給湯器の寿命が30年のわけがない!意外と知られていない真実

給湯器の寿命が30年のわけがない! 意外と知られていない真実

私は給湯器を修理する仕事に就いています。「少しでも役立つ情報を…」と思い、このブログを立ち上げました。最近、当ブログに「給湯器 寿命 30年」という検索キーワードで訪問してきてくれる読者の方が多く、非常に驚いています。

というのも私は「給湯器の寿命は10年です」という記事を書いた後、読者の方から「給湯器の寿命って20年くらいじゃないんですか?」という声があったので、急いで「給湯器の寿命は20年じゃありません」という記事を書きました。そして少数派ではありますが、給湯器の機器寿命が30年だと思っている人もわずかながらにいるようです。

正直なところ「まさか給湯器の寿命が30年と言われるとは夢にも思わなかった」というのが本音なのですが、今回は給湯器の寿命が30年もあると思っている人に向けて、給湯器の機器寿命・耐用年数に関する事実をお伝えしたいと思います。

目次

もし給湯器の寿命が30年だとしたら…

もし給湯器の寿命が30年だとしたら… 身の回りに30年使ってる機械ってある?

30年使えたという機械は本当に一般家庭の給湯器?

私は給湯器を修理する仕事に就いて20年くらいになりますが、さすがに30年オーバーの給湯器は見たことがありません。日本中を探せば何台かはあるのかもしれませんが、恐らくそれは給湯器ではなくて「バランス釜、ふろ釜」と呼ばれる種類じゃないかと思います。

もし30年以上使えている給湯器が存在したとしても、それは「入居者が滅多に現れないようなアパートに設置されている給湯器」で、一般家庭と比較して使用されていないということは間違いないでしょう。

こたろー

別荘に取り付けられている給湯器なんかも長持ちしていそうな気がしますが、これは単純に使用時間が極端に少ない例と言えるでしょう。私が住んでいるアパートのガス給湯器も1995年製ですが、未入居期間が長かったりで使用20年オーバーとは言ってはいけないケースだと思います。

給湯器以外の電化製品の機器寿命について考えてみよう

今やお湯を使わない日ってほとんど無いんじゃないかと思うのですが、あなたがこれまでに触ってきた機械(毎日使うもの)で20年以上使用できたものってありますか?ドライヤーでもテレビでも、洗濯機でもガスコンロでも何でも結構です。

たまに一昔前のタイプのガスコンロが長持ちしたっていう例は聞きますが、これも給湯器と一緒で「一昔前のシンプルな機種は長持ちしていた」という例が当てはまります。それにガスコンロの使用時間と給湯器の使用時間を比べたら、まだガスコンロの方が現実的な気がしませんか?

洗濯機なんか給湯器が動く時間に比べたら、遥かに稼働時間は少ないんじゃないかと思います。それでも30年間も使えてるって人はいないですよね?エアコンなんかも機器寿命は10年と言われていますが、雪国に住んでいる人の場合だと冬はストーブを使用することが多く、エアコンは夏だけって人も少なくないと思います。それでも機器寿命は10年です。

正しい給湯器の機器寿命、耐用年数について

給湯器の機器寿命、耐用年数について 給湯器の寿命は7年~10年

給湯器の寿命は7年~10年

給湯器の寿命は7年~10年と案内しています。7年と10年では大きな差がありますが、そもそも給湯器の使用量自体が使用者によって大きく変わるので、一概に〇〇年と答えられるものではありません。それでも一つの指標として何年かを質問される機会は多いので、そういう時の為に用意した答えが「給湯器の寿命=7年~10年」という答えです。

これは「毎日1時間の使用で約10年使用できる」という給湯器の設計基準に基づいた説明なので、メーカーによって大きく変わるということも無ければ、言い方を変えると「1日2時間使用していれば5年で壊れてもおかしくない」という意味になります。

給湯器の寿命の計算方法について

ガス給湯・ふろ機器の設計標準使用期間 10年

これはリンナイの公式ホームページから引っ張ってきた資料ですが、給湯器は1年間ずっと春・秋という設定で毎日1時間の給湯を使用すると10年くらい使用できるように設計されています。もちろん寒い地域に住んでいる場合だと給水温度が15℃よりも低い時期が長くなると思うので、これだけで給湯器の寿命は短くなることが予想できると言えるでしょう。

一般的な家庭の浴槽は200リットル前後のお湯が入ることから、お風呂にお湯張りをするだけで1日の使用量の半分前後です。あとは家族4人がシャワーを使用して台所で少しお湯を使ったくらいで、もう1日の使用量は超えてしまうのではないでしょうか。

こたろー

私が修理で回っている感じでは、1日の平均使用時間が1時間を超えていることが多いです。少ない家庭もありますが、中には「うちは全然使っていない」という人でも実際には使っているというパターンもあります。

それでも聞こえてくる「長期間使えた」という自慢話

それでも聞こえてくる 「長期間使えた」という自慢話

15年以上使用できたという言葉のからくり

給湯器の一般的な寿命は7年~10年ですが、さすがに30年という話はあまりにもレアなので割愛するにしても、15年以上普通に使えたという話は割と聞こえてきます。この情報元は住宅管理会社などを中心にネット上で広まっていると思うのですが、アパートなどの集合住宅だと給湯機能のみのシンプルな給湯器が設置されていることが多いです。

一般的に機械は複雑であれば複雑であるほど壊れやすい傾向にあるので、ふろ機能や暖房機能が付いている給湯器よりも給湯機能のみの機械の方が長持ちします。なので一軒家に付いている給湯器よりも、アパートに付いている給湯器の方が長持ちする傾向にあると言えるでしょう。

それにアパートだと未入居期間というのも出てきますし、家族で住んでいるという人の数は少なくなります。どちらかというとアパートには一人暮らしや二人暮らしの人の方が圧倒的に多いので、そういう部分でも機器寿命に差が生まれていることを忘れないようにしてください。

こたろー

7年~10年で給湯器が壊れるというのは普通のことなので、こういう人があまり声を挙げないというのも大きいと思います。15年以上使えたと自慢げに言う人は「それがすごいことだと分かって言っている」というフシがあるので、いずれにしても無故障で15年以上使える給湯器というのはすごくレアケースです。

自慢はレアケースだからこそ成り立つ

そもそも15年以上使用できたことがレアケースだからこそ、大声で発信しているというケースが多いというのもあると思います。これが「使用開始から9年で交換」とかだったら、全然自慢にならないじゃないですか?

さすがに嘘を言ったり盛ったりっていう人ばかりではないにしても、機器寿命に対する解釈の仕方だったり、そもそも使用頻度が極端に少ない例だったり…。少なくとも「給湯器を15年以上使用できたのがレアケースだと自覚しているから発信している」というケースが少なくないのではないかと思います。

私が給湯器の寿命を説明する時に使う方法

私も各家庭を給湯器修理に回っていて、お客さんから給湯器の寿命について聞かれることがあります。その時に「7年~10年です」と答えると「そんなに短いの!?」と驚く人もいれば「嘘言うな!騙されないぞ!」という人もいます。

確かに私もお客さんから見れば「新しい給湯器を売りつけた業者の一人」に見えてしまうのかもしれません。そんな人を納得させるのに使っている、給湯器の寿命に関する説明方法を一つご紹介します。

これは「安心プランS」と呼ばれる、ノーリツ製給湯器の保険内容(保証延長)です。5年、7年、10年という3つの区分が設けられていますが、7年から10年になるところで保険料が大幅に引き上げられているのが分かりますか?これは「給湯器は使用開始から7年~10年の間にもっとも故障が多い」ということを意味しています。

もし仮に給湯器の寿命が20年も30年もあるのであれば、これを保証するという民間の保険屋が出てきてもおかしくないです。実際に車には走行距離に応じた保険なんかも出てますし…。なぜ10年を超える保証がないかというと「保険をやっても儲からない(壊れて当然)」と思っているからです。人間も100歳を超えて生命保険に入ることってできないのでは?(ちょっとこの辺は詳しくありませんが)

最後に

給湯器の寿命は7年~10年です。それに給湯器は例え使用していなかったとしても、設置している以上は水圧なども掛かっている状態なので、ほとんど使用しなかったとしても30年も使えないような気がします。

そして燃焼時間の他にも着火回数などによっても機器寿命は変わってきます。仮に「お湯を使っている時間は短い」と言っても、何度も点いたり消えたりしていればその分の負担があったりもするので注意してください。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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