給湯器のカタログを見ていると実に多くの種類の給湯器がありますが、何が何だか分からなくなってくることがあります。
…だって種類多すぎないですか?
いつもは新しいカタログがメーカーから送られてきてもパラパラめくるだけで、別にそこまで大きな興味を示したりはしないんですけど、ここ最近で結構驚いたのが「地下水や井戸水に対応している機種」が掲載されたことです。
そのときは少しだけテンションが上がりました。
というわけで今回は、ノーリツ製セミ貯湯タイプ給湯器の地下水・井戸水対応の機種についてご紹介します。
石油給湯器には直圧タイプと貯湯タイプがある
給湯器自体にも色々と種類があって、まず大きく分類できるのがガスなのか石油なのかという燃料の違いです。その次に、壁掛けなのか床置きなのかという設置場所の違いがあります。
これらはガス、石油共通ですが、石油給湯器の中の区分として「直圧タイプ/貯湯タイプ」という区分があり、簡単に言うと水圧の強さが違います。直圧が強くて、貯湯が弱いです。
貯湯は水圧が弱い代わりに「腐食に強い、機器寿命が長い」などのメリットも持っており、地下水ユーザーの多くは貯湯タイプを選択しています。
貯湯タイプは、文字通り「お湯を貯めておくタイプの機種」で、電気ケトルの大きいバージョンと思っていただいてOKです。給湯器の電源を入れている間は常にお湯を作っていて、温度が冷めたら勝手に燃焼します。
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ノーリツ製 セミ貯湯タイプ 3万キロ
前項では「貯湯タイプ=井戸水ユーザーに人気が高い」と説明しましたが、通常の貯湯タイプの給湯器は、井戸水に対して保証しているわけでもなければ、あくまで直圧式と比較すると相対的に故障しにくいという立ち位置でした。
そして今回ご紹介するのは、製品カタログでも「井戸水への使用について言及している給湯器」です。
通常、井戸水使用は機械に良くないので、いわば「いつ壊れてもおかしくない」という対応になることが多いですから、製品カタログ上で「井戸水使用OK!」という文言を掲載するというのは、私のようなメンテナンス側の人間からすると非常に衝撃的でした。
- OTX-305YS-SLP BL
- OTX-306YS-SLP BL
- OTX-315 F-SLP BL
- OTX-305FF-SLP BL
一応、今回掲載されていたのは上記のラインナップです。
すべて3万キロで、屋外タイプの煙突あり/なしと屋内タイプのFE/FFです。金額も通常のものと比べてそこまで高いというわけではありません。
型番には恐らくステンレスパイプの意味を持つであろう「SLP」というアルファベットが記載されていて、外装以外がオールステンレス品だそうです(屋外タイプは外装もステンレスですが)。
ちなみに通常の貯湯式給湯器は、給湯器通路部はステンレスであるのに対し、ふろ水通路部は銅であることが多く、上記のラインナップでは「ふろ水通路部もステンレス製なので、腐食に強い」というアピールをしている製品となっています。
ちなみに取り付けの際には減圧弁・安全弁を取り付けなくてはならないため、カタログの金額より5000円ほど高いものが本体定価だと思っていた方がいいでしょう。
そこに取付料、部材費が更に乗っかります(もちろん本体価格からの値引きもあるので、詳細は取付業者にお問い合わせください)。
保証について
気付いた人は気付いたかもしれませんが、前項で紹介した4つの給湯器はすべてBL品でした。BL品というのは保証期間が2年となっているものを指しています。
給湯器には保証期間が1年のものと2年のものがあるわけですが、まさか地下水対応の給湯器がBL品になるなんて未だに信じられません。
というのも、地下水の場合は本当に不具合が多いので、仮に1年で漏水してきたとしても毅然とした態度で「地下水ですから仕方ないですね」と言えるような内容なんです。
普通であれば通常よりも早く壊れてしまったユーザーの気持ちを考えて、ちょっとは申し訳なさそうに対応するとかするんですけど、そういうことをしなくていいくらい地下水や井戸水というのは致命的なものなんです。「それが2年も保証されるなんて!」と思っていたら…。
井戸水、地下水を給水したことにより発生した析出物(炭酸カルシウムなど)に起因する不具合は、保証期間内でも有料修理となります。
要約すると「地下水に強いタイプの給湯器ではあるけど、全部が全部保証されてるわけじゃないから」という感じですね。ここはちょっと「うーん」と言わざるを得ません。
でも確かに銅に比べたらステンは遥かに腐食に強いので、従来型よりは安心できるのではないかと思います。
どういうユーザーにオススメしたいか
地下水、井戸水使用
今使っているタイプの給湯器がセミ貯湯式の3万キロ
給湯器の風呂回路で修理した経験があるという方
やはり地下水使用で、これまでも通常のセミ貯湯式を使っていたというユーザーの中で、風呂回路の水漏れの修理をしたことがあるという現場では試してみる価値があるのではないかと思います。
勘違いしてはいけないのが、地下水や井戸水に対して強くなったというわけではなく、ふろ配管もステンレス化されたというだけなので、これまでも給水配管のパッキンがやられてよく水漏れしてたというような場合だと、そこまで高い効果は期待できないという部分です。
ただ個人的には、地下水を使用している場合は給水だけでなくお風呂の水も地下水なわけですから、こちらに切り替えていった方がいいのかなぁと思います。料金的にもそんなに変わりませんし…。
でも「今はお湯張り機能が重宝している!」「今は4万キロの給湯器を使っている!」という場合はオススメできないかも…。
とりあえずこれまでに「お風呂回路からの水漏れで複数回修理したことがある」とか「お風呂回路からの水漏れで、購入してから5年以内に修理したことがある」などの場合は、大いに検討する価値があるのではないかと思いますよ。
まとめ
過度な期待は禁物だが、地下水ユーザーにはオススメ
保証内容については購入前に確認することを推奨する
個人的には追い炊きが地下水対応していない従来タイプと比較してもそこまで料金が高いわけでもないですし、地下水ユーザーならこっちを選んだ方が間違いないのかなと思います。
やはりネックになるのは「3万キロの標準タイプしかない」という部分で、お湯張り機能になれているユーザーにはオススメできませんね。
まぁお湯張り機能がちゃんと機能するような地下水であれば、そこまで機械に悪い水質ということもないんじゃないかとも思えますが。
いずれにしても従来型に比べて耐久力が増したのは、あくまで風呂回路のみなので注意してください。
そして購入する場合は、何が保証されて何が保証されないのかをしっかりと確認することをオススメします(意外とややこしいです)。
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