住宅設備業界の闇営業のあれこれ【暴力団の家の給湯器を修理】

この記事を書いている2019年7月末現在、世間は専ら芸人さんによる闇営業の話で盛り上がっています。

会社を通さずに個人で勝手に仕事をしていたという部分が問題なのか、はたまた反社会勢力との付き合いが問題なのか。

誰かが論点をずらそうとしていたり、立場が上の方の芸人さんが「お金は貰っていない」という嘘をついてしまったりなど、波紋が波紋を呼ぶ展開となっています。

個人的には「どうせしばらく謹慎して、ほとぼりが冷めた頃に出てくるんだろうなー」とは思いながらも、自分の立場に置き換えて考えた時に「もしかして自分も似たような事をしていないだろうか?」と思う部分がちらほら。

そこでちょっと今回は趣向を変えて「住宅設備業界における闇営業、反社会勢力との繋がり」について暴露したいと思います。

あくまで某メーカーサービス業務に従事している私個人の話になるので、この業界で仕事をしている全員に当てはまるという意味ではありません。

目次

私の仕事の内容について

給湯器、ガスコンロ、システムキッチン、トイレ等の取付・修理

特定のメーカーのサービス業務

まずは簡単に私が携わっている仕事の内容について簡単にご紹介します。冒頭では住宅設備業界と言いましたが、複数のメーカーのサービス業務をしています。

有名なところで言えばLIXIL、TOTOなんかは非常に有名な住宅設備メーカーです。特にTOTOはトイレや洗面、ユニットバスを取り扱っている会社としては、日本で1番知名度があるのではないでしょうか?

 

このように「とあるメーカー」と契約をしていて、そこのメーカーが取り扱っている物はIHだろうがガスコンロだろうが、エアコンだろうが給湯器だろうが…。とりあえず何でも修理・交換などのサービス業務を行うという仕事です。

今回は「会社を通さずにお客さんから直で仕事を受けることはあるのか」や「反社会勢力の人からの依頼を断ることはできるのか」について書いていきます。

 

直営業の有無:「人によってやっている」

まず「会社を通さずに、自分とお客さんとの間で直接やり取りをしているケースはあるか」という点については、人によってあると思います。というか、実際にありました。

それによって処罰された従業員もいますし、程度によっては黙認されているケースもあります。自社にはこれら直営業に関する細かなルールがないので「社長が黒と言えば黒」という状態です。

 

ちなみに私の例でいえば、友達が「給湯器を買い替えたい」と言った時は、その友達に「ネットで買えば安いよ」とアドバイスをした上で「物さえあれば取り付けてあげるよ」ということで、休日に取り付けてあげたことが何度かあります。

これについては自社社長は容認しており、私自身の中でも悪いことをしているという自覚はありません。勤務時間外に行うのであれば問題ないという考えです。

 

メーカーに支払うマージンについて

当社では例えば〇〇製のガス給湯器を修理するという場合、部品代の3割程度がメーカーに流れます。そして伝票1枚あたり(修理1件あたり)にマージンが発生していて、然るべき手数料のようなものをメーカーに納めています。

そして出張料、作業工料などは自社の総取りですが、当然ながらこれらは会社に入るお金なので、自分の手元に入ってくるお金ではありません。

 

メーカー側からすると「仕事を振ってやってるんだから、部品代の一部のお金くらいは払ってもらわないと…」という感じでしょうし、これについては自社も納得して契約していることになります。

ちなみにこれに関しては「メーカーにマージンを払いたくないから、伝票を計上せずに処理する」などのズルはしておらず、至極真っ当に処理しています(一部例外あり)。

 

自分の家の住宅設備が壊れたら?

当社に勤務している社員のほとんどは、自社で取り扱っているメーカーの住宅設備を設置・使用しています。

じゃあ「自分の家で使っている物が壊れた時も正規の手順で修理しているのか?」という点についてですが、これは伝票処理せずに個人で勝手に修理しているというのが現状です。

 

伝票を計上すると部品代の3割程度、そして伝票1枚あたりのマージンを取られてしまうので、基本的には「勤務時間外に自分で修理する分には、部品代の7割の金額を会社に支払う(部品のみを自社から買い取るという形式)ことで、修理費用を抑えることは黙認されている」という状態です。

このあたりに関してはメーカーからすると「直営業だ!ちゃんとメーカーを通せ!」と言いたくなる事案でしょうが、残念ながら存在します。自社の社長は黙認しているという感じです。

 

直営業はやろうと思ったら余裕でできる

私たちサービスマンは現場にお邪魔する際に、お客さんに最初の挨拶をするのと同時に名刺をお渡ししています。

お客さんによっては「もし次に何かあっても貴方にお願いしたい」と言ってくれる人もいますし、会社の電話番号ではなくサービスマン個人の携帯電話に修理依頼をしてくる人もいます。

 

さすがに「次に壊れた時にメーカーなのか自社なのか、どこに修理依頼をしてくるか分からない」という場合は、ちょっとした会話からバレてしまうリスクがありますが、自分を贔屓にしてくれるお客さんならまず大丈夫でしょう。

そういう場合は会社の伝票や領収書を切らず、お客さんに対して不信感を与えないという条件さえクリアできれば、特に問題なく直営業が可能だと思います。

ちなみに給湯器の修理は、部品を1つでも交換すればどんなに安い修理でも1万5000円~2万円くらいにはなるので、適当な理由を付けて会社から部品を買い取って、それを現場で使えば良いお小遣い稼ぎにはなるはずです。

 

闇営業の有無:「反社会勢力だろうがお客様はお客様です」

ヤクザ(暴力団員)の家に修理に行ったときの話

私は直接お客さん本人から「俺、ヤクザなんだよ」って言われたわけではありませんが、社内の申し送り事項として「この家ヤクザだから、対応にはより一層注意して」と言われた現場が2件ほどあります。

そして家の雰囲気、お客さんの雰囲気が普通っぽくないことは分かりました。黒光りの車が何台も停まっていたり、家と言うか屋敷っぽい風貌だったり…。「そこに飾られてる日本刀はレプリカですよね?」みたいな。

 

基本的に当社では、反社会勢力だろうが何だろうが「お金を払ってくれる人はお客さん」というスタンスであり、メーカーに至っては「修理のお金を払ってくれなくても、当メーカーの商品を購入してくれた人はお客さん」というスタンスです。

個人的にはヤクザの家なんか本当に行きたくないですし、すごく高圧的でお金も簡単には払ってくれないので、できれば会社のルールとして何とかして欲しいのですが…。

 

修理するのはまだいいんですけど、その当日に修理費用を払ってくれることはなく「請求書送ってこい」と言われ、請求書を送って素直にお金を払ってくれることがまずないので、その後の取り立てが本当に地獄…。

もし「反社会勢力と関係を持つこと自体が悪」という風潮がこの業界にも浸透してくれれば、こちらとしては非常にありがたいと思っています。

 

お金の取り立てができない場合は…

ちなみにヤクザに限らず、修理のお金を払ってくれないお客さんは一定数存在します。

これらのお客さんへの対応は各サービスショップによって異なりますが、当社では「払ってくれるまで何度も現場訪問/名刺にメッセージを記入してポスト投函」などをしています。

 

大抵のお客さんは居留守をしながら徹底的に無視をしてくるというパターンですが、ヤクザの場合は開き直ってくるので面倒なんですよね。

一般人は基本的には無視一辺倒で、運悪く鉢合わせてしまった時は「今週中にお支払いします」とだけ言って実際には振り込まないというパターンがほとんど。

一方でヤクザの場合は「払ってないけど何か問題でも?」というスタンスです。

 

というわけで、そういう場合は当社では一旦泣き寝入りをしてブラックリストに記載し、もし今後そのお客さんから修理依頼が来たら「前回の修理費用を払ってもらえないと修理対応できません」とお断りしています。

給湯器の修理費用を払わず、それが上手くいったとして「もし次に故障したらその時は他メーカーに買い替えよう」と思っていても、他メーカーの修理も同じ修理会社になるケースや、ガスコンロの修理もその修理会社だったというケースが少なくありません。

もし「事前に修理金額の説明がなく、この料金に納得できない」などの正当な理由も無く、ただ単にお金を払いたくなくて逃げ得に持って行こうと考えている場合は注意が必要です。

 

最後に

個人的には、反社会勢力の人のお家に修理は行きたくないです。理由は一般常識が通用しないからですね。

「一見普通の人なんだけど、実は反社会勢力だった」というケースは気付かないのでまだいいんです(とは言っても、芸能界の場合はこれでもペナルティになるようですが)。

一流ホテルなんかでは「反社会勢力にはサービスを提供しない!」としている所もあるようなので、各住宅設備メーカーもそれくらいのことをやってくれることを期待します。

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この記事を書いた人

給湯器や暖房機、ガスコンロ、IH、システムバス、システムキッチンなどなど、住宅設備を修理したり取付交換する仕事をしています。

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