「燃焼音がうるさくなった気がする」とか「給湯器から変なニオイしない?」というお客さん自身の違和感は、結構高い確率で故障の早期発見に繋がっています。
もちろん神経質すぎる人の場合だと、実際に点検させてもらっても異常が見つからず「たぶん気のせいだと思います…」という感じになる場合もありますが、それはそれで安心してもらえることが多いです。
例えば石油給湯器の場合、灯油臭いとなれば「ニオイ+見た目」で漏れを確認できます。
一方でガス給湯器の場合だと、ガス漏れを目で判断するということが無理なので、ガス臭いという不安感が灯油臭いという不安感に比べて、断然大きいのではないでしょうか。
そこで今回は「給湯器がガス臭いと感じた場合に考えられる不具合」についてご説明します。
ガス臭いからと言ってガスが漏れているとは限らない
この記事を読んでいる方の多くは「ガス給湯器がガス臭い=ガスが漏れているんじゃないか?」という不安を抱えているのではないかと思いますが、そうとは限りませんし、そうでないケースの方がずっと多いです。
どうしてもガス臭いということが気になる場合、以下の項目について注意深く観察してみてください。
常にガス臭いのかどうか
常にガス臭いのであればガスメーターを確認する
燃焼時だけガス臭いのであれば、排気が窓などから部屋に入ってきていないかどうかを確認する
窓の問題が無ければ、それが給湯を使った時なのか、お風呂を沸かした時なのか、常にガス臭いのかたまにガス臭いのか等、規則性がないかどうかを考えてみる
給湯器は経年劣化していくので、新品の頃と比べるとどうしても燃焼音は大きくなっていきますし、排気のニオイも強くなっていきます。
夏場に多いのが「窓を開けていることでガス給湯器の排気が部屋に入ってきて、そのニオイが気になった」というパターンです。
石油ストーブなどの灯油機器を使用したことがある人だとイメージしやすいのですが、灯油を燃料にしている以上、排気は灯油のニオイがします。
ガス機器の場合は、なかなかこれがイメージしにくい側面があるんじゃないかと思いました。ガス機器もガスを燃焼させている以上、排気からはガスのニオイがします。
ちなみにガス臭くなるタイミングに規則性がある場合、直ちにその内容を添えて修理依頼をすることをおすすめします。
ガス臭い場合に考えられる不具合
不具合なし(気のせい、経年劣化)
1番多いのは「ハッキリとした不具合が確認できず、おそらく経年劣化だろう」という診断になるケースです。
少なくとも安全上の問題は無く、動作点検にも一切の問題が見当たらないというケースがこれに当たります。
上の方でも軽く触れましたが、窓を開けていて排気が入ってきたパターンや浴槽の換気扇から排気が侵入してくるパターンなどもあり、経年劣化によって排気のニオイが強くなっている場合だと、人によっては気になるという人も出てくるでしょう。
このような場合は、ガス臭いという不安を感じることになるので、気になって気になって仕方ないという流れになってしまう人が多いです。
熱交換器、バーナー部の詰まり
熱交換器:バーナーの火が当てられ、水がお湯に変わるところ
バーナー:火を出すところ
前項と若干被る部分がありますが、経年劣化でニオイが強くなる原因は「燃焼能力の低下」にあります。燃焼能力を低下させている原因は「熱交換器の詰まり、バーナー部の詰まり」に起因していることが多いです。
つまり「給湯器内部のメンテナンスやオーバーホールをしてやる→排気のニオイが弱まる」ということも珍しくありません。
経年劣化と一言で片付けることは簡単ですが、オーバーホールしてやればニオイが軽減するだけでなく、他の部品にかけてしまう負担が減り、燃焼効率も上がることが期待できます。
この辺りは実際に修理依頼をしていただければ、ニオイの元が気のせいなのか経年劣化なのか、経年劣化だとしたらオーバーホールをする必要があるのかどうかを、担当したサービスマンが説明してくれると思うので、ぜひ検討してみてください。
ガス通路部の部品が劣化していて一部の排気が漏れている
給湯器には水通路部、燃料通路部、ふろ水通路部などの役割がハッキリしていて、ガス通路部の中にも「電磁弁、前菅、バーナー」など多数存在します。
このガス通路部に関係している部品が劣化・腐食していて、ガスや排気の一部が漏れているという可能性も100%無いとは言い切れません。
そして機種によっては排気の一酸化炭素濃度を計測して、異常があればエラーを出すという機械が存在するものの、ガス漏れに対するエラー番号や安全装置は搭載されていないので、ガス漏れに気付くためにはお客さんの違和感が極めて重要です。
私がこれまでに見たことがあるのは「バーナーの一部が腐食して穴が空いている」という状況で、火が漏れるほどの穴なら安全装置が作動するのですが、そこまで大きい穴じゃないせいで気付きにくいという現場でした。
ただしこのような場合は10年を超えて使用しているというケースが大半だと思うので、耐用年数以上に渡って給湯器を使用し続けると言うのは、安全面からもあまり推奨できることではないと言えるでしょう。
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給湯器交換時に排気筒を交換していない→排気筒から排気漏れ
それからたまに見かけるのですが、給湯器の使用年数に対して明らかに排気筒が古いという現場を見ることがあります。
給湯器を交換する際、値段を重視するお客さんは非常に多く「1円でも安い業者にお願いしたい」というお客さんも少なくありません。
全てが健全な業者ならそれでもいいのですが、中には「本来であれば交換が必要な部材を再利用することで、必要経費を下げて代金を低く見積もっている」という業者も少なからず存在します。
このような現場の場合、給湯器は新しいのになぜかガス臭いという状況になり、機器内を点検しても異常が無く、色々見てたら排気筒がボロボロで一部から排気が漏れていたという現場も何度か見たことがあります。
このケースだとお家の壁が変色していたり、注意深く見ると「一部だけ埃が変色している/一部だけ埃が無くなっている」などの違和感もあると思うので、気になる人はチェックしてみてください。
大量にガス漏れしている場合はメーターの安全装置が制御
ガス通路部には一次通路部と二次通路部があり、給湯器の手前までが一次通路部、給湯器の内部が二次通路部となっています。
もし一次通路部でガス漏れしているという場合は、ガスメーターでガスが遮断されるような安全装置があるので、これに関してはそこまで不安視する必要もないでしょう。
まとめ
ガス臭いと感じる場合の大半は「気のせい/経年劣化」のどちらかで、実際にガスが漏れているというケースはほとんどない
経年劣化が原因でガス臭いという場合は、オーバーホールをすることでニオイが軽減する可能性あり
給湯器からのガス漏れが原因で事故になることは考えにくい(ただし10年以内に限る)
「ガス臭い」という依頼を受けて、実際にガスが漏れていたということはほとんどありません。
実際にあるとすれば、給湯器を10年以上使用しているというような場合であれば、あり得なくもないだろうなぁという印象です。
いずれにしても気になるのであれば故障の前兆である可能性があり、早期発見によって修理費用が軽くて済む可能性も出てきますし、修理のプロから「問題ありませんよ」と診断してもらえれば安心できる部分もあるかと思うので、気になる場合は修理依頼することをおすすめします。
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