一昔前のお家であれば2ハンドルタイプの水栓が主流でしたが、最近はシャワー水栓にもサーモが付いているお家がほとんどですね。
給湯器の修理で各ご家庭を回っていると、意外と多いのが「シャワーのサーモ部分で温度調整できる」という勘違いです。
正確に言うとそれは半分正解で半分不正解なのですが、基本的にこの手のサーモは「お湯はぬるくできるけど、熱くすることはできない」です。
以下ではそれについて、なるべく分かりやすく書いていきたいと思います。
数字が書いてあるからややこしいだけ
目盛りが付いてて数字が書いてあるから「この温度のお湯がでるのね」と思いがちですが、基本的にはその目盛りに深い意味はありません。
最高温度を振り切ってHに合わせたところで、給湯器の設定温度が40℃であれば40℃以上のお湯にはならないということです。
よく「火傷しちゃうのが怖いから、ここは40℃にしている」というお客さんの声を聞きますが、ちゃんと理屈を理解している方は意外と少なく「給湯器の設定温度が40℃であれば、ここから出てくるお湯はハンドル部分を50℃にしても60℃にしても、40℃のお湯しか出てきませんよ」と教えてあげると、すごく驚かれることがあります。
「設定温度通りのお湯が出ない」も不具合ではない
40℃設定なのにそれ以上に熱いお湯が出る
前項では「ぬるくする機能だけで熱くすることはできない」と書きました。では「ぬるくする機能は万全なのか?」と言われると、そういうわけでもありません。
例えばシャワー水栓のサーモハンドルを40℃にしていて、給湯器の設定温度が40℃以上の場合、シャワーからでる温度は40℃であることが正常なのですが、たまに「シャワーの温度設定を40℃にしているのに、設定以上に熱い」という修理依頼があります。
実際に計ってみると43℃だったりして、このシャワーのサーモ部分が完璧な機能だと考えているお客さんは意外と多いんですよね。
給湯器の設定温度次第で変わる場合が多い
多くのシャワー水栓には温度を正確に計る部品が付いておらず、温度調整のハンドルはあくまで「水とお湯の混ざる割合を調整しているだけ」に過ぎません。
例えばシャワーのサーモを42℃に設定したとしましょう。
この時、給湯器の設定温度が42℃以下であれば「シャワーから出てくる温度=給湯器の設定温度」です。これは上の方でも説明しました。
しかし、給湯器の温度を50℃にした場合と60℃にした場合でも温度は変わります。
本来であれば一律で42℃のお湯が出なければなりませんが、そこまでの完璧な温度調整機能はないんです。
なのでシャワーのサーモ部分の目盛り通りの温度のお湯が出ないからと言って、ただちに給湯器の故障、あるいはシャワー水栓の故障とは言えないケースも多いので注意してください。
まとめ
シャワー水栓の温度調整はオマケ程度に考えよう
最近の給湯器は温度調整機能が優秀になってきていますが、それでも配管状況によって±1℃の誤差が出ることも少なくありません。
そんな給湯器よりも簡易的に作られているシャワー水栓のサーモですから、絶対的な制度を求めるのは酷と言えるでしょう。
この手の勘違いで不具合と勘違いして修理業者を呼んだものの、業者からは「正常です」と取扱説明書を見せられて、出張料と点検料を取られてしまったなんてことにならないように注意してください。
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