モラルとかそういうのを抜きにして「損はしたくない!」という気持ちの方が勝るのであれば、雷が原因で給湯器が壊れたかもしれないと思っても、それは認めない方がお得です。
雷が凄かった日の次の日、給湯器の電源が入らなくなってしまったとしましょう。修理に来た人は「もしかして雷の直後から給湯器の調子がおかしくありませんでしたか?」と聞いてくる可能性が高いですが、それは知らぬ存ぜぬで通した方が損をしないで済むかもしれないという話です。
本記事ではなぜ給湯器の故障・修理において落雷を認めない方がお得なのかについて詳しく解説していきます。
給湯器の不具合の内容は詳しく伝えるべき
始めに断っておきますが、基本的に修理依頼をする際にはどんな些細な情報でも伝えた方が有利です。
単に「お湯がぬるい」というよりも「120番のエラーが出て、お湯がぬるいことがある」と伝えた方が、これから訪問するサービスマンも事前準備ができ、考えられる部品を用意することで即日修理できる可能性が高くなります。
ただし使用上の不手際、あるいは災害については言わない方がいい場合もあるので注意が必要です(もちろん素直におっしゃっていただけるのであれば、それに越したことはないですが)。
「雷が原因かも」と言わない方がいい理由
給湯器の保証期間は1年(BL品は2年)
給湯器を購入して1年(BL品は2年)は保証期間があります。人によっては「1年しか保証ないの?」と思うかもしれませんが、基本的に給湯器は毎日使用する物なのでそんなに長くは保証されていません。
ちなみに1年以内に某部品が壊れた場合は、その部品のみの無償交換となる場合がほとんどですが「部品だけの交換じゃ納得できない」とか「機械ごと新しいのに変えろ」とゴネれば、渋々了承してもらえることもあります。これはケースバイケースです。
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部品ごとに保証がある場合も
前項では1年か2年の保証期間があると書きましたが、それは製品自体についてくる保証であって、実はそれぞれの部品ごとに更に保証期間が設けられています。例えば熱交換器からの水漏れは5年、基盤は5年などの特別ルールです(年数はメーカー、機種ごとに異なる可能性があります)。
なので「使用してから3年目で保証期間は過ぎてるけど、この部品は5年間保証されているので今回の修理でお金は掛かりません」という嬉しいパターンもあります。これは我々も修理しやすいですし、お客さんも喜んでくれるのでwin-winの良好な関係で修理が終えられることが多いです。
保証が適用されるのは機器の不具合が原因の場合のみ
これまでは良いことを書いてきましたが、ここからお客さんにとって良くないことを書きます。
先ほどから適用されてきた保証というのは、あくまで「メーカーが故障理由を上手く説明できないから行う救済処置」です。例えば基盤は5年間保証されていることが多いですが、5年以内に壊れてしまった場合にお客さんを納得させられるような説明が難しいので、保証期間が長く設定されています。
これがもし「お客さんの使い方が悪くて壊れた」とか「災害によって壊れた」という事実があって、それが明るみに出た場合は保証外になるのが必然です(それも認めてしまったら、保証期間が切れる直前にわざと給湯器を壊すお客さんが増えてしまいそうなので)。
落雷はグレーゾーン
お客さんの使い方が悪くて壊れるケースと言えば、お風呂のフィルターを掃除していないとか、何かをぶつけて破損させたとかになるので、現場を見ればすぐにわかります。一方で災害についても水没なら見ればわかりますし、家屋の倒壊という話になってくればもはや給湯器どころの話じゃないでしょう。
ただ、落雷に関してはぶっちゃけ分かりません。基本的に落雷が原因で不具合が起きたのであれば、その地域から多数の修理依頼が来るので「たぶん落雷が原因だろうなぁ」と予想しているだけで、それが落雷による故障だと断定するのは難しいです。
それをお客さんサイドから「落雷があったからそれが原因かも…」という言葉は、我々修理をする人間がすぐさま食いつきたいほどの言葉と言っても過言ではありません。落雷が原因であれば、毅然とした態度でお客さんからお金が貰えますから。
雷が原因だと認めなければどうなるのか
保証期間内の部品は無償で交換
仮に1年の保証期間を過ぎていても、5年以内の使用期間であれば基盤などの保証延長になっている部品が無償交換してもらえる場合が多いです(もちろんそれだけで直ればの話)。
ただし修理に来る人も、いくら雷が原因かもしれないとは言っても断言できないわけですし、保証内で対応できるなら保証修理する場合が多いと思います。
でもそれはあくまで私の考えであって「雷の可能性が高く、お客さんもそれを認めている」となれば、有償修理に踏み切るのが自然な流れだというのも理解できます。ゆえにお客さんが認めていなければ、保証期間内なら保証を使った対応をせざるを得ないでしょう。
保証期間外なら経年劣化として有償修理
保証期間外なら落雷だろうが落雷じゃなかろうが、経年劣化として有償修理になると思います。
この場合は雷が鳴っていたという事実を伏せていたとしても「この近所でも落雷が原因と思われる不具合が多発しているので、雷の影響があったのかもしれません」と一言添えられるかも。
まとめ
修理依頼の際はエラー番号などの情報は細かく伝えよう
落雷については言う必要なし
落雷の可能性があるものを「全く無い」とお客さんが言い切ってしまうのもどうかと思いますが、実際には凄かったものを「気付かなかった」くらいにいうのは問題ないような気がします(あなた次第です)。
給湯器など家庭用設備の裏世界は正直者が馬鹿を見る世界でもあるので、ちょっとした裏話として頭に入れておくといいかもしれません。
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