給湯器には、床置きタイプと壁掛けタイプの2種類だけでなく、屋外タイプと屋内タイプという2種類にも大きく分けることができます。
そして、屋外の床置きタイプに大きく見られる兆候なのですが、なぜか「給湯器を囲って守りたがるお客さんが多い」んですよね。
おそらく「雨風が当たって野ざらしになってしまうことで、機器が壊れやすくなってしまうのでは?」という考えからきてると思うのですが、これらの多くは杞憂であることが多いです。
そして、逆に「囲ってしまうことで給湯器にダメージを与えてしまう可能性がある」ということを頭に入れておかねばなりません。
そこで今回は、外置きの給湯器を囲うことは決しておすすめできる行為ではないということを書いていきたいと思います。
給湯器の屋外タイプと屋内タイプは構造が違う
給湯器のカタログを見ていると、どれが屋内タイプでどれが屋外タイプなのかわかりにくいかと思いますが、外置きと中置きでは根本的な構造が違います。
外置きの給湯器は、例え横殴りの激しい雨が当たったからといって、内部に雨水が侵入するような作りにはなっていません(もちろん絶対ではありませんが)。
懸念事項としては、塩害や落雪による外部変形などが挙げられますが、そのような場合はよほどの理由がない限りは屋内タイプをオススメしますし、どうしても外置きにこだわるのであれば囲う以外の方法を選択するのがいいでしょう。
囲いを取り付けることが多い3つのケース
落雪などの被害が心配される場合
雪国などに多いのがこのパターンです。
急斜面になっている屋根の下に給湯器が設置されており、屋根にできた氷柱や雪の塊が落ちてきてぶつかってしまうことを先回りで対策しておこうというパターンですね。
個人的には「落雪の無い位置に給湯器を設置することはできなかったんだろうか?」と思ったりもしますが、スペース的な問題もあるでしょうから、このパターンについては理解することができます。
ただし「囲いに当たった落雪が囲いの吸気口を塞ぎ、給湯器が酸欠になる」というケースが少なくないので注意が必要です。
取り付けた人間がよく分かっていない
意外と多いのがこのパターンで、取付する設備屋が「とりあえず囲っておけ」というパターンです。
レベルの低い設備屋であればあるほど、間違った囲い方をして給湯器の施工置不良を招いていることがあります。
施工不良は多くの場合で施工業者の責任になるため、発生した修理費用などはユーザーではなく施工業者に請求があがることが多いですが、もし施工不良が原因で故障になってしまった場合は、給湯器を取り付けて間もない保証期間内であっても有償修理です。
給湯器を交換する場合は、工事の不手際によって発生した故障も保証してくれる「工事保証」付きの業者にお願いすると、事前にこのようなトラブルを防ぐことができます。
お客さんが不安がることを見越して先回りする場合
もしお客さんが「囲わなくて大丈夫なの?」という不安を抱きそうな人の場合、囲うことでお客さんの安心感が得られるのであれば先回りで囲うことがあります。
ちゃんと分かっている業者であれば、囲うにしても影響のないような囲い方をしてくれるので、この場合は「囲うことがプラスにもマイナスにもなっていない」という状況と言えるでしょう。
こういう意図で囲ってくれている業者は「お客さんの気持ちを汲み取れる優秀な設備屋」であることが多く、囲う必要のない給湯器を囲っているからと言って何も知らない業者であるとは限りませんので、ご注意ください。
囲うことがなぜ問題なのか
囲うこと自体が問題なのではなく、多くの場合は「必要な広さの開口部が確保できていない」ということが問題になります。
もし私たちの呼吸が排ガスだと仮定して、ビニール袋の中だけで呼吸を行うことを想像してみてください。自分で吐き出した排ガスをそのまま吸うことになりますよね?
給湯器を囲うということは、本来燃焼に必要な綺麗な空気だけでなく、燃焼後の排ガスを吸ってしまうリスクが出てきます。
息をする窓が小さければ、排ガスが跳ね返って出ていけないことも考えられるので、息をするための窓は大きくしなくてはなりません。
排ガスを吸って燃焼してしまうと、酸欠になって不完全燃焼へと繋がってしまうでしょう。「だったら最初から囲わない方がいいのでは?」というのが私の意見です。
どうしても囲いたい場合
http://hne164.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-e779.html
ある時、DIYが好きな方がやっているブログで上記のような画像が使用されていたので、ご紹介したいと思います。
囲う場合に大きく問題になるのは「排気が囲いの中にこもってしまうことで、排気をそのまま給湯器が吸ってしまい、不完全燃焼に陥る可能性がある」という点です。
上記の画像では、開口部がしっかり確保されているので酸欠になる恐れはありません。これくらい大きな開口部を設けるのであれば、囲っても特に問題はないでしょう。
まとめ
基本的には給湯器に囲いは不要
どうしても囲いを設置する場合は、これでもかというくらい大きな開口部を作ること
何度も言うように、屋外タイプの給湯器に囲いは不要です。
どうしても囲いたいのであれば、十分に開口部を設けた囲いを付けるようにしましょう。
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