普段から給湯器の修理をしていると「給湯器の音が高くなった」とか「給湯器の燃焼音が気になるようになった」という修理依頼や相談を受けることがあります。その中でも「ブーン」とか「ブオーン」などの擬音語で例えられるような異音(何かが回転しているような異音)の場合、そのような音を発生する部品は限られてきます。
最近の給湯器は非常に燃焼音が静かなので、お客さん自身が「以前よりもうるさくなった気がする」と感じた場合は給湯器の故障の前兆であることも少なくありません。
今回は給湯器から聞こえる「ブーン」とか「ブオーン」という異音に注目して、その原因と対処法について紹介したいと思います。
給湯器が異音を出す部品
バーナー:燃焼音
熱交換器:釜鳴り
電磁ポンプ:干渉音
ファンモーター:回転音、重低音
リレー:スイッチ音、カチカチ音
循環ポンプ:回転音、重低音
音を出す部品として考えられやすいのは上記の6点です。そして今回のテーマであるブーンという音は回転音と予想されるので、ファンモーターか循環ポンプである可能性が高いです。
石油給湯器の場合は電磁ポンプということも考えられますが、音が鳴っているときに給湯器の本体外側を手で触ってみて、音が落ち着くようであれば電磁ポンプの可能性もあります。
ただし、この場合はどちらかと言うとバチバチ音(固い何かがぶつかるような音)だと思うので、ブーンという回転音は十中八九ファンモーターか循環ポンプという見解で問題ないでしょう。
何をした時にブーンという異音が発生するか
音の種類もそうなのですが、実はそれと同じくらい「何をしたときにその音が鳴るか」というのが重要です。ふろ循環ポンプの音が気になる場合というのは「湯張りをしているとき」や「追い炊きをしているとき」など、お風呂に関係する作業をしている場合だけという特徴があります。
まれに通電するだけで音が鳴るケースや、暖房機能が付いている給湯器の場合は暖房を使用している時に音が鳴ることも考えられます。
一方でファンモーターの場合は火が着くときは例外なく動作するので、お湯の蛇口を開いただけでも音が鳴る場合がほとんどです。給湯器の動作としては蛇口を開けると水流を検知し、そこで初めて燃焼動作に入ります。
火がつく前に前回動作した時のガスが残っていると上手くないので、まずはファンモーターが動き、もし残っているガスがあったら排出してから点火するという流れです。そのため一瞬だけ蛇口を開けてその直後に音がうるさくなるようなら、間違いなくファンモーターだと考えていいでしょう。
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給湯器の操作リモコンにエラー表示は出ていないか
全部が全部ではありませんが、ファンモーターが悪い場合の多くはエラー番号を伴います。
もしエラーが出ているのであれば、ファンモーターが悪いせいで音がうるさいのか、それともファンモーターが悪いことの他に燃焼状態まで悪化しているのかどうかなど、修理をする人間がヒントを得られるようになります。
もしエラーが出ているという場合は、修理依頼をする際に業者にしっかりとエラー番号を告げることで、即日修理完了する可能性が高められるのでぜひチェックしてみてください。
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ブーンという異音の原因として考えられるもの
ファンモーターの詰まり
意外と多いのがファンモーター詰まりです。それも夏場、アパートやマンションの2F~5Fくらいにお住いの場合で特に多いのがファンモータに虫が詰まっているケースです。
ファンモーターは燃焼に必要な酸素を送り、排ガスを外に排出するためのプロペラのような部品なのですが、一見するとカタツムリのような形(ハムスターがカラカラ回転するようなやつみたいな形)をしています。
中はフィンと呼ばれる細かい板がたくさん付いている構造になっており、それが高速回転することで送風しているのですが、これが詰まってしまうと燃焼に必要な空気が供給できずに、燃焼音がうるさくなっているケースが少なくありません。
虫の侵入だと仮定すると、セミなどの大きさがある虫ならファンモーターの中であちこちに動いて音を発生させているケースも考えられます。数ミリサイズの虫が大量に詰まっている場合は、唸るようなブーンという音が発生します。
ひどいケースだと排気筒の隙間から小鳥やコウモリが入ってくることもあり、その時の音は「爆発するんじゃないか?」と感じるほど大きい音がすることも少なくありません(ちなみにこれが原因で爆発することはないです)。その場合の多くは給湯器の排気等が破損している可能性もあるので、場合によっては排気筒の交換作業などが必要になるかもしれません。
ふろ循環ポンプ詰まり
ふろ循環ポンプが詰まっている場合も回転音や重低音が響くことがありますが、これはファンモーターに比べると低く唸るような音であることが多いです。
爆発するんじゃないかと感じるような音が発生することはほとんどありませんし、ブーンという音よりはキュルキュル音などの方が多い傾向にあります。
多くの場合は追い炊きや風呂自動など、お風呂関連の動作をしたときのみ音が発生する場合が多いので、この場合に通常の給湯を使用する場合はブーンという異音は発生しないはずです。
異音は給湯器が故障する前兆に多い
基本的に給湯器から発せられる異音は、給湯器が故障する前兆に多いです。この段階で修理すれば部品交換をしなくても、簡単な調整で直せることがあります。
よく「ブーンという音が怖くて使えない」というお客さんがいますが、確かに調整で済むかもしれない部品が完全に壊れてしまう可能性を考えたら、異音が出ている状況で給湯器を使わないに越したことはありません。
しかしこの音が原因で給湯器が爆発したり、火を噴いたりするなどの危険な事故に繋がることはまずないので安心してください。今の給湯器には過剰なくらいの安全装置が取り付けられていて、危険な状態の3歩前には完全に動作しないように設計されています。
まとめ
使わないに越したことはないが、お湯が出るうちは使用しても危険ということはない
修理費用がかさんでしまう可能性が考えられるので、無理に使用することはおすすめしません。どうしても使わなきゃいけないという場合に、もし使ったとしてもそれが原因で火事になったり危険な目に遭ったりということは考えにくいので安心してください。
できるだけ早くプロに点検してもらうのが理想です。気のせいかもしれないという微妙な場合は様子を見ながら使用するのも1つの判断ですが、大きな違和感を感じた際は直ちにメーカーに修理依頼することをおすすめします。
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