石油給湯器のE110(又はE11)で考えられる故障と対策|修理のプロが徹底解説

修理のプロが徹底解説 石油給湯器のE-110で考えられる故障と対策

給湯器が故障した場合、あるいは不具合が出た場合のほとんどはリモコンにエラー番号が表示されます。エラーの出るタイミングは実に様々で、電源を入れて出る場合もあればお湯を使おうとしたタイミングで出る場合など様々です。

また、エラーが出ても電源を入り切りすることによって使えるようになるケースなどもあるため、人によっては騙し騙し使ってしまうということもあります。それでも、見知らぬ数字が出て不安にならないという人はいないでしょう。

というわけで今回は石油給湯器におけるE110(またはE11)が表示されたときに起こっている点火不良について、不具合の内容と考えられるポイントについて書いていきたいと思います。

私がこれまでに見てきた石油給湯器における点火不具合のエラーは110か11の2パターンしかありませんが、メーカーによっては別の番号の場合も考えられますので、本記事の内容を参考にしていただける場合は必ず取扱説明書にて「E110(又はE11)が点火不具合のエラー」であることを確認してください。

目次

石油給湯器の点火不具合(E110、E11)とは

点火不具合とは「何らかの原因によって、最初の点火ができない不具合」です。エラーのタイミングは機械や症状によって変わりますが、「電源を入れてからちょっとしたらリモコンが点滅していた」とか「お湯を使おうとしてもお湯にならず、気が付いたらリモコンに表示が出ていた」などが多く見られます。

このエラーは給湯器が故障したことが原因であるとは限りません。もちろん給湯器内の部品が故障した時に出るエラーではあるのですが、その一部で「なんだ、そんな簡単なことか」という修理不要で直るパターンもあるんです。

私の経験上、最も多い不具合はバーナ不具合や基盤の不具合ですが、それに次いで「燃料切れ」や「灯油の汚れによる電磁ポンプ、バーナの不具合」などが挙げられます。以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。

バーナや基盤など機器の不具合の場合

これはお客さん自身でどうしようもない内容なので、専門の修理業者を呼んで部品交換や本体交換をする必要があります。給湯器を使用してから5年を超えていたら、このケースもそこまで珍しくはないです。ただし取り付け後、間もない場合のE-110(又はE-11)は施工上や使用上の問題があるかもしれません。

それが灯油汚れによる不具合(後述しています)だとしたら、タンクのメンテナンス+給湯器の部品交換をしなければ、エラーの本質は改善されませんので注意が必要です。

燃料切れ、灯油切れによるE110

石油給湯器をお使いのお家には、ほぼオイルタンクも設置されていると思います。容量は様々ですが、多くのお家で200L~400L程度の大容量のタンクを使用しているのではないでしょうか。

上記画像の赤丸部分でタンクの中のオイル量を知ることができるのですが、そこを確認せずにE110で修理業者を呼び、実は燃料がなかっただけというケースが多いです。石油暖房も使っているのであれば暖房も付かないのですぐに気付くかもしれませんが、夏場は気付きにくいので注意が必要です。

それから上記画像の赤丸部分がタンク内部で固まっていたりして、タンクは空っぽなのに外から見ると満タンに見えるというケースもたまに見られます。

なので、もし不安であれば脚立などを使ってタンクの中を覗き込んで灯油の有無を確認するといいです(タンク内は暗いので、灯油残量が少ない場合はライトが無いと見えません)。

そして燃料切れだということに気付いてから急いで灯油を補給しても、燃料切れを起こした際は配管内に空気がたまってしまい、それが原因で点火不具合を起こすことが考えられます。

試運転を伴う給湯器の修理依頼をした場合はエア抜き作業もしてくれますが、灯油の配達依頼だけではエア抜きは恐らくしてもらえないため注意が必要です。

空気抜きの方法

ちなみに給湯器のオイル通路部のエア抜き方法は上記を参考にしてください。ただしオイルストレーナーは給湯器内部に設けられている機種もあり、その場合は「万が一灯油をこぼしてしまうとオイルセンサーが作動してしまう」恐れがあります。

屋外設置の給湯器かつ給湯器の外にオイルストレーナーがある場合は問題ないのですが、難しそうな場合はメーカーサービスを手配してやってもらうのが無難です(エア抜き方法は給湯器の取扱説明書にも掲載されています)。

灯油の汚れによるE110

オイルタンク(ホームタンク)は、たまにガレージにあるお家も見ますが基本的には外に野ざらしになっている場合が多いでしょう。10年も使用しているのであれば錆びてボロボロになっているかもしれません。このときオイルタンクの内部でも腐食が進んでいる可能性が考えられます。

オイルタンクは常に満タンにしておくということが難しく、スペースができると結露して水が溜まることが考えられるので、その量が多いと腐食に繋がったり、あるいは給湯器を始めとする燃焼機器に水が送られてしまう可能性もあるわけです。

灯油でしか動かない給湯器に水を送ってしまったら、その給湯器は故障してしまいます。

タンクの下部にはストレーナが付いていることが多く、そこである程度の汚れは判別可能です。水が混ざっている場合はフィルターが明らかに変色してボロボロになっていることが多いので、この場合は給湯器本体だけでなくオイルタンクのメンテナンスも必要となります。

オイルタンクの水抜き(石油給湯機)

DIY好きの方であれば、ある程度の水抜き程度ならご自身で可能だと思います。腐食が激しい場合は、破損して取り返しのつかないことになってしまうので、あくまで自己責任で作業してください。

個人的には水抜きをしたところで中の腐食が進んでいれば、それが原因の不具合が再発してしまう可能性もあるのでプロに点検してもらうのが賢明だと思います。依頼先は石油配達の業者でもいいですし、お家を建ててくれたところでも結構です。頼みやすい所にお願いしましょう。

使用年数の経過した石油給湯器で燃焼系エラーが出た場合

給湯器の機器寿命・耐用年数は7年~10年です。もし機器寿命に差し掛かっている石油給湯器がE110を出し、燃料切れ以外の原因だった場合は、修理ではなく本体交換を軸に検討した方がいいかもしれません。

それだけバーナーや電磁ポンプが関係する可能性が高い燃焼不具合は、給湯器にとって根深い問題であることが多く、修理費用が高いことが多いです。更には「ここを修理しても他の部分がすぐ壊れてしまうかもしれない」というリスクを避けられないでしょう。

セミ貯湯式の石油給湯器であれば、オイルを噴射するノズル部分を掃除するだけで改善するケースも少なくありませんが、これもすぐにまた同じ症状になってしまうことが予想されます。もし耐用年数に差し掛かった給湯器を修理する場合は「次ダメだったら本体交換しよう」くらいの気持ちで修理する覚悟を持ってください。

給湯器の寿命は10年ではなく7年~10年というのが修理のプロの見解です

まとめ

E110(又はE11)が出たら、燃料の有無を確認しよう
オイルタンクにも寿命があるので、定期的にメンテナンスをしよう

もちろん機械が原因でエラーを出してしまう場合も多いですが、それと同じくらい使用状況でエラーを出しているケースも多いのが、点火不具合のエラーです。

単純に燃料切れだとしたら、それを知るために修理業者を呼んで、出張料+点検料を払わなければいけないなんてバカバカしいですよね。点火不具合のエラーが出た際はまず燃料の有無を確認し、ついでにストレーナで汚れの有無も確認するのがベストです。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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