給湯器の故障で1番多いのは安全装置の故障です。安全装置には、危険な状態になる手前で機器を停止させるという役割がありますが、この安全装置自体が壊れてしまってエラーを出すというケースが多いんですよね。
そこで今回は「給湯器の故障で1番多いのは安全装置の故障である」というテーマで、なぜ安全装置の故障が多いのかなどについて書いていきたいと思います。
安全装置の数について
- 温度ヒューズ、ハイリミットなどの過熱防止装置
- COセンサー、オイルセンサーなどのセンサー装置
- 感震装置、冠水防止装置などのその他安全装置
安全装置の数は一昔前と比べて格段に増えました。
過熱防止装置は元々古い機械にも搭載されていたのですが、一酸化炭素中毒を回避するためのCOセンサーや、油漏れを検知するオイルセンサーなどの安全装置は、最近こそどの機械にも搭載されるようになってきましたが、一昔前は付いてない機械が多かったんですよね。
これによって「昔よりも遥かに安全になった」という大きなメリットの背景に「昔よりも機器が壊れやすくなった、壊れる部分が増えた」というデメリットが出てきました。
安全装置は繊細に作られているため故障が多い
例えばお湯の温度調整をしている部品は、1℃や2℃の誤差を許容範囲としていたりしますし、昔よりも格段に高性能になってはいますが、まだ誤差が許される部品です。
それに引き換え安全装置類には、一切の誤差が許されません。火災が発生してしまう可能性があるのに、動く時と動かない時があってはいけませんし、発生してしまってから気付くタイプの安全装置では意味がなく、あくまで危険な状態を未然に回避することを前提に作られています。
「安全装置は危険な状態になる3歩先で作動する」というイメージ
私の印象としては、ここ最近の給湯器に搭載されている安全装置は「危険な状態の3歩手前で作動(故障)する」というイメージです。
恐らくユーザー視点から考えると、危険な状態さえ防げればいいわけですから、理想としては危険な状態の1歩手前で教えてくれればいいと思うんですよ。なので「まだそんなに危険じゃないんだから、もうちょい使わせてくれよ」と思ってもおかしくないケースも少なくありません。
一方でメーカーは「何かあってからでは困る」ということで、ユーザーの安全を考えて多くの精密な安全装置を搭載していった結果、まだ普通に使っていたとしてもそこまでの危険はないのに、念のために停止させるという動作原理に辿り着いたような気がします。
その結果、耐用年数(機器寿命)は短くなった
給湯器の耐用年数や機器寿命の話になると、ユーザーの中には「大体10年くらい」という考えがあるようで、中には「昔よりも技術が進化しているんだから、20年くらい使えるのが普通なんじゃないの?」とまで言う人もいますが、結果的には一昔前と比べて給湯器本体の耐用年数は短くなりました。
今、どこのメーカーでも耐用年数(機器寿命)については7年~10年と説明している所が多いはずです。これは「機械が複雑になる=壊れやすくなる」というごく当たり前の流れによるものと言えるでしょう。例えば洗濯機に例えると、今は全自動洗濯機が主流ですが、一昔前の二層式洗濯機は今ほど壊れず丈夫だったと思いませんか?
機械はシンプルの方が長持ちしやすいですし、複雑になればなるほど部品が増え、部品が増えれば触れるほど機械が壊れやすくなります。部品が増えるということは、壊れる可能性のある部分が増えるということです。
まとめ
- 給湯器の修理で最も多いのは安全装置の交換作業
- 安全性能は遥かに高くなってきているが、その裏で機器寿命は短くなってきている
メーカーとしては、給湯器で事故に繋がる案件を起こすことは絶対に許されません。たぶんお客さんも「20年使えるけど事故になる可能性がある機械と、10年しか使えないけど事故にはならない機械どっちがいい?」と聞かれたら、ほとんどの人は後者を選ぶと思います。
「それにしたって壊れやすいんだよなぁ」と思う部分はありますが、それは安全性を追求した結果であり、メーカーはそもそも「長持ちする機械よりも今より便利で安全な機械」を開発しているので、安全装置の故障は仕方がないことなのかもしれませんね。
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