してください/ちょっと負けてください」というようなカタチで、いわゆる「修理料金を安くしてください」というお願いをしたことがありませんか?
実は修理に来ている人間はメーカーの人間ではないので、この人に価格交渉をしても無駄であることが多いです(この人には金額をどうこうする権限がないと言ってもいいです)。
じゃあ誰が決定権を持っているのかなんですが、給湯器の修理料金がどのようにして決まっているかを理解することで、万が一「給湯器が早く故障してしまって納得がいかない!」ということが起こっても、然るべき価格交渉が出来るのではないかと思いました。
そこで今回は「給湯器の修理料金の決め方」について分かりやすく解説していきたいと思います。
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Contents
給湯器の修理料金の決め方
- 部品代
- 出張料
- 作業料
- 追加費用
- 中間マージン(直接依頼じゃない場合)
給湯器の修理に発生する費用は、上記の5点のトータル金額となります。
1~3は基本的な金額で、4、5については発生する場合と発生しない場合があるので、給湯器の修理費用を安くしたいという場合は注意が必要です。
以下では1つ1つについて詳しく解説していきます。
部品代
給湯器の修理に必要な部品代金です。
ちなみに部品代金が1000円だったとすれば「メーカー800円、修理業者200円」くらいの取り分になるのですが、実際にその部品を製造するのにいくら掛かっているかなどの細かい部分は、私たちも知らされていません。
よく「部品を丸々交換しないで、分解調整などで修理できないのか?」と言われることがあるのですが、簡単に調整できる場合と出来ない場合があります。
そして、下手に調整をして「やっぱりすぐ壊れてしまって交換しなきゃダメだった」という場合に、お客さんとトラブルになることが多いので、基本的には下手に手を加えずに交換することが多いです。
一部、コネクタが腐食しているという程度であれば、安全装置でなければ調整で済ませることも少なくありません。
出張料
距離に応じて出張料が掛かります。私が担当している都道府県では、会社の事務所がある市内の現場なら2000円ちょっと、市外に出ると3000円という感じです。
基本的には20km以内と20km以上などで区別されており、いくら修理業者の事務所から現場まで遠いからと言っても、お客さんに負担が増えるというシステムではありません。
原則としてお客さんのお家にお伺いする以上は、例え修理をしないと言われても「点検をするために伺った際の諸経費」ということで、この金額は最低限発生します。
修理に伺って診断させてもらい、お客さんの判断で「じゃあ修理しない」という判断になった場合、中には「修理していないんだから、お金は払わない」という方がいますが、車両に乗って現場に行くだけでも費用は発生するということをご理解ください。
お客さんが故障した機械を持ち込んでくれる場合は、出張料は掛かりません。
作業料
ここについてはメーカーから「水通路部は1点につき8000円」「熱交換器は20000円」という感じで、メーカーによって料金が決められています。
そして2点目になると、基本作業料が半額になるという感じです。
例えば水通路部を3点交換するとなれば、8000円+4000円+4000円=16000円となります。そして修理作業量には基本上限が設けられており、原則としては20000円を超えることはありません。
追加費用
ここが少し厄介なのですが、例えば「設置状況があまりにも悪くて、修理に取り掛かるまでに時間が掛かる」とか「設置されている機械を取り外して外に引っ張り出して修理する必要がある」等の場合、作業料の上限でやれと言われると割に合わないという場合があります。
このように機械内部の直接的な修理費用以外の部分で費用が発生する場合は、各修理スタッフの裁量で請求金額を上げても良いということになっています。
ここについては修理する側も「いたずらに金額を上げてやろう」という感じでは請求額を上げたりしませんし、むしろ「できるだけ発生しない方が望ましい」という気持ちが強いので、ここを下げてもらうために価格交渉をするというのは難しいでしょう。
設置状況が悪いせいでお金が掛かるという場合、それを正直に言ってしまうと「お客さんが施工店に文句を言う→巡り巡って施工店からクレームがくる」ということもあるので、お茶を濁すようなカタチになるケースも少なくありません。
中間マージン(直接依頼じゃない場合)
給湯器が壊れてしまったという時に、お客さんが最初にどの業者に依頼したかによって中間マージンを取られてしまうことがあります。
給湯器は基本的にメーカーサービス(メーカーと直接契約をしている修理業者)しか修理できないので、ガス屋さんや設備屋さんに修理依頼の電話をしても、実際に修理に来てくれる人はメーカーサービスとなります。
この場合は「お客さん→業者A→メーカーサービス」というカタチになり、メーカーサービスが修理料金を請求する先は業者Aとなるパターンが非常に多いです。
もちろん「修理料金はお客さんと直接やり取りしてくれ」というパターンもありますし、私たちが請求した本来の金額を業者Aがそのままお客さんに請求するというケースもあるのですが、ほとんどのケースでは修理料金の10%~20%くらいを上乗せされていることが多いと言えるでしょう。
関連記事修理業者が必ずしも修理料金を決めているわけではないという実態
給湯器の修理費用を安くする方法(安く出来るかもしれない方法)
「あまりにも早い段階で故障してしまった(使用から3年以内、前回修理から2ヶ月以内など)」というケースであれば、修理費用を安くすることが出来るかもしれません。
この場合は、給湯器を取り付けてくれた業者やお家を建ててくれたハウスメーカーを通して修理依頼をし、納得できない旨をそれらの中間業者にぶつけることで「中間業者がメーカーに直接文句を言ってくれる可能性」が出てきます。
私たち修理業者は、自分たちの権限で値引きすることはできません。
しかし、立場的には修理業者の上にいるメーカーの営業担当などが「修理費用はお客さんじゃなくてこっちに請求してくれ」という指示を出してくることがあるので、そうなればお客さんには請求があがらないことも。
なんでもない修理で、このような中間業者を介してしまうと中間マージンを取られてしまう可能性がありますが、クレーム事案に繋げる場合は「お客さんvs修理業者」では話が発展しにくいことが多いので、こういう場合はハウスメーカーなどの力を持っている業者に頼るのが得策です。
関連記事プロが教える「給湯器の修理依頼はどこにするのがいいのか?」について【完全保存版】
まとめ
給湯器の修理料金は「部品+出張料+作業料+その他費用+中間マージン」から構成されている
基本的に修理するスタッフ本人には値引きの権限が与えられていない
クレームを言いたいような事例の場合は、あえて力のある業者を味方につけると吉
この世界にいると痛感するのですが、大人しく請求金額を払ってくれるお客さんが損をしているというイメージです。騒げば騒ぐほど「厄介だから値引きしよう」という風潮が強いと言っても過言ではありません。
しかしこの場合は、お客さんと修理スタッフでやり合うよりも、修理スタッフの上のメーカー営業担当者をいかに引っ張り出すかの方が重要です。
私たちも営業に「お客さんが納得してくれないんですけど、何とかなりませんか?」と言ったりもしますが、基本的には「納得させるのがお前たちの仕事だろ」と言われて終わりなので。
これがハウスメーカーから言われたとなると請求先がコロッと変わったりすることも珍しくないので、どうしても納得できないようなカタチであれば、そっち方面から攻めてみてはいかがでしょうか。