エラーがないのに給湯器のお湯がぬるい|考えられる原因と対策

エラーがないのに給湯器のお湯がぬるい|考えられる原因と対策

給湯器の修理で最も多い不具合が「給湯器のお湯がぬるい」とか「設定温度よりもお湯がぬるい」というものです。夏場はそんなに気にならなくても、冬場のシャワーなんかだと「44℃設定にしているのに40℃以下のお湯しか出てこない」なんてことになればかなり不便ですよね。

もちろんお湯がぬるいという表現の中には、台所のお湯がぬるいとかシャワーがぬるいというだけでなく、お風呂の追い炊きがぬるいなどの内容もあるかと思うのですが、本記事では給湯機能に注目して「給湯器からぬるいお湯しか出ないときに考えられる原因と対策」について解説していきます。

【お風呂の追い炊き温度についてはこちら】
お風呂のお湯が設定温度通りに沸かない、ぬるい場合のチェック項目

目次

給湯器でお湯が作られる仕組み

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給湯器の電源を入れる

給湯器の電源を入れていないと何も始まりません。

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水量センサが作動

お湯側の蛇口を開けて水流が生まれると、それを給湯器が検知して燃焼動作に入ります。制御しているのは水量センサと呼ばれるプロペラのような部品で、これが水流によって回転すると燃焼動作に入ります。

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バーナーによって熱湯が作られる

実は給湯器内で作られているお湯は熱湯です。

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水メカでリモコン設定温度になるように温度調整

バーナーで作られた熱湯は、温度調整を担当している水メカによってリモコン設定温度になるように調節されます。温度調整しているのは水量サーボ、バイパス水量サーボと呼ばれている部品です。

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蛇口から設定温度のお湯が出る

配管の距離によって±1℃程度の誤差はありますが、ほぼ設定温度のお湯が出るようになります。

上記は一般的な給湯器で、お湯が作られる流れを簡単に解説したものです。よくお客さんから「お湯がぬるいのは燃焼能力が低いからで、バーナーの故障だから高額修理になるんじゃないの?」と聞かれることがありますが、一概にそういうわけではありません。

もちろんバーナーの燃焼能力が低いせいで設定温度のお湯が作れていない可能性もありますが、基本的に給湯器は設定温度以上のお湯を作り、それに水を混ぜて設定温度にしています。なのでバーナーの火力が弱いというよりは、温度調整している水メカが過剰に水を混ぜているせいで温度が低くなってしまっているというケースが多いです。

また、実はこの手の不具合では故障でも何でもないケースも存在するので、以下ではそのあたりを掘り下げて詳しく解説していきます。

お湯がぬるい場合に真っ先に確認したいこと

すべての蛇口で同じ症状なのかどうか

給湯器に異常があってお湯がぬるいという症状が出ている場合、どの蛇口で試しても同じ症状になります。「シャワーはぬるいんだけど台所は大丈夫」という場合は、給湯器よりもシャワー水栓を怪しんだ方がいいかもしれません。

他にも「シャワーは完全にぬるくて、台所もまぁぬるいけどシャワーよりはマシ」というように、各蛇口で症状にムラがあるよいう場合も、給湯器以外に原因があることが多いです。まずは全ての蛇口で同じ症状なのかを確認しましょう。

こたろー

シャワーは全身で浴びることが多く1℃の差でも気付きやすいので、この辺りは注意深く観察してみてください。

特定の蛇口がおかしい場合にサーモスタットを最高温度にしてみる

シャワー水栓

例えば上記のシャワー水栓には、左手側に温度調整できるバルブ(サーモスタット)が付いています。これは熱いお湯に水を混ぜて調整するというタイプの物ですが、40℃と表記されていてもその温度調整はかなりアバウトです。

そして経年劣化で故障しやすい部分でもあり、ここが壊れてしまうと「給湯器のお湯に水を混ぜすぎてしまう」ということが起こります。そこでこのサーモスタットを限界まで熱いお湯が出る状態にし、給湯器の温度設定を40℃ちょっとくらいにして試してみてください。

もしこれで設定温度通りのお湯が出湯されるようであれば、シャワー水栓のサーモスタットの不具合です。最も多いのはシャワーですが、各蛇口にサーモスタットが搭載されているなら試してみる価値はあります。

サーモスタットが悪い場合は、給湯器メーカーよりも水栓メーカーや水道屋さんに依頼するのがおすすめです。

お湯がぬるい場合に考えられる原因

  • ミキシング(温度調整している水メカ)の故障
  • バーナーなどの燃焼能力低下
  • 洗濯用水栓からの水逆流
  • 洗濯用水栓以外の水栓からの水逆流

ミキシング(温度調整している水メカ)の故障

上にも書いたように給湯器では設定温度以上のお湯を作り、それに水を混ぜて設定温度にしています。給湯器の機種にもよりますが、給湯器内では大体70℃前後のお湯を作っており、それに対して設定温度になるように水を混ぜていることが多いです。

この部品が壊れることで水が全く混ぜられなくなったり、あるいは水を混ぜすぎたりという不具合が発生することがあります。なので同じ部品が壊れていても「設定温度以上にぬるい」という不具合で悩む人がいる一方で「設定温度以上に熱い」という不具合で悩む人もいます。

こたろー

この手の故障はエラーが出ないことも多く、エラーを出すとすればE651やE661などが考えられます。

バーナーなどの燃焼能力低下

熱交換器などが詰まっていて熱効率が著しく低下している場合や、バーナーそのものの燃焼能力が低下していることによってお湯が作れなくなっているケースもあります。この場合は高額修理になってしまう可能性が非常に高いので、使用年数によっては買い替えを検討した方がいいかもしれません。

ただし燃焼部に不具合が出ている場合は何かしらのエラーを出すケースが多いので、エラーが出ていない以上はこの可能性は低いと言えるでしょう(可能性はゼロではありませんが)。場合によっては不完全燃焼を起こしていたりするので、給湯器の排気筒や排気口に異常がないか、給湯器本体から水漏れしていないかを確認してください。

洗濯用水栓からの水逆流

意外と多いのが洗濯水栓からの水逆流というパターンです。洗濯用水栓はほとんどのご家庭で開けっ放し(洗濯機のON/OFFで制御)にしていると思うので意外と盲点になっています。

というのも、洗濯をする際に「ただの水よりもぬるま湯の方が汚れが落ちやすい」という豆知識があるようで、水ではなく少しお湯を混ぜて洗濯しているというご家庭も少なくないと聞きました。これが原因でお湯配管に水が流れ込み、シャワーや蛇口の温度がぬるくなっていることがあります。

詳しい説明については割愛しますが、この手の内容は本当に多いので、もし「給湯器から出るお湯の温度が低くて困っている」という方がいましたら、洗濯機の蛇口を一旦閉じてみてください。これだけで給湯器のお湯がぬるい症状が改善する場合もあります。

洗濯水栓以外の水栓からの水逆流

前項では「洗濯用水栓は開けっ放しで使用しているから水が逆流する可能性がある」と説明しましたが、実はそれ以外の普段は閉じている水栓からも水が逆流するというパターンが存在します。

通常、水栓には逆止弁と呼ばれる逆流を防ぐための弁が付いているのですが、経年劣化などによってこの部分が破損していたりすると、そこから水がお湯配管へと逆流し、お湯をぬるくしてしまうという症状に繋がることも少なくありません。

ちなみに、洗濯用水栓でも台所の水栓でもお風呂場のシャワー水栓でもすべて共通で、水栓からの水逆流が原因でお湯がぬるくなっている場合は、症状にも差が出ることが多いです。例えば「台所のお湯はまだマシなんだけど、お風呂場が極端にぬるい」とか、そういう状況になることもあります。

そういう場合は給湯器以外の不具合というカタチになるので、給湯器のメーカーサービスでは対応できない場合もあります。理想は水栓のメーカーを手配することですが、原因が分からない場合は幅広く水道関連に知見のある水道屋さんの方がいいかもしれません。

エラーがないのに給湯器のお湯がぬるい まとめ

  • 各蛇口で同じ症状なのか、ムラがないのかを調べることが大事
  • とりあえず洗濯用水栓を閉じて試してみよう
  • 他の水栓を止水してどうなるかを試してみよう

とりあえず修理業者を呼ぶ前に、まずは洗濯用水栓のチェックですね。あとは他の水栓の水側を全部シャットアウトしてみるのも面白いですが、これだけを聞いて「どういうこと?」という人は、むやみにいじらない方がいいかもしれません。

いずれにしても給湯器でお湯がぬるいという場合は、エラーが出ていなかったとしても何かしらの不具合が出ている可能性があります。とは言え、どちらかと言えば給湯器外に原因があることが多いので、とりあえず各蛇口で同じ症状なのかどうかを確認し、同じなら給湯器メーカー、違うなら水道業者を手配するのがおすすめです。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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