「給湯器のエコタイプ(高効率タイプ)は得か損か」という話

最近「エコジョーズ」「エコフィール」などと呼ばれる燃費の良い給湯器が普及してきました。

確かにランニングコストは優秀になっているものの、機器本体の値段は通常の給湯器と比較すると高い傾向にあり、果たしてお得なのかどうなのかがわからないという人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、エコタイプの簡単な仕組みと「エコな給湯器って得するの?それとも損するの?」という疑問について、詳しく答えていきたいと思います。

目次

燃料費はどれくらい得になるのか

リンナイ編

http://rinnai.jp/products/waterheater/gas/what/ecoj/calculation

上記の画像はリンナイのホームページに掲載されているデータですが、年間で約16500円お得になるというデータが算出されていました。

ただしこのデータに関してはどの程度使うのかによっても変わってきますし、石油給湯器なのかガス給湯器なのか、ガス給湯器であれば都市ガスなのかLPガスなのかでも変わってきますので、あくまで参考値となります(リンナイに石油給湯器はありませんが)。

 

それでも燃料費がお得になることは間違いなく、給湯器本体の価格にそこまで差がないのであればエコタイプの給湯器を購入した方がお得になるケースが多いですね。

とりあえず平均的な使用量であれば、1万円前後はお得になりそうです。

 

ノーリツ編

こちらはノーリツ製のエコジョーズです。

右上の方に小さく「LPガスの場合」と書いてあるので、都市ガス使用の場合はもう少し節約できる金額も落ちるとは思いますが、それでも年間約23000円の節約になると大々的に謳っています。

新エコスイッチと呼ばれる出湯量を制御する機能を使用すれば、そこから更に約8300円の節約が可能だそうです。

 

一方で石油給湯器はと言うと、年間で約6540円の節約にとどまっています。

 

エコタイプの簡単な仕組み

http://rinnai.jp/products/waterheater/gas/what/ecoj/

「エコタイプってなんでお得なの?」ということを考えたことがありますか?

簡単に説明すると、本来捨てている排気から更に熱回収することで、燃料を無駄なく使っているという仕組みです。

 

ストーブの煙突や給湯器の煙突というのは、通常であれば手で触ると火傷してしまうほどの熱さになっています。

通常の排気温度は200度と言われていますから、熱いなんてものではないのがお分かりになるでしょう。

 

しかしエコタイプの給湯器から出る排気は、そこまで熱くありません。数字にして約50度程度なので、手で直接触ってもほんのり温かいと感じる程度に抑えられています。

このようにして本来であれば捨てている熱を再利用することで、無駄なエネルギーの消費を防いでいるんですね。

 

エコタイプを検討している場合に知っておきたい注意点

本体価格が従来型よりも高い

当然と言えば当然ですが、性能が高くなっていて使われている部品も多い分、本体価格は従来型と比べると高いです。

ただし設置業者の値引き率が高い場合や、お住まいの自治体で補助金制度がある場合は、従来機器の値段と限りなく近くなる場合があるので、そのような場合はタイミングとしてはおすすめです。

補助金が出るかどうかについては時期的なものもあるので、自治体に問い合わせてみてもいいでしょうし、取付業者に聞いても見るのもいいでしょう。

 

あとはメーカー自体にも「エコ給湯器による実績を挙げたい」という目論見があるので、エコ給湯器を買ってくれるなら大幅値引きをするという風潮もまだまだ強いですね。

そのため本体価格に関してはデメリットとは言いながらも、そこまで大きなデメリットではありません。安い業者から購入すれば、1年や2年で十分にペイできるレベルだと思います。

 

修理費用は高めになる傾向がある

上の方で「エコタイプの給湯器は、排熱を利用する」と書きましたが、排熱を利用するための部品が存在します。これは、従来の給湯器には搭載されていない部品です。

部品が多いということは、言い換えると壊れてしまう部分が多いということにも繋がるため、従来型の給湯器と比較すると修理費用は高めになる傾向があります。

 

更にエコタイプの給湯器に搭載されている部品の中には「あらかじめ寿命が決まっている部品」が存在しているんですよね。これは部品というよりも消耗部品に限りなく近い非性能部品という括りです。

その部品は稼働時間によって交換時期が決まっているため、多くのお家で7年前後で交換になると思われますが、これは従来型の給湯器であれば掛からない費用となっています。

 

費用としては部品代と出張料、作業料を含めて15000円以下に収まる場合がほとんどですが、事前にそれを知っていないといざそのような事態になったときに「納得いかない!」というユーザーが一定数いるので注意が必要です。

参考ランニングコスト(燃費)だけに飛びついてエコ給湯器を買うと痛い目に遭う

 

屋内の機器であれば、別途工事が必要になる場合も

もし従来型からエコタイプへの交換を検討している場合、別途工事が必要になる場合があります。

エコタイプの機械は排熱回収をする際に、機器の内部で汗をかくのですが、その汗を捨てるための配管(ドレン配管)を排水管につなぐ必要があるんです。

 

従来の給湯器では必要なかった配管のため、屋内タイプの給湯器の場合だと設置に際して床に穴を開け、床下で排水管と繋いだりする必要が出てくるでしょう。

それによって従来型の取り付け費用よりも、部材費や取付業者の作業料が高くなる場合があるので、確認しておくことをおすすめします。

 

屋外の機器で北国の場合は、ドレン配管にも凍結予防が必要

雪国にお住まいの方で外に給湯器がある場合、大半のケースで配管に凍結予防が施されていると思いますが、そのほとんどは屋外コンセントから電源を貰ってヒータを巻いていると思います。

給湯器は水の入口とお湯の出口で、最低でも配管が2本出ている(追い炊き機能付きなら4本だし、暖房機能付きなら6本)のですが、前項にも書いたようにエコタイプの場合は更にドレン配管が必要です。

このドレン配管が凍ってしまい、汗が流れなくなってしまうと給湯器は動かなくなってしまうため、この配管にも凍結予防を施さなくてはなりません。

場合によっては屋外コンセントを増設しなくてはならないケースなども出てくるので、設置業者に事前確認しておくといいでしょう。

参考屋外タイプのエコ給湯器のドレン配管にも凍結予防が必要な件について

 

まとめ

ランニングコストは従来型よりも遥かにお得

従来型では発生しなかった費用が発生する場合も多い

エコに鞍替えする場合は、補助金の存在は要チェック!

時代はエコを方向で進んでいるので、これからはエコタイプが主流になっていくと思います。

いや、もしかしたら今やエコタイプの方が主流なのかもしれません(ガス給湯器に関しては、ほぼエコになりました)。

 

私自身、トータル的に見ればエコタイプの方がお得になることが多いように考えていますが、デメリットを理解したうえでエコタイプを選ぶのと、デメリットを知らずにただエコタイプを選んだ場合とでは、エコタイプならではの不具合に直面した時にスッキリしないことが出てきてしまうのではないでしょうか。

エコタイプの給湯器を選ぶ際は「メーカーが言っているような美味い話だけではない」という部分を理解したうえで、取付の検討をしましょう。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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