お湯を出した時に「極端にぬるいわけじゃないんだけど安定しない」「ぬるかったり熱かったりムラがある」という場合、修理業者を呼んだとしてもその症状が出ないんじゃないかと思ったりして、なかなか修理に踏み切れないことも少なくないでしょう。
何かしらの不具合が起きているから調子がおかしいという部分は分かっても、中途半端に良かったりもするせいで「これは故障なの?」と疑心暗鬼になってしまうという人もいるのではないでしょうか。
この記事では「出湯温度が安定しない」「蛇口から出るお湯の温度にムラがある」という場合に、よく見られる不具合の内容について解説したいと思います。
再現性の低い不具合について
まず始めに「調子が良かったり悪かったりする不具合」についてですが、調子が悪い時に診断しないと正確な判断はできないことが多いです。
蛇口から出るお湯がぬるい時があるという場合であれば、私たち修理業者がお邪魔させていただいた時にその症状が出れば原因も分かるのですが、そうでなければ難しい部分もあると思います。
例えばその再現性が1ヶ月に1回や2回なのであれば、頻度が上がるまで様子を見るというのも1つです。
私の場合、お邪魔させていただいた時にその症状が再現せず、原因が分からなかった場合は1週間ほど様子を見させていただいています。
もしその期間内で再現したならもう一度お邪魔させていただき、その時に再現すれば診断結果をお伝えして修理の提案をしますし、もしそこでやはり確認できないのであれば「この部品が怪しい可能性がありますが交換してみますか?」ということで、修理するかどうかの提案をさせていただく場合もありますね。
いずれにしてもお邪魔させていただいた時に症状が出る確率があまりにも低いと、修理どころか「本当にそういう症状が出ているのかどうかすらわからない」という状況になってしまうので、その点は注意してください。
少なくとも1週間に1回は確認できるくらいの不具合でないと、診断は難しいと思います(できれば2~3日に1回くらい出て欲しいというのが本音ですが)。
危険じゃないかどうかを不安視するお客様もいますが、危険を伴う不具合であればまずエラーが出ますし、危険の2~3歩手前まで行くと完全に動かなくなるように作られているので、その点は心配いらないでしょう。
出湯温度が安定しない時に良く見られる事例
水栓からの水逆流
再現性が低くエラーが出ていないという場合は、このケースがかなり多いです。
給湯器は正常なのに、給湯器が出した正常な温度のお湯に対してどこかの水栓から水が流れ込んで混ざっているというパターンですね。
水栓が完全に壊れていない場合だと、逆流したりしなかったりするので再現性が低く、逆流する水の量にもムラがあるので、給湯器の出湯温度に与える影響は更にムラが生まれることになります。
この場合の大きな特徴としては「お風呂場や洗面所はぬるい時があるんだけど、台所では発生したことがない」など、場所によって症状が出たりでなかったり、症状が重かったり軽かったりするのが特徴です。
出湯量を絞っている場合
最近はエコタイプの給湯もだいぶ増えてきたので「エコモードで出湯量を絞っていて、更に自分でも蛇口をあまり開けていない場合」など、燃焼に十分な水流が確保できない場合も考えられます。
給湯器は一定の水の勢いがないと安定した燃焼ができません。それこそ給湯器が燃えるか燃えないかのギリギリの水流まで絞ってみればお分かりになると思いますが、目まぐるしく熱くなったり冷たくなったりするでしょう。
エコモードを使用しているなら、ご自身で開栓する蛇口は全開にして使用してください。エコモードを使用していない場合は、出湯量を絞っているようであれば割と全開に近いくらい出してみたらどうなるかというところですね。
ちなみに給湯器が経年劣化で燃焼能力が低下していることも関係している場合があるので「今まではこれくらいの出湯量でも問題なく使えてた」という場合でも、燃焼能力が落ちたせいで「今はもうそれだと安定しない」という症状である可能性もあります。
温度を調整している部品の不具合
給湯器の中にある部品の不具合で温度調整がうまくいかない場合も当然あります。温度調整する部品の厄介な点は、これらが故障していたとしてもエラーが出るとは限らないという点です。
もちろんエラーがでることもあるのですが、それ以上にエラーを出さないケースも多いです。
せめて完全に故障してしまう寸前まで劣化しているのであれば、中途半端な温度変化ではなく極端に上下するので判断もできるのですが、本当に初期の不具合なんかだと見抜くのは難しかったりもします。
この場合は水栓の逆流と違ってどこの水栓でも同じ確率で不具合が出るので、全ての蛇口で不具合が確認できたという場合はこの線が怪しくなるでしょう。
※ただしお湯をよく使う場所、あまり使わない場所はあると思うので、再現性が極端に低い場合だとこの判断も簡単ではありません。
まとめ
再現性が極端に低い場合の「お湯がぬるい時がある」は、様子を見ることも選択肢の1つ
出湯温度が安定しないことの原因は、給湯器に原因があるとは限らない
普段の生活で「どの水栓でも起こるのか、その程度も全ての水栓で同程度なのか」を観察しよう
なぜか私たち修理業者が見に行くと調子が良くなるということが多々あります。私たちは全力でその原因を探ろうとはしますが、その症状がでなければ正確な判断はできません。
もし症状が出なかった場合、勘で修理を勧めるか、後は今回の修理は見送ってこのまま使用していただくというカタチになるかと思います。
その場合でも、私たちは出張点検料をいただくことになるので、そこに不満を感じるのであれば様子を見てもらってからの方がいいかもしれませんね。
様子を見るときも「ここの水栓以外は調子がいい」などのパターンが分かれば、私たちにとっても非常に大きなヒントになる可能性があるので、注意深く観察していただけると幸いです。
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