給湯器の不具合には様々な内容があるのですが、単に「お湯が出ない」と言われてもその原因や故障個所には多くのパターンが存在するので、実際に見てみないとわかりません。
…が、ある特定の状況が分かっているのであれば「もしかしたらコレが原因じゃないかな?」と思い当たる部分が出てくることも多く、その中にはお客さん自身での解決が可能な場合も。
そこで今回は、給湯器(ボイラー)の「ファンの音はするけどお湯が出ない」という症状に悩んでいる人に試して欲しいことについて書いていきたいと思います。
ファンとは何か?
給湯器には排気を送り出して酸素を取り込むための扇風機のような部品が搭載されています。これがファンモーターです。ファンモーターって言ったり、ファンモータって言ったり、ファンって言ったり様々です。
給湯器の動作原理としては、機械が燃焼動作に入る前には必ずファンモータが回るというシステムになっているため、ここまで動くかどうかだけでも結構な情報が得られるんです。それでは詳しく解説していきましょう。
ファンモータが動かない不具合とは
電源が入らない(エラーなし)
水流が検知できない(エラーなし)
ファンモータ自体の不具合(エラーあり)
給湯器が燃焼するためには、プレパージと言って「バーナーなどに残っているガスを排出する動作」をしてからでないと点火動作に入ってはいけないというような決まり(のようなもの)があります。
当然ですが給湯器本体のコンセントプラグが抜けている場合、リモコンの電源が入っていない場合などは、いくらお湯の蛇口を開けても給湯器のファンモータが回ることはありません。
これと同様に水流が検知できない状態もファンモータは動かないです。給湯器には水流を検知するセンサーが付いているのですが、どこかのお湯の蛇口を開けると水流が生じ、その水流を一定以上検知してから燃焼動作に入るようになっています。注意したいのは一定以上の水流という部分で、これがもし「蛇口を少ししか開けていない」などの場合はセンサーでの検知する水流が少なくて点火動作に入らない場合があります。
あとはファンモータ自体が故障してしまって、電圧が正常にかかっているのに動かないというケースも。ただしこの場合の多くはファンモータのエラーを出すはずなので、その場合はメーカーに頼んで修理依頼をしてもらってください。
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ファンモータが動くのにお湯がでないとはどういうことか
ファンモータが動いているという時点で点火動作には入っているということになるので、多くの場合は燃料系の不具合か点火装置の不具合であることが多いです。
例えばガス給湯器の場合、燃料を止めた状態で機械を動かしてみると、機械はウイーンという何かが回る音が聞こえた後でカチッカチという音が聞こえてきます。
これはファンモータが回った後に電磁弁が開いている音なのですが、これで火が付かない場合は「電磁弁は開いてるけど燃料が来ていない」という可能性があるので、一応ガスメーターでガスが止まっていないかどうかを確認してみるのがいいでしょう。
また、ガスはしっかり来ていても火が付かないのであればイグナイタや点火プラグなどの点火装置の不具合である可能性が出てくるので、この場合はメーカーに修理依頼をする他ありません。
エラーが出るかどうかについて
機種にもよりますが「ファンモータが動くのにお湯が出ない」という多くの場合は、何かしらのエラーを出すことが多いです。
最近のガス給湯器は、点火動作を複数回繰り返してそれでも点火しない場合にエラーを出すという構造になっており、その1回1回の点火動作の間にポストパージ(点火不良の場合に機器内に残っているガスを機器外に排出する動作)を要するので、時間にしてみたらエラーが出るまで結構長い時間待たなければなりません。
エラーが出ないと給湯器の不具合かどうかを不安に感じてしまうという人もいると思うので、そんな時は黙って1分間くらいお湯の蛇口を開けっ放しにしてみてください。もし給湯器に点火不良などが生じている場合はエラーを出すと思いますよ。
まとめ
- 「ファンの音はするけどお湯が出ない」という場合は、まず燃料系統を疑おう
馬鹿にされるかもしれませんが、意外とガスや灯油が来ていないから燃焼しなかっただけという事例は多いんです。
ガスが原因の場合はガスコンロも動かなくなるので、それが気付くことも多いのですが、最近はIHも増えてきて「ガスを使っているのはボイラーだけ」という現場も多いので、そういう時はちょっとわかりにくいと思います。
石油の場合はホームタンクを見て残量を確認しても、残量を示しているフロート自体が故障していたために要湯があると勘違いしてしまうというパターンがあるので、実際にホームタンクの蓋を開けて自分の目で確認するのが間違いないでしょう。
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