私は給湯器を修理する仕事をしていますが、月に1件か2件くらいは結構なクレーマーと対峙します。色んな種類のクレーマーがいますが、中でも多いのが「出張点検料に納得してくれない人」です。
- 修理していないんだから、あなたにお金は払えない
- 出張料が発生するなら事前に説明しろ
大体この2つのパターンで出張料や点検料を払ってくれない人わずかに存在します。
「修理していないんだから~」に関しては、弊社ではどうにもならない部分です。高額修理になるような場合に「じゃあ修理しないで交換するわー」っていうのはお客さん次第ですから。
でも「出張料が発生するなら事前に説明しろ」というクレームにはいくらでも対応できるような気がします。なぜそれをやっていないのか、本記事でご説明します。
世の中には多くのサービスショップが存在していますが、あくまで某都道府県を担当している弊社の場合の話です。
事前に出張診断料の説明をしない理由
現時点での対応は「聞かれたら答える」というスタイル
お客さんが給湯器の修理を依頼する場合、まずはメーカーに連絡することが多いです。メーカーに連絡すると、そこでお客さんの個人情報とお困りの状況を紐付けて、お客さんが住んでいる地域を担当しているサービスショップに連絡がいきます。
そしてサービスショップから改めてお客さんに連絡をし、訪問日時などの打合せをするという流れです。希望日になったら私のようなサービスマンが修理訪問をし、給湯器の点検をさせてもらいます。
ここまでの流れで登場人物が3人ほど出てきました。コンタクトセンターのオペレーター、サービスショップの受け付け事務員、サービスマン。この全員が「給湯器は見るだけでも出張料と診断料で5000円ほどいただきますが宜しいですか?」とは聞きません。
お客さんの方から「来てもらうだけでもお金ってかかるんですか?」と聞かれれば答えるというスタイルですが、こちらからお金がかかるという話はしていないのが現状です。
事前に出張診断料の説明をしない理由
- コンタクトセンター:給湯器が壊れて困っているお客さん相手に、まず最初にお金の話をすると「四の五の言わずにさっさと来い!」というお叱りを受けることがある。
- サービスショップ:事前に「出張料・点検料がかかりますがいいですか?」と聞くと、そこでキャンセルになってしまうケースがある。
私のように現場に行く人間からすれば「お金のことは事前にちゃんと説明しておいてほしい」という感情があります。しかしメーカーにはメーカーの、弊社の事務員には弊社の事務員の言い分がありました。
1番最初に取り次ぐことになるコンタクトセンターには、給湯器が故障して困っているお客さんが第一報として連絡してきます。そういう人に対して心配の言葉をかけることもあると思いますが、料金の話をすると怒る人がいるようです。
恐らく「給湯器が壊れて困ってる客に対して最初に金の話か!」という感じなんでしょう。
一方で弊社の事務員も、訪問日時の日程調整の時点で出張点検料の説明はしません。聞かれたら答えるというスタイルです。その理由は「説明した時に『じゃあいいや』と言われたらお金にならないから」というもので、弊社の社長の指示でそうなっています。
弊社の社長の考えでは「未払いのお客さんが出てくることは想定済みで、でも事前に説明するよりもあえて説明しない方が売り上げが出る」ということらしいです。
最終的にはサービスマンがお客さんの自宅に行って説明するルール
これは弊社独自のルールですが、毎回会議の時に「〇〇の未回収の現場なんとかしてください!」みたいな話になるので、サービスマンがお客さんの家に修理訪問した時に「点検するだけでも出張点検料が発生しますが宜しいですか?」とお客さんにお伺いするというルールになっています。
これが事務員とサービスマンの折衷案だそうで、私たちも修理金額の未回収に悩まされるリスクが低くなり、お客さんも「目の前にわざわざ来てくれたサービスマンをそのまま帰すことに申し訳ない感情ができてキャンセルしにくくなる」ということで、会社としての売り上げもカバーできるらしいです(知らんけど)。
ちなみに弊社には約10名ほどのサービスマンがいますが、これをやっているのは私を含めて2人くらいです。私の場合は未回収現場が本当に嫌なので、出張診断料は行ったその日に必ずもらいます。
私は毎回説明していますが「給湯器が壊れて困ってる客に対して最初に金の話か!」って言われたことないですけどね。絶対に事前に料金を説明していない時に怒る人の方が多いような気がしています。
修理業者を呼んでお金がかからないと思っている理由が分からない
出張点検料に対して「高い」というクレームなら分かる
出張診断料は大体5000円くらいです。これに対して「事前説明もなしに、そんなに高いお金は払えない」というクレーム(クレームというか意見)は理解できます。
まぁ私の経験上、これを言いながらも1円も出したくないという人は多く、「事前説明が無かったことを責め立ててゴネよう」という人が多かったような印象です。現に「じゃあ出張料の2500円で結構なのでお願い出来ますか?」と言っても払ってもらえなかったりしました。
ただし「出張料だけなら払ってもいい」という人も結構いたので、中には純粋に「お金がかかることは覚悟してたけど、まさか5000円もかかるとは思っていなかった」という人も少なくなさそうです。
修理していないんだから払わないという理屈
サービスマンが修理訪問をして「この部品が故障していることが原因です。この部品を交換すると修理費用は20000円になります」という説明をし、それに納得してくれる場合は問題ありません。
これが10万円の修理費用だったら、修理はせずに新しい給湯器に交換するという判断をする可能性もあります。お客さんが修理をしないという判断をするのは自由ですし、新しい給湯器に交換することを弊社に依頼してくれるのであれば問題ないのですが、「交換は別の業者に頼むからご苦労さん」はひどくないですか?
この「修理していないんだから金は払わん」という理屈は、学習塾で言うところの「志望校に合格できなかったから金返せ」というニュアンスに近いと思うんです。
これが本気で通ると思っているのであれば、ラーメン屋さん等の飲食店に行って好きなメニューを頼んで着丼と同時に店を出るってことが許されるような気がするんですけど…。
給湯器交換の見積もりを無料でやる業者がいるから勘違いしている?
給湯器の交換見積もりは無料で行う業者が山ほどいます。弊社も最初から「給湯器交換の見積もりが欲しい」と依頼されれば、給湯器交換の見積もりを出すのに出張料などは取りません。
給湯器の修理と交換では利益率が違うので、交換を検討しているという場合は「候補に入れてもらえるだけで大きな仕事になる可能性がある」という見方になることが多く、見積もり無料を掲げている業者が多いです。
だから給湯器の修理も、見積もりだけなら無料だと勘違いしている人が多いのかもしれません。
ちなみに出張料に関しては、弊社に給湯器を持ってきてくれるなら免除しています。実際にお家の給湯器を取り外して持ってくる人がいるのも事実です。こういう人からは出張料はいただいていません。
どうしても出張料が払いたくなければ自分で給湯器を外して持ってきてもらえればOKですし、診断料が嫌なら「〇〇の部品交換」という依頼にしてもらえれば診断料はもらわずに作業料と部品代で承ります。
まとめ
出張料の事前説明をしない修理業者にも落ち度はある
事前説明がないと無料だと思ってしまう思考は危険
私自身はこのような仕事をしているということもあって、完全に「人を手配しておいて無料だと思っている意味が分からない」という考えですが、実際このような仕事をしていなかったとしたらどう思うかってことを考えたりします。
たぶん「5000円もするの!?」と驚いたうえで、とりあえず言われてるから払うとは思いますけど、後で「だったら先に説明しろよ」くらいのことは言うかもしれません。つまり「お金が発生するとは思ってるけど金額が高い」という感じですね(あくまで想像です)。
個人的には業者側が説明するべきだと思っているので私はそうすることにしましたが、事前説明がなければお金が発生しないという思考もなかなか危険じゃないかと思います。病院でお医者さんに診てもらおうと思って、受付でお金の話はされないじゃないですか?恐らくそういうことです。
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