給湯器の修理で各家庭を回っていると、お風呂の湯量に関する故障が数多く寄せられます。
「湯量が増える」というものや「湯量が減る」というものまで様々です。
このような仕事をしていると、大体の話を聞いて「これは給湯器が原因だな/これは給湯器は関係のない不具合だな」ということが分かるのですが、一般のお客さんからするとその判断は難しいのかもしれません。
そこで今回は「お風呂の湯量が変化する不具合の時、どこに修理依頼をするか」について解説していきたいと思います。
お風呂の湯量が変化する不具合
お風呂の湯量が増える場合
- 翌日になったら、お風呂が溢れていた
- 掃除を済ませて栓をした状態にしていたら、足首くらいまでの水が貯まっている
お風呂の湯量が増えるという場合、大体は「時間が経った時に、前に確認した時よりも湯量が増えている」ことに気付いて、不具合を疑い出すというパターンが多いです。
勝手にお風呂の水が増えるなんてことはないので、多くの場合が「上記画像で示す循環口から水がポタポタ漏れている」というケースに該当するのではないかと思います。
この循環口は、追い炊き配管を通じて給湯器と繋がっています。
給湯器にはお湯張りをする部品が付いており、その部品は本来であれば完全に閉じて水は漏れてこないのですが、経年劣化などが原因で水を完全に止められない状態になると、循環口から水が漏れてくるケースが少なくありません。
ちなみに具体的な症状を確認したいという方は、別記事に詳しくまとめているので、そちらをご覧ください。
関連記事「お風呂の循環口からポタポタ水が漏れてくる」場合はお湯張りの部品が悪いかも
お風呂の湯量が減る場合
一方で、お風呂の湯量が勝手に減っている場合というのは、少し事情が変わってきます。
というのも、大半の現場で給湯器は浴槽よりも高い位置に取り付けられているので、給湯器に不具合があって湯量が減るというのは考えにくいからです。
もし2階に浴槽があって、1階に給湯器が設置されているという場合だと、給湯器に問題がある可能性も捨てきれません。
多くの現場で考えられるのは、
- 追い炊き配管での水漏れ
- 循環口からの水漏れ
- 浴槽の水抜き栓からの水漏れ
これらのどれかに該当しているケースがほとんどです。
浴槽の排水栓に原因がある場合
1番分かりやすいのは「お風呂の栓が劣化していて隙間ができ、そこから水漏れしている」というパターンですね。
昔ながらのゴム栓なら、触った時に手が真っ黒になるほど劣化をしているのであれば、水漏れの原因になっている可能性もあります…が、ゴム栓が悪くなることはほとんどありません。。
浴槽から水漏れするという場合の多くは、ゴム栓ではなく、システムバスで用いられるレリースに原因があることが多いです。
最近のシステムバスは、浴槽のフチにボタンがあって、それを押すことでお風呂の水抜きが出来るようになっています。
このタイプだと、栓そのもののゴムパッキンが劣化しているケースもありますし、内部で栓を動かしているワイヤーが劣化していたりして、水漏れを引き起こしてしまうということが結構あります。
ゴム栓はシンプルで耐久性があるので、たぶんこっちは大丈夫じゃないかと。一方で、スタイリッシュな風呂栓を使っている人は、これを疑った方がいいかもしれないです。
循環金具、追い炊き配管に原因がある場合
あとは循環金具の接続部分、追い炊き配管からの漏水という可能性も考えられます。
お風呂の湯量が減るというのは、言い方を変えると「どこからか水が漏れている」ということになります。
目で見ても分かるような外部破損がないなら、浴槽内で穴が空いているのは「循環口部分」か「排水栓」しかないですからね(ジェットなどが搭載されている場合は、そちらの回路も怪しいです)。
ちなみにこれを判断するのに1番分かりやすいのは「循環金具の下の位置まで水を貯めておいて、その水が減るかどうかを確認する」という方法です。
- 水が減らない→循環金具か追い炊き配管
- 水が減る→排水栓
これでどっちが怪しいかの判断が可能だと思うので、正しい修理業者を手配するためにも確認してみてください。
お風呂の湯量が変化する場合、どこに修理を依頼するか
では、これまでに説明した「お風呂の湯量が変化する」という不具合の場合、どの業者に連絡するべきかについてご説明します。
まず湯量が増える方に関しては、十中八九、給湯器の部品に問題があるので、給湯器のメーカーに連絡してください(給湯器のメーカーでなくても、給湯器を修理する流れで業者に連絡)。
一方で湯量が減る原因が排水栓にある場合、ゴム栓ならご自身でホームセンターに行って買ってきてもOKです。自分で出来ないなら、ユニットバスのメーカーへ。
システムバスの排水栓に問題がありそうなら、システムバスのメーカーを手配しましょう。給湯器と同じメーカーなら問題ないのですが、違う場合はかなり厄介になります。
例えば、給湯器がノーリツだったからノーリツのサービスを手配したのに、原因はシステムバスにあり、しかもシステムバスのメーカーがTOTOだったとなると、ノーリツのサービスは手を加えることができないからです。
「うちじゃ見れないのでTOTOさんを手配してください」と言われて、出張点検料を請求されることになります。
このような場合は給湯器のメーカーではなく、システムバスのメーカーに修理依頼の電話をしましょう。
一方で循環金具か追い炊き配管に原因がありそうだという場合は、システムバスのメーカーか街の水道屋さんでOK。
システムバスのメーカーだと、床下の追い炊き配管に原因があった場合に対応してくれるかどうか微妙なので、腕のいい水道屋さんを知っているならそっちの方がいいかもしれないですね。
まとめ
湯量が増える→給湯器のメーカー
湯量が減る(排水栓)→システムバスのメーカー
湯量が減る(循環口)→システムバスのメーカー、水道屋
明らかに給湯器の不具合だと分かる場合は問題ないのですが、このような内容の修理だと「何も考えずに給湯器メーカーに連絡したけど、システムバスのメーカーに連絡するべきだった!」と後悔をしてしまうお客さんが結構います。
どこに連絡すればいいか分からない場合、最終手段は連絡した先の業者に「こういう不具合なんですけど、おたくで点検修理できますか?」と聞けばOK。
「点検できないところに連絡して出張料取られたら嫌だと思って…」と添えておけば、大抵の業者は然るべき窓口を教えてくれるでしょう。
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