落雷が原因で給湯器が壊れた場合、火災保険に加入している方は保険の内容を確認してみてください。保険が適用されて、給湯器の修理費用が保証される可能性があります。
この場合は保険会社に事前に確認するのは当たり前として、できれば給湯器の修理をしてくれる業者にも火災保険が適用される旨を伝えた方が良いです。以下では火災保険で給湯器を修理しようと思っている時に注意すべきポイントについてご紹介します。
火災保険の内容(落雷が適用されるかどうか)を確認する
火災保険にも様々な種類があるので、落雷が保証されているものと保証されていないものがあります。まずは保険の内容を確認しましょう。そして落雷による給湯器の故障が火災保険の対象であることを確認し、保険会社に指示を仰いでください。保険会社によっては「修理会社の修理伝票を提出してください」などの指示をくれます。
たまに「落雷が保証されるというだけで満足し、詳細を確認せずに修理に入ってしまう」というケースがあります。この場合だと、実際に保険会社に書類を提出しようとしたタイミングで「修理業者からこの書類を記入してもらいたい」とか「交換前後の給湯器や部品の写真が欲しい」と言われることがあるので注意してください。
普通は事前に保険会社の方から説明してくれるはずですが、たまに保険会社がお客さんに説明をし忘れるケースがあります。交換した古い部品は修理業者の方で処分してしまう可能性があるので注意しましょう。
修理業者にも修理依頼の段階で説明をする
前項でも軽く触れたように、火災保険を使って給湯器を修理する際には、多くのケースで書類や写真の提出を求められます。修理伝票の提出などであれば問題ありませんが、修理中の写真画像を求められるケースもあるため、修理前に業者に説明しておくのが無難でしょう。
修理依頼をする時点で「火災保険で落雷が保証されているので、それを使って給湯器修理をしたい」という旨を伝えてください。事前に保険会社から必要書類などを渡されている場合は、修理業者が訪問した際に忘れずに渡すようにしましょう。
部品交換後の写真だけでなく、部品交換する前の写真を求められると修理前じゃないと撮影が難しいことが多いので、修理する立場としてもなるべく早くに知っておきたいところです。
給湯器修理に関する落雷関連の豆知識
火災保険が適用できるなら修理がスピーディー
落雷で壊れた場合というのは非常に厄介で、電装部がどこまで壊れているのかの判断がつきません。大抵は「電源が入らない」という症状で電装基盤や電源基盤がまず壊れているのですが、この段階では「まずは基盤を交換してどうなのかを確認しないと、他に壊れている部分が見抜けない」という感じになります。
この時、お客さんには事情を説明し「一回の修理で完全に直しにいくか」あるいは「まずは基盤を変えてみてどうなのかを見て、他に修理が必要なら段階的に見ていくか」を選んでもらうことがあります。
・考えられる部品を用意して全交換する→修理完了は早まるが修理費用が高くなる
・どこまで壊れているかを確認しながら修理する→修理費用は最低限で済むが修理完了まで長引く可能性がある
お客さんからすれば「一応部品は全部用意して来てもらって、そのうえで一つずつ試してよ」と言いたくなると思いますが、修理業者としても「注文した部品は買い取り(使用しなかったからと言ってメーカーが引き取ってくれない)」等の事情があり、不良在庫を抱えるリスクになるので良い顔をしないでしょう。
もし事前に保険が適用されることが分かっていれば、一回で直しに行くことができる(お客さんに金銭的な負担がなく一回の修理で給湯器を直せる)ので、火災保険が適用されるなら是非とも事前にお知らせください。
あまり大声では言えませんがこういう裏事情もあるんです。ちなみにお客さんには言葉を濁して説明し、間違っても「在庫になるのが嫌だから、最初から部品を全部用意したくない」とは口が裂けても言いません。
もし「落雷による故障じゃない」と診断されたら…
例えば「雷すごかったなー」という日の翌日になって、パソコンもテレビもエアコンも給湯器も同時に壊れたとなれば、多くの人は雷が原因の故障じゃないかと疑うでしょう。ただしこういう状況にでもならない限り、ユーザーからすれば「雷で故障したかどうかは不確かであり、雷で壊れたんじゃないかと疑っているだけで断言はできない」という判断になるはず。
単に給湯器だけが動かなくなってしまった場合、果たして落雷の影響で故障したと診断してもらえるでしょうか。こんな状況になったら、多くのユーザーは「落雷であってくれ」と願うでしょう。そして「落雷じゃないって言われたらどうしよう…」と不安になるのではないかと思います。
結論を言うと、我々も給湯器の故障を診断するうえで「これが本当に落雷で壊れたと断言できるケース」は極めて少ないです。電装部が不自然に焦げたりしていればほぼ間違いないと言えるでしょうが、それでも絶対ではありませんし、そもそも落雷で壊れたからと言って基盤が焦げている現場なんかそうそうありません。
逆に言えば古い給湯器の電装部が壊れてしまったとして、普通に診断したら雷が原因で壊れたと見抜くことはほぼ不可能です。新しい給湯器の電装部が壊れたんだとすればそれは珍しいことなので、故障内容の説明をさせてもらう時に「雷とかありませんでしたか?」と聞いたりもしますが、古い給湯器の場合はお客さんから発信される情報も重要と言えます。
後述していますが「雷が原因で壊れた」ということをユーザー発信で業者に伝える場合、メリットとデメリットがあります。給湯器の製品保証の場合だと雷を申告すると有償修理になってしまう可能性があるので注意が必要です(一方で火災保険を利用するなら雷の申告は必須)。
火災保険の適用が無いなら、雷があったとは言わない方が吉
火災保険に加入していて、落雷による給湯器の故障が保証されているのであれば「落雷によって給湯器が故障した可能性」を全面的に推し出すべきですが、そうでないなら「雷のせいかも…」とは言わない方が賢明です。理由は給湯器の保証については落雷による故障が一切保証されていないことが関係しています。
給湯器の保証には購入してから1年または2年の製品保証、各部品の保証延長、ユーザーが任意でメーカーと契約する保証延長など様々な種類がありますが、このどれもが落雷を保証していません。極端なことを言えば新品の給湯器を取り付けた翌日に落雷で壊れたとしても有償修理になります。
モラルの問題ではありますが口は禍の元という言葉もあることですし、場合によっては余計なことは言わない方が得をする世の中なので、気になる方は以下の記事を参考にしてみてください。
まとめ
火災保険に加入しているなら、落雷による給湯器の故障が保証されているかを確認する
火災保険が適用できるなら、保険会社に必要な書類等がないかを確認し、火災保険が適用できる旨を修理業者にも伝える
お客さんの中には「後で修理の明細書を保険会社に提出すればいい」と楽観視し、後々になってから「部品の写真が必要だった」と慌てるケースもあります。私たちもお客さんから火災保険を利用するという言葉を聞かされていない限り、部品の写真を撮影したり、部品を保存しておくということはしないので事前にお話しください。
そして意外と落雷が原因で給湯器が故障した場合に、火災保険が適用できるケースがあるということを知らないお客さんも多いです。せっかく加入している保険なら利用しなければ損なので、火災保険に加入しているという方はぜひ確認してみてはいかがでしょうか。
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