お風呂を沸かして入ろうとした時に、最初に手を入れて確認したらしっかり温かったのに、いざ足を入れてみると下の方が冷たい…。そんな温度ムラが生じてしまう場合があります。
「しっかりとかき混ぜれば入れないことはないから」と言ってそのまま使用しているという人が多く、私は驚きを隠せませんでした。
ちなみにこれは、もちろん給湯器が原因であることも多いのですが、多くの場合は浴槽に付いている循環金具の不具合であることが多いです。今回はその解説をしたいと思います。
これは直らないんだ?
給湯器にエラーが出てしまって高額修理となり「修理するくらいなら…」ということで買い替えになった現場で、試運転後に確認してもらうとお風呂のお湯を確認したお客さんに「これは直らないんだ?」と言われたことがあります。
どうやらお客さんはだいぶ前から「お風呂に温度ムラがある」と感じていて、それは給湯器の不具合だと思っており、新しい給湯器に変えることで改善されると思っていたとのこと。
一方で私はエラーが出た別件で修理訪問しているので、まさかお風呂の方にも不具合が出ているとは夢にも思わなかったという状況です。
循環金具の経年劣化
SANEI 【バスルーム用追い焚き配管部品】 一口循環接続金具 PPS樹脂製 T41-40-13
循環金具とは上記のような部品のことで、お風呂側にはフィルターしか見えていませんが、浴槽の外側とドッキングしている部品のことです。浴槽の外側で、追い炊き配管の往き・戻りの2本の配管と接続されています。
役割としては、フィルターが付いていてゴミが給湯器側にいかないような構造になっていたり、給湯器によって温められたお湯は浴槽内をしっかり循環し、浴槽内の冷たいお湯を吸って給湯器に運びやすくするという役割を担っています。
ご家庭によって金属だったり樹脂製だったりと様々です。最近の新しいお家は、ほぼ上記画像のような金属フィルター+樹脂製ですね。
実はこの循環金具というのが、お風呂のお湯を循環させるのに非常に重要な役割を持っていて、フィルターがうまく嵌まっていなかっただけでも、お風呂が設定温度通りに沸きあがらないというデリケートな部分でもあるんです。
結果的には、この循環金具が悪くて浴槽の上の方と下の方に温度ムラが生じていました。
樹脂製の古い循環金具を使用しているご家庭は注意
そのような一件があってからは注意深く観察するようになったのですが、なんと樹脂製の循環金具を使用しているお家のほとんどで似たような症状が起きていたんです(樹脂の金具って表現もどうかと思いますが)。
これは上手く循環できていないことが原因なのですが、多くの現場が「お風呂は最初からこのままだけど給湯器は2台目か3台目」という状況だったので、もしかすると昔の給湯器よりもポンプの流量などが優秀になっているために相性が悪いのではないかと思いました。
循環金具の交換は水道屋さんに依頼
タイル風呂などであれば交換作業に難儀する可能性がありますが、ユニットバスなどであれば比較的簡単に交換できる現場が多いです。
循環金具自体はモノにもよりますがノーリツの純正品で約8000円なので、出張料と作業料を入れると20000円~30000円くらいが相場なのかなと思います。
ムラがある状態で使用しているのだとすれば、その症状はどんどん悪くなってしまうことが予想されるので、もしお風呂のリフォームなどを検討しているというような時期でもなければ、1度相談してみることをオススメします。
給湯器は交換しても循環金具は一緒に交換しないことが多い
一応、循環金具にも耐用年数が存在するのですが、給湯器の交換に合わせて一緒に交換しているという現場は稀で、多くの現場では「循環金具は循環金具で、これが悪くなった時に交換する」という考えが主流です。
そのため、人によっては「給湯器を新しくしたばかりなのに、お風呂に温度ムラができて納得いかない」という人もいるかもしれませんが、それはそれ、これはこれであることが多いですね。
もし「お風呂に温度ムラがある」と言って修理依頼をし、来た業者が「給湯器の寿命ですね」と言ったから買い替えたのに改善しないという場合であれば、業者の診断ミスである可能性が高いので、泣き寝入りなどせずに徹底的にやりましょう。
まとめ
お風呂の温度にムラがある場合は、給湯器が原因じゃない可能性もある
樹脂製の循環金具を使用している場合は、温度ムラが生じることが多い
完全に冷たいのであれば完全に不具合だと確信できると思うのですが、上が熱くて下が冷たいとなるとかき混ぜればマシになりますし、変に業者を呼んで「こんなもんですよ」なんて言われてしまうんじゃないかと思って相談できないという人も多いようです。
循環金具の交換も決して安くはありませんが、これで温度ムラが改善されれば非常に快適になりますし、なにより症状が進行すると上の方も段々とぬるくなっていく恐れがあるので、お悩みの方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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