業務用の給湯器、業務用のボイラーだからって長く使えるというわけではない

 

飲食店を経営している方や美容室を経営しているという方の中には、業務用の給湯器を使用しているという人もいるでしょう。

お店の規模によっては複数台を連結動作させていて、万が一どれか1台が故障してしまっても他の給湯器がカバーして動けるようなシステムを組んでいるという人も少なくありません。

 

自分のお住まいと一緒になっている建物で小規模のお店を営んでいるという方の場合は、もしかすると業務用の給湯器ではなくて家庭用のものを兼用で使用しているという人がいるかもしれませんね。

今回は「業務用の給湯器・ボイラーだからって長く使えるというわけではない」というテーマで話を進めたいと思います。

目次

業務用と家庭用の給湯器で何が違うのか

 

まずは業務用ボイラーと家庭用ボイラーで何が違うのかについて説明します。

細かい部分を見ていけば色々と出てきますが、業務用の給湯器と家庭用の給湯器で大きく異なるのは2点だけです。

 

1つは業務用の給湯器の方が燃焼能力が高いこと。

給湯器の出湯能力は号数で表されることが多いのですが、一般家庭用は16号~24号であるのに対し、業務用は50号なども存在します。しかも部屋数の多いホテルで使用されているケースなど、規模によってはこれが複数取り付けられています。

 

2つ目は、想定されている使用形態が異なります。一般の家庭用は1日1時間の使用で耐用年数が算出されているのに対し、業務用のボイラーは1日8時間の使用で耐用年数が算出されています。

ちなみに一般家庭用の24号と業務用の20号なら前者の方が能力は高いですし、業務用になったからと言って金額が馬鹿みたいに高くなるということもありません。

 

業務用に家庭用ボイラーを使っている所は少なくない

 

私はこれまでに通常のご家庭以外にもホテルや飲食店、パチンコ店や美容室などなど、色んな現場を見てきましたが、大容量の建物を除き、割と小さい規模の建物であれば業務用ボイラーではなく、家庭用ボイラーを業務用として使用している現場を数多く見てきました。

 

例えば個人で運営している定食屋さんなんかであれば、別に業務用の給湯器じゃなくても機能としては全然間に合うわけです。美容室だって美容師さんが2人とかでシャワー台も2台とかなら、何も業務用を取り付ける必要はないでしょう。

1番多いパターンは、1階でお店をやっていて2階に住んでいるお家があるという場合ですね。お家の給湯器からお湯を引っ張ってきて、1階のお店でも家庭用給湯器のお湯を使用するというパターンです。

 

このような場合は、施工段階で施工業者が説明したうえでそうしたのかどうかは分かりませんが、使用そのものは問題なく使えることになります。

ただし幾つかの注意点があるので、ここに納得して使用することが大切です。

 

家庭用ボイラーを業務用として使用するリスク

 

個人でやっている床屋さんなんかだと、業務用ボイラーを使用しているところと家庭用ボイラーを使用しているところがあるわけですが、これを知ったら「業務用と家庭用、どっちでもいいのか?」って思うじゃないですか?

結論としてはどっちでもいいんですけど、家庭用ボイラーを業務用として使用するにはちょっとしたリスクがあります。それは、本来受けられる保証期間が無くなってしまうということです。

 

給湯器には1年ないし2年の保証期間が付いてきます。ただしこれは、正しい使用法に基いて使用した場合という但し書きがあるので、家庭用を業務用として使ってしまうとその範疇でなくなってしまうことを意味しています。

「本来の使い方じゃない=例え保証期間内でも例外的な故障」となってしまうので、本来なら任意で加入できる保証延長に入れないのは当然として、新品の機械なら無条件で受けられる1年ないし2年の保証もなくなってしまうという部分は注意が必要です。

 

業務用が長持ちする=間違い

 

ちなみに一般家庭に付いている給湯器の耐用年数は7年~10年くらいと説明しているわけですが、業務用ボイラーもそれくらい使えるのでしょうか。答えはNOです。

関連記事給湯器の寿命は10年ではなく、7年~10年というのが修理のプロの見解です

業務用ボイラーは1日8時間の使用を基準に設計されていますが、耐用年数は3年とされています。トータル稼働時間は家庭用より長いですが、多くの人は「そんなに早く壊れるの!?」と思うはず。

 

ぶっちゃけ金額が業務用の給湯器と家庭用の給湯器でそんなに変わらないので、もし業務用の機械が長持ちするんであれば、一般家庭にも家庭用じゃなくて業務用が付きますよね。

業務用が設置されるような現場では、1日に何時間も給湯器を稼働させるということが多いので、よほど使用量が低いというケースでもなければ5年以内に壊れてしまうケースが多いです。

 

本体価格は変わりませんが、定価からの値引き率は家庭用ボイラーの方が高いことが予想されるので、そういう意味では家庭用の方が安く購入できるかも。

 

まとめ

24号以上の能力が必要なら業務用一択

ふろ機能が欲しくて、業務に使うお湯もそんなに多くない場合は一般家庭用でもOK(保証はなくなります)

 

一般家庭用が24号までなので、それ以上の給湯能力が欲しい場合は業務用を選ぶことになります。

それから業務用は基本的に給湯専用となるので、お住まいで追い炊きなどのふろ機能を欲する場合は家庭用1台で賄うか、2台取り付けるかという選択になるでしょう。

 

いずれにしても、同じ給湯能力であればそんなに本体価格は変わりませんし、耐用年数についても業務用が優れているということもないので、施工業者に相談してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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